2012年06月26日

ワン・デイ 23年のラブストーリー4

(40)日のレイン
oneday公式サイト。イギリス映画。原題:One Day。デヴィッド・ニコルズ原作、ロネ・シェルフィグ監督、アン・ハサウェイ、ジム・スタージェス、パトリシア・クラークソン、ケン・ストット、ロモーラ・ガライ、レイフ・スポール、エミリア・ジョーンズ。希望に溢れた青春が次第に色褪せていく過程をイギリスの古い街並とスコットランド、ブルターニュの自然を背景に哀切感漂う映像で描く。
大学卒業式の夜を友達のデクスター(ジム・スタージェス)と一緒に過ごしたエマ(アン・ハサウェイ)は「40歳になったら、どうしているだろう」と何気なく言う。英語でfortyは数字の「40」だけでなく、漠然と「沢山」という意味合いもあり、砕けて訳せば「年取ったらどうしているかしら」ぐらいの会話なんだろう。
翌朝は1988年7月15日、“聖スウィジンの祝日”。その聖スウィジンにまつわるお天気占いには
if it rains on Saint Swithun's day, 15 July, it will rain for 40 days.(聖スウィジンの祝日が雨なら40日間ずっと雨になる)
というのがあるという。ここに「40」のマジックナンバーとしての源泉がある。本作では、その「40日間ずっと雨になる」を「毎年7月15日ずっと」に翻案されているようだ。つまり、晴れの日は訪れないということ。
そして、邦題通り23年間の7月15日が描かれる。「40」はあくまで「沢山」という意味なので23でも十分に沢山だ。
オープニングは2006年7月15日。なぜそうかも「40」に関係していることに気付かされる。
そこから1988年7月15日まで遡るから、ほとんどは思い出の映像化。そこには雨や水が象徴的に出て来る。オマケにおしっこネタまで。そのために現実の映像よりも少し幻想的な色彩になっている。年が変わる際も、例えばデクスターが余命幾許もない母親(パトリシア・クラークソン)の家に戻った年にはカーテンが風で揺らぎ、雨風の予感をさせている。文字通り、じゃじゃぶりの雨のテレビ中継を父親(ケン・ストット)と見ているシーンもある。雨ではないが、水のシーンが多用され、プールのシーンが何度もあり、フランスでのヌーディストビーチでの海水浴もある。特にエマが全裸になって飛び込んでプールでデクスターとキスするシーンは薄暮の中で一際美しい。
エマは売れないコメディアン志望のイアン(レイフ・スポール)と一緒になるが、うまくいかない。やがて教師をしながら本を出版し、フランスに移住するが、そんな成功した作家とは言えない程度のようだ。デクスターは一時、テレビの司会者として有名になるが、軽薄さからヒンシュクを買い、やがて誰からも相手にされなくなる。彼の女漁りにもどこか哀しみが隠されている。ジャスミンをもうけた妻のシルビー(ロモーラ・ガライ)も同窓生の実業家で今は上司に寝取られる。
2人が卒業時に結ばれず、友達のままでいたのは2人とも文化・芸術方面で名を挙げようという大志を共有していたからだろう。お互いその夢は半分成り、半分成らなかった。そのことを自覚した時、悲劇が待ち構えていた。エマは聖スウィジンの魔法にでもかかったかのように40歳で死ぬ。実は、ここでなぜ毎年7月15日なのかが反転する。時系列的に7月15日を羅列していたのではなく、デクスターが時間を逆転させてエマの思い出を手繰っていたのだ。
エマと入れ替わるように成長したジャスミン(エミリア・ジョーンズ)がデクスターとかつてエマと一緒に登った丘の上に登る。ジャスミンは聡明そうな目をしていて、きっとこの子は成人したら成功しそうだと予感させる。

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Posted by y0780121 at 21:39│Comments(0)TrackBack(13)clip!映画ワ行 | ★4

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