2012年11月24日

カラスの親指〜伏線厨な物語

周到に見えて全て一発ギャグぽい
BROCT公式サイト。道尾秀介原作、伊藤匡史監督。阿部寛、村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈、小柳友、ベンガル、ユースケ・サンタマリア、戸次重幸、なだぎ武、上田耕一、鶴見辰吾。“by rule of CROW’s thumb”という副題は“rule of thumb ”(経験則)という英語の慣用句からの応用。本作では「親指(thumb)の支配(rule)」という意味も持たせているようだ。
なぜカラス(crow)なのかと言えば、もう一つ、日本語の慣用句「鷺(さぎ)を烏(からす)と言いくるめる」=「白を黒と言いくるめる」の洒落だ。つまり「詐欺を烏と言いくるめる」のだ。本作でテツ=入川鉄巳(村上ショージ)は「(詐欺の)玄人だから黒、烏」と言って相棒のタケ=武沢竹夫(阿部寛)を騙しているようだから始末に置けない。大体、この村上ショージというのも嘘で本当は左とん平ではないのか。彼は一発ギャグが芸風だそうだが、周到な仕掛けに見えて全て一発ギャグぽいので全体を俯瞰すると????になる。
テツの本名は入川鉄巳→イルカワテツミ→カワイミツテル→河合光輝だと本人がアナグラムを使ったと自らネタバレしてくれている。けれど、入川鉄巳という偽名はいかにもぎこちなく無理矢理作りました風だ。ラストで「どんでんがえし」のネタバレされるのだけれど、全部言葉で説明されているのでそれ自体嘘か本当か分からない。
そんなことは置いても、途中でどうもぎこちないというのが多々あった。タケの台詞じゃないが「出来過ぎている」。あの馬券のトリックだって、香炉の詐欺だって、じゃあ、ユースケ・サンタマリアやベンガルもコン・ゲーム劇団の一員じゃないとできるもんじゃない。大体、良く分からないけど余計な当たり馬券ってどうやって手に入れたのだろう。そんな手間を取る意味が分からない。
ラストのテツの人情話もどこか「出来過ぎている」。長女の河合やひろ(石原さとみ)、男友達石屋貫太郎(小柳友)、次女まひろ(能年玲奈)の3人がタケを最初から騙しているのは予告編通り。けれど、父親のテツは名うての詐欺師で3000万円の取り込み詐欺をいとも簡単にできるほど。なのに妻はなぜ裏金融にはまり、自殺したのか。タケのことを調べるぐらい気がまわれば、いくら家を出ても妻を自殺から助けることなどワケないのに。娘たちは母を自殺させたテツをなぜ恨まないのか。訳が分からない。
ヤクザの事務所へ「盗聴器が反応した」で早速検査というのは、いくら何でもこれはないだろう。ヤクザは詐欺被害に遭う老人じゃない。その逆だ。唐突に訪れても蛇の道は蛇、烏の飛行経路は烏だ、すぐに怪しまれてしまう。ましてや金庫に反応がありました、開けてください、なんて、「お前ら、いい加減にせいよ」でボコられること必定だ。
一番ワケ分からないのは貫太郎。もっと謎めいたキャラだと思ったのに、ただの変わった青年どまり。
そもそも、テツがなんでこんなややこしい仕掛けをしなければいけないのかが最大の謎だ。ラストで色々と説明しているが、いかなる説明も、こんな面倒くさいことを行う理由にはなっていない。もう、さっぱり分からん。
原作は読んでないけれど、原作者がアイデアに溺れて一人悦に入って書きあげたとしか思えない。伏線を回収することだけが生き甲斐の伏線厨なのか。原作者を投影していると思われるのはテツだが、あまりにテツが「神」過ぎているのもそのせいだろう。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 20:48│Comments(0)TrackBack(30)clip!邦画カハ行〜 | ★0

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50739736
この記事へのトラックバック
2012/11/23公開 日本 160分監督:伊藤匡史出演:阿部寛、村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈、小柳友、ベンガル、ユースケ・サンタマリア、戸次重幸、なだぎ武、古坂大魔王、上田耕一、鶴見辰吾 5人のサギ師(カラス)が挑んだ大勝負!! 驚きと感動の爽快エンタテイ...
