2013年02月22日

世界にひとつのプレイブック4

人生再生を文字通り賭けてしまう
playbook公式サイト。Silver Linings Playbook。マシュー・クイック原作、デヴィッド・O・ラッセル監督、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー、クリス・タッカー、ジュリア・スタイルズ。原題のSilver Liningsは雲の明るい外縁部。どんな暗雲でも明るい縁があるから前途の光明の比喩に使われるという。プレイブックは本作でも話題になるアメフトのフォーメーション作戦ノート。
アメフト用語は後半にも出てきて「サインを見逃すな」。フォーメーションの変更のサインを見逃すなということらしい。
フィラデルフィア。オープニングから精神科病院仮退院して生ゴミ袋を着て走るパット(ブラッドリー・クーパー)のみならず、父親のパット・シニア(ロバート・デ・ニーロ)、病院仲間のいつもハイ状態の陽気な黒人のダニー(クリス・タッカー)、少し後で出て来るティファニー(ジェニファー・ローレンス)まで、程度の差こそあれ、みんな逝っちゃっているので、ある意味度肝を抜かれる。唯一、「私、どうすればいいの?」というおろおろ顔がすっかり固まってしまったような母親のドロレス(ジャッキー・ウィーヴァー)のみが“まとも”に見えて哀れ。そう言えば、主演のブラッドリー・クーパーは「リミットレス」でも逝っちゃっていた。
シニアは倒産後、アメフトとMLBが生き甲斐という領域をとうに飛び越え、人生の唯一の大問題になってしまっていて、ノミ屋を行う毎日。以前、MLB中継を観ていたら、解説者の人がアメリカには本当にひいきチームが勝つか負けるかのみが人生の唯一の一大事という人が多いと言っていたからシニアは例外的存在ではないようだ。仰々しく兄弟の自画像の油絵が飾ってあるのは昔の栄光というか、今ある筈だった栄光の残滓のように見える。
いきなり無愛想な目つきで登場する被害妄想的なティファニー。ついこの前まで少女の名残りがあったジェニファー・ローレンス(祝:アカデミー主演女優賞受賞)の変身ぶりは別に彼女が女優として一皮むけたからではなく、最初から演技の引き出しを一杯持っていたということだろう。
ティファニーは、自虐ネタとああ言えばこう解釈して被害妄想化するテクニックが板についているみたい。実はティファニーは数年の結婚生活後、夫を交通事故でなくし、パットは暴力で妻から接近禁止令をくらっている要監視者。ちなみにシニアも喧嘩をしてアメフト競技場出入り禁止。父子で同じ状態なのだ。
一人は過去をなくしてしまった人、一人は過去に拘っている人だが、ティファニーだって元にもどらない過去に拘っている。
とにかく、みんな躁状態で早口で攻撃的、最初は一体どうなるのかと心配になるが、観る側もだんだんそういう世界に慣れてきて、いつの間にか笑いがこみあげて来る。滑稽なことに人生を賭けるみんなを応援したくなるのだ。パットの担当の精神科医までアメフトの試合になると逝ってしまっている。
正統派のダンスコンテストにダニー風ソウルなセクシーさを取り入れてケツをくねくねするティファニーとパット。ところが、シニアが「癒される」とさりげなく言っていた「ウェストサイド物語」の「マリア」がダンスの楽曲に取り入れられていて結構芸が細かい。
それをアメフトの試合と絡めたダブルの賭けのハンディにしてしまう家族たち。面白半分にやっているのではなく、みんな真剣に「人生の唯一の一大事」バージョンでやっている。ラストのハッピーエンドが何気にか全く不自然に見えないのが本作の功徳だ。
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Posted by y0780121 at 22:39│Comments(0)TrackBack(33)clip!洋画セ、ソ | ★4

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☆☆☆★(7点/10点満点中) 2012年アメリカ映画 監督デーヴィッド・O・ラッセル ネタバレあり
映画評「世界にひとつのプレイブック」【プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]】at 2014年03月05日 14:48
1 : 名無シネマ@上映中 [sage] 2012/12/28(金) 23:22:37.20 ID:3tMUibT3少しイカれたきみが、なぜか希望の光。心が壊れたふたりの出会いと再起に、全世界が応援!爆笑がいつしか大粒の涙に変わる ...
世界にひとつのプレイブック【映画大好きだった^^まとめ】at 2014年07月04日 18:36
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DVDスルー:ジョイ Joy DVDスルーだが、予想外に持ってかれる、拾いものの一本。【日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜】at 2017年04月18日 00:23