2012年09月01日

I'M FLASH!5

複雑なトリックアートのような世界
IMFlash公式サイト。豊田利晃監督、藤原竜也、松田龍平、水原希子、永山絢斗、板尾創路、 原田麻由、柄本佑、仲野茂、北村有起哉、中村達也、大楠道代。タイトルの閃光を意味するflashには色々な意味が込められている。オープニングで微かに見える光は次第に大きくなり海中から見える太陽だった。そして、もう一つ閃光のような瞬間が待ち構える。
新興宗教「ライフイズビューティフル」の教祖に世襲で20代にして就任したルイ(藤原竜也)はイケメンのカリスマ教祖として持て囃されているらしい。ルイは酒場で知り合った名前も聞く気のなかった謎の美女流美(水原希子)と酔っ払い運転でドライブして死亡事故を起こす。DVDを返すためにバイクを運転していた若い男(柄本佑)は即死、流美は一応、植物状態、ルイは助かったのに教団に匿われ、沖縄本島から車で行ける離島の教団施設に雲隠れしている。三者三様なのだけれど、実のところ、ルイも相当の重傷の様子で本当にルイが生きているのか死んでいるのか分からない気配。新興宗教の手口としてマジックのような手品がチラホラ出て来るのだけれど、本作そのものも手品のようなマジックが施されている気配がある。
彼の元に本土から雇われたボディガード3人がやって来る。彼らはいずれも腕利きのプロの殺し屋らしい。3人はルイに酔っ払い運転で死亡事故起こした癖に自分だけしゃあしゃあと優雅で贅沢な生活をしているという反感を感じる一方、仕事に徹してお守りをしていればいいという思いもある。タコスライスを食ってから来た一番若い男(永山絢斗)は「あの人、いい人だよ」と自分も徐々に教団に魅かれて行く。一番年食った男(仲野茂)は「そうは言っても、仕事だから」と殺し屋なりの生活感滲ませている。そして、その中間のゴーヤーチャンプル定食食ってやって来た新野(松田龍平)は、いつも無表情。
IMFlash2ところで、先々代教祖も、先代教祖も、教団の一種のシンボルでもあるしゃれこうべに弾丸の跡がある。そうすると、三代目のルイも気が気でない筈。説教では「死は怖くない」とか、生と死についての哲学を披歴し、「死ぬ瞬間は気持ちいい」だの、水中銛で撃たれた魚はストレス感じないから味がいい」と事あるごとに饒舌気味。なのに一番死を恐怖している。
雇われた3人の殺し屋と殺された、あるいはこれから殺されるであろう教祖3人は数字的に整合性が合っている。思えば、3人が追う侵入者(中村達也)がいくら弾丸を撃ってもルイは倒れない。至近距離だから全て撃ち損ないなんてことないだろう。このあたりから段々彼らはフツーの存在でないことが明らかになって来る。
一方で、交通事故を起こす運命のドライブのシーンは何度も挿入され、流美の妹は信者で入水自殺した、お前はクソだと敵意を露にするかと思えば、「もうどうでもいい」と運転を交代してドライブを続けた挙句、キスに至る。まるで姉と妹が一人二役で、運転中は姉、助手席では妹であるかのよう。妹は生前ルイと関係を持っいたのかとも思わせる。そうなると、流美は交通事故で昏睡したのか、妹として自殺未遂で昏睡したのか二通りの可能性があることになる。
その瞬間、閃光が――。
植物状態だった筈の流美が目覚めて病室の窓から見える海には伊江島が浮かんでいる。どうも教団施設のある島は沖縄版アダムとイヴの伝説がある近くの古宇利島らしい。こじつければ生と死を意識する“知恵”を付けたことの災難だろうか。
では、本作は流美が昏睡中に見た夢なのか、あるいは人生そのものが閃光のようなものと思って事故死したルイの、あるいは海で銃殺されるルイの今際の時の走馬灯なのか、その中には流美自体も含まれているのか。そうなると、新興宗教団体さえ存在していたのか定かでなくなり、三者三様のトリックアートのような世界になっている。もう一つ、事故死したバイク男のDVDが本作そのものだったら完璧かもしれない。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 20:07│Comments(0)TrackBack(6)clip!邦画A-M | ★5

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50730375
この記事へのトラックバック
新興宗教団体“ライフイズビューティフル”の三代目教祖である青年・吉野ルイは、飲酒運転で人身事故を起こしてしまう。 マスコミ報道から逃れ事故をもみ消すため、ルイは南海の孤島にある教団所有のリゾートホテルに身を隠すことに。 3人のボディガードに囲まれ海に潜るだ
I’M FLASH!【象のロケット】at 2012年09月02日 07:32
I'M FLASH!クチコミを見る生と死の狭間で出会った二人の男の運命を描く「I'M FLASH」。常に死を意識した作品を撮る豊田利晃が、アクションも交え、珍しく生への渇望を見せる。新興宗教“ ...
I'M FLASH!【映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評】at 2012年09月04日 09:04
2012年9月9日(日) 11:50〜 TOHOシネマズ川崎プレミアスクリーン 料金:0円(フリーパスポート) 『I'M FLASH』公式サイト フリーパスポート4本目。 過剰演技で五月蝿い藤原が、新興宗教の教祖役だそうだ。 その藤原、共演の龍平とテレビで対談していたが、本作で、「
I'M FLASH【ダイターンクラッシュ!!】at 2012年09月09日 22:45
I'M FLASH! (アイムフラッシュ!) テアトル新宿 個人的にテアトル新宿は失敗だった。 どうせユーロスペースで21:10からのレイトショーも見るつもりだったので ユーロスペースにしておけばよかった。 新...
I'M FLASH! (アイムフラッシュ!) 2012-120【単館系】at 2012年09月26日 22:02
 『I’M FLASH!』をテアトル新宿で見ました。 (1)『モンスターズクラブ』の豊田利晃監督が、今度は宗教関係の作品を制作したというので映画館に出かけてみました。  映画の冒頭は、海の中から太陽の光を捉えているような映像。  そのすぐ後のシーンでは、男女が乗って..
I’M FLASH!【映画的・絵画的・音楽的】at 2012年10月01日 20:54
『空中庭園』『モンスタークラブ』などの豊田利晃監督と以前から監督のファンで出演を
「I’M FLASH!」 豪華キャストです(´∀`)【ジョニー・タピア Cinemas 〜たぴあの映画レビューと子育て】at 2013年04月22日 00:05