カラスの親指【新・映画鑑賞★日記・・・】at 2012年11月25日 00:17
[カラスの親指] ブログ村キーワード  阿部寛、今年3本目の主演作!「カラスの親指」(20世紀フォックス映画)。刑事、古代ローマ人に続いて今度はプロのサギ師。さあ、あなたもダマされちゃいますか?  武沢竹夫(阿部寛)=通称・タケは、8年前に自身に振りかかった或る
「カラスの親指」気楽に見られる160分!【シネマ親父の“日々是妄言”】at 2012年11月25日 00:39
中年男のタケとテツは、コンビを組んだばかりのサギ師(カラス)。 アパートが火事に遭い荒川沿いの一軒家へ引っ越した二人の元に、スリの少女“まひろ”が、姉“やひろ”とその恋人“貫太郎”と共に転がり込んでくる。 5人の奇妙だがちょっと楽しい共同生活が始まったもの
カラスの親指【象のロケット】at 2012年11月25日 09:53
 朝から各党の論客が、熱い議論を戦わせているようですねぇ。皆さん、いろいろ仰っていますが、今度はダマされませんよ。では、本日紹介する作品は、観る者を見事にダマすこちら
カラスの親指 : これぞ、配役の妙【こんな映画観たよ!-あらすじと感想-】at 2012年11月25日 11:25
Data 監督 伊藤匡史 原作 道尾秀介 出演 阿部寛  村上ショージ  石原さとみ  能年玲奈  小柳友 公開 2012年 11月
カラスの親指【映画 K'z films 2】at 2012年11月25日 13:37
道尾秀介著の同名小説を阿部寛主演で映画化したサスペンスです。 予告編を観て、これは面白そうと公開を楽しみにしていました。 5人それぞれのキャラクターが創り上げるコラボレーションにワクワクするような作品でした(^^ゞ
カラスの親指【とりあえず、コメントです】at 2012年11月25日 15:28
「カラスの親指」は詐欺師のコンビがある日突然少女を助けた事で姉妹とその恋人との共同生活をする事となり、過去の因縁から5人は狙われてしまうが、5人は最後の大勝負を掛けて ...
「カラスの親指」助けた少女たちと共同生活した先にみた大勝負で騙し見事に騙された親指詐欺師の親心【オールマイティにコメンテート】at 2012年11月25日 19:34
原作は直木賞作家・道尾秀介、未読。 今年、3つ目の阿部寛主演作品。今度は詐欺師。 内容を口外しないように、ってあらかじめお約束の画面が(^_^;) まぁ・・・ね。 予告編やら、なんやら...
映画『カラスの親指』観てきたよ〜〜♪【よくばりアンテナ】at 2012年11月25日 22:00
 日本    監督:伊藤匡史  出演:阿部寛      村上ショージ      石原さとみ      能年玲奈 【物語】  ベテラン詐欺師のタケと、どこかマヌケな相棒のテ ...
カラスの親指【風情♪の不安多事な冒険 Part.5】at 2012年11月25日 22:52
☆過去の因縁に苛まれる詐欺師(阿部寛)が、自殺しようとしていた男を仲間に引き入れ、そして、因縁のあった男の追跡から逃れるために引っ越した先に、3人の若者が転がり込み、擬似家族を形成しつつ、それぞれの過去と決別するため、大きなヤマに挑む、ハートウォーミン...
[映画『カラスの親指』を観た(寸評)]【『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭】at 2012年11月26日 05:08
基本、キャストを見られなきゃ映画を見ない人(爆)10/20(土)〜28(日)までTOHOシネマズ六本木ヒルズなどで行われた「第25回東京国際映画祭」でワールドプレミアとして、また11/8( ...
【勝手に能年玲奈祭りパート2】東京国際映画祭・特別招待作品『カラスの親指』ワールドプレミア&完成披露プレミア試写会@TOHOシネマズ六本木ヒルズ【|あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο】at 2012年11月26日 10:30
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)サギ師が仕掛ける一世一代の大芝居を描く「カラスの親指」。コンゲームの爽快さより人情噺のウェットさが勝っている。タケとテツは中 ...
カラスの親指【映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評】at 2012年11月26日 19:39
評価:★★★【3点】(10) 笑えることに、ラストでタケが西、テツが地下鉄へと去り
カラスの親指【映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜】at 2012年11月27日 00:07
だまされてやろうじゃないか、と・・・ 「オフィシャルサイト」 【ストーリー】 悲しい過去を背負い、詐欺師として生きるタケとなりゆきでコンビを組むことになった男、テツ。 詐欺に励む二人のもとに、アパートを追い出された美人姉妹とその恋人が転がり込んできた。 ...
カラスの親指【いい加減社長の映画日記】at 2012年11月27日 08:20
カラスというのは詐欺師のことで、誰が親分なのかは最後までわからないのがいい。人間の5本の指でほかの4本としっかり向き合えるのが、親指だけだという。言葉遊びのユーモアもあって、時々笑える物語になっている。
カラスの親指【とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver】at 2012年11月27日 22:36
映画「カラスの親指」観に行ってきました。道尾秀介の同名小説を実写化した、阿部寛と村上ショージが主演を担う人間ドラマ作品。物語最初の舞台は競馬場。競馬場の馬券売り場で、あ...
