2012年06月21日

バンテージ・ポイント(2008)〜iPhoneポイント2

vantagepoint公式サイト。原題:Vantage Point。ピート・トラビス監督、デニス・クエイド、マシュー・フォックス、ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィティカー、シガニー・ウィーヴァー、エドゥアルド・ノリエガ、アイェレット・ゾラー、エドガー・ラミレス、サイード・タグマウイ、ブルース・マッギル、ゾーイ・サルダナ。黒澤明の「羅生門」のような評判だったと思うが、そうではなく、八次元実況中継というだけ。
スペインで行われた対テロサミットにアメリカ大統領ヘンリー・アシュトン (ウィリアム・ハート)がやって来る。いざ演説に立って一声を出そうと瞬間、暗殺される。その数分間をシークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド)、米テレビ局の女性プロデューサーのブルックス(シガニー・ウィーバー)、はたまた狙撃グループの視点で描く。
という訳で、何度も何度も時間だけが巻き戻され、バンテージ・ポイント(視点)のみが変わる。ただ、ある視点は別の視点と交差し合っているので、だんだん何が起きているか分かって来る。
その楽しみを台無しにするのが影武者という仕掛け。よっぽど黒澤明が好きらしい。思えば、影武者は一声も発しないまま消されると言うのは出来過ぎている。そもそも本物も知らされていないのだから、内部の人間の中に敵が紛れ込んでいるのは明らか。というか本物自体がただの影武者扱いされて利用されているぽいのは現実に対する皮肉だろう。
影武者によって、視点の公平性が崩壊し、影武者を知っている者の視点と、そうでない者の視点で決定的な差が生じる。言わば、デジタル・ディバイドならぬバンテージ・ディバイド。実際、影武者を知っている者たちは圧倒的に有利に動き、それ以外はただの見物人に成り下がってしまう。危うくただの見物人になりかけたバーンズは元々影武者の存在を知り得る立場だったので、すぐに気付き、彼らを追いかける。しかし、この時点で本作はただのカーチェイス・アクションに成り下がっている。
本来なら、ただでさえ色々な視点(カメラ)を仕切っているブルックスが活躍しなければいけない筈なのだが、ただおろおろしているだけで無能極まりない。
一番印象に残ったのは結局、当時発売されたばかりのiPhoneが早速取り入れられていること。テロの首謀者スワレス(サイード・タグマウイ)がスマートホンを持ってタッチパネルで爆弾を爆発させたり、ライフルを自動発射させている。実際、スマホが彼のバンテージ・ポイントになっており、言わば八次元タッチ。究極のプロダクト・プレイスメントだ。

ピート・トラビス監督の他作品:「ジャッジ・ドレッド(2012)
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Posted by y0780121 at 21:15│Comments(0)TrackBack(1)clip!洋画バ、ビ | ★2

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大統領暗殺の瞬間を8人の視点から表現するという、ちょっと変わった映画。俺の中では『バイオ・ハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチなんかよりも遥かに強い女『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーヴァーが出ている映画だw
バンテージ・ポイント【LOVE Cinemas 調布】at 2012年06月21日 22:38