映画「カラスの親指」感想【タナウツネット雑記ブログ】at 2012年11月28日 00:06
「カラスの親指」を鑑賞してきました人気作家・道尾秀介の同名ベストセラーを、「テルマエ・ロマエ」の阿部寛と、お笑い芸人村上ショージの主演で映画化した痛快エンタテインメント...
劇場鑑賞「カラスの親指」【日々“是”精進!】at 2012年11月29日 15:01
予告編には騙されたなぁ。
カラスの親指【だらだら無気力ブログ!】at 2012年12月01日 21:43
□作品オフィシャルサイト 「カラスの親指」□監督・脚本 伊藤匡史□原作 道尾秀介□キャスト 阿部 寛、村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈、小柳 友■鑑賞日 12月2日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<
『カラスの親指』【京の昼寝〜♪】at 2012年12月08日 09:18
 道尾秀介原作のミステリー小説を、「楳図かずお恐怖劇場 絶食」の伊藤匡史監督・脚本、「テルマエ・ロマエ」の阿部寛主演で映画化。 一見、蛇足で無意味に思えるような些細な部分も含めた、大小様々なパーツが、ほとんどムダなく、完全な形で機能していく巧みな構図に加
[映画][☆☆☆★★]「カラスの親指」感想【流浪の狂人ブログ〜旅路より〜】at 2012年12月23日 17:44
 『カラスの親指』を新宿武蔵野館で見ました。 (1)阿部寛がお笑いの村上ショージと共演するのが面白いと思い、映画館に出かけました。  物語の冒頭では、競馬場で、どの馬券を買うべきか思案に暮れている男タケ(阿部寛)が映し出されます。すると彼のそばに、いかに...
カラスの親指【映画的・絵画的・音楽的】at 2012年12月26日 05:56
【=53 -6-】 今日は、自分の出身単組が初出なので年賀の挨拶に行き、それから委員長と飯食って、今から神奈川に戻ります。 で、TOHOシネマズ1か月フリーパスポートによる8本目の鑑賞、別にどっちでもいいやと思っていたけど、たまたま時間が合ったので鑑賞したのだけど・...
カラスの親指 無駄な長尺や【労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと〜】at 2013年01月31日 09:49
 去年に見たのにまだ記事にしていないのをぼちぼちと記事にしていきます。  もともと好きな俳優さんですが、テルマエ・ロマエで爆笑させてくれた阿部寛がローマ人、刑事に続いて詐欺師を。石原さとみの「もう騙されちゃったもんね。」という予告も特徴的なカラスの
映画:カラスの親指【よしなしごと】at 2013年03月23日 21:20
ラスト20分で評価が変わる(;゚Д゚)! 「月と蟹」で直木賞に輝いた作家、道尾秀
「カラスの親指」 阿部寛はやっぱいい【ジョニー・タピア Cinemas 〜たぴあの映画レビューと子育て】at 2013年05月30日 00:05
2012年 日本 160分 サスペンス/ミステリー/コメディ 劇場公開(2012/11/23) 監督:伊藤匡史 原作:道尾秀介『カラスの親指 by rule of CROW's thumb』 脚本:伊藤匡史 出演: 阿部寛:武沢竹夫 村上ショージ:入川鉄巳 石原さとみ:河合やひろ 能年玲奈...
カラスの親指【銀幕大帝α】at 2013年06月04日 00:40
カラスの親指 by rule of CROW's thumb 通常版【DVD】キングレコード 2013-05-28売り上げランキング : 1158Amazonで詳しく見る by G-Tools これも劇場公開行きそびれてDVD鑑賞。 ちとネタバレしております、これから観る方はこっから先はスルーで。(^^; 実は...
ハートフルな”スティング”〜「カラスの親指」〜【ペパーミントの魔術師】at 2013年06月29日 00:13
わけあって短信です。 ・美人姉妹がかーわいい。準主役は能年玲奈さんなのだ ・コミカルなコン・ゲーム、詐欺師の物語です ・親指は他の全部の指と向き合える(確かに!) ・どんでん返し自体はそんなにびっくりするものではなかった ・ストーリーは良く練られてい
カラスの親指【いやいやえん】at 2013年08月16日 08:53
映画「カラスの親指」のブルーレイを見たのでレビューしてみたいと思います。 You
映画「カラスの親指」のブルーレイを見ました(能年玲奈とホールトマトと猫)【翼のインサイト競馬予想】at 2013年10月23日 11:23
『カラスの親指』 『グッモーエビアン!』 
カラスのエビアン!【Akira's VOICE】at 2014年01月08日 17:58
「あまちゃん」で大ブレイクする前の能年玲奈、奔放プリティ娘キャラ・全開になる前の石原さとみが、実にキュートでのびのび。キラキラしてます。主演の阿部寛は、もちろん、安定の存在感。村上ジョージの配役は、意外に見えて、最後まで見ると「…なるほど」。一見、素朴で
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb【のほほん便り】at 2015年03月31日 14:19