2013年04月13日

舟を編む〜言葉の光と影3

「右」の意味と言葉の観覧車的性質
funewoamu公式サイト。三浦しをん原作、石井裕也監督、松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、小林薫、加藤剛、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰吾、麻生久美子、伊佐山ひろ子、八千草薫。同じ三浦原作の「まほろ駅前多田便利軒」の松田が主演。なぜか「ウルトラミラクルラブストーリー」のコンビ、横浜聡子監督がメイキングを担当、麻生久美子が新辞典「大渡海」のメイキング、宣伝ポスターを飾っている。まあ、松山ケンイチ、麻生コンビは本作の松田、宮崎あおいコンビと似てなくもないが。
「大渡海」という名前は歴史的に名高い「大言海」からの借用だろう。思えば本作は色々な借用で再編集されている感じを受ける。
タイトルはどうも「舟を漕ぐ」の駄洒落っぽい。実際、観客馬締=まじめ(松田)が居眠りしてしまうシーンもある。馬締にしても、馬締が満月の夜に出逢う香具矢(宮崎あおい)にしても、名前が直截的にふざけているし。そもそも竹取物語のイメージは同じ宮崎の「きいろいゾウ」そのまま移動した感じだ。いくら1995年から物語が始まるとしても、2人が出逢う「早雲荘」=大家の名前はタケ(渡辺美佐子)はいかにも古風で、やはり宮崎の「神様のカルテ」に出て来る「御嶽荘」と雰囲気が似ている。この下宿も「大都会」の中の「舟」ぽい。「言葉の海」ではないけれど、事ほど左様に映画も年々新作が作り続けられており、「映画の海」のなかで相互作用を起こして新しい映画が編まれている。
辞書編集部は大出版社の中ではもはやお荷物。新館の陰に隠れた元の本館に配置された建物は小さく、文字通り日蔭者扱い。大学院で言語学を修めた馬締は皮肉にも他人とのコミュニケーションが苦手で営業部で役立たず、辞書編集部に辿り着いた。
言わば本作は社会のというか、組織の日蔭者の物語で、自分の居場所を求める物語。女性の板前を目指す香具矢も何かしら日蔭者で板前という女性に馴染みのない職種に居場所を求めている感じだ。それは香具矢が馬締とのデートで観覧車の中で言う台詞「観覧車って楽しいけど寂しいね」で現わされている。そのココロは地上(世間)から浮いていて楽しいけれど、それぞれが孤立していて寂しいということだろうか。
ちなみに香具矢の疑問、観覧車の発明者はフェリスという人で、観覧車は英語でFerris wheelだ。これは映画「青春の光と影」の主題歌“Both Sides Now”に出て来る歌詞を意識しているのかも。

ちなみに本作の大問題、「右」という意味は広辞苑でも
【右】南を向いた時、西にあたる方。
と書かれている。本作でも「堂々巡りですね」という台詞があるが、これはこれで言葉の観覧車なのだ。
「光と影」のイメージはラストで馬締が見る本物の海に現れているよう。1960年代の映画そのものはロードムービーだが、本作の辞書編集作業も果てのないロードを歩むようなもの。
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Posted by y0780121 at 20:36│Comments(0)TrackBack(36)clip!邦画フーホ | ★3

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No.351 舟を編む【気ままな映画生活】at 2013年06月09日 21:34
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舟を編む【C’est joli〜ここちいい毎日を♪〜】at 2013年06月11日 23:03
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監督:石井裕也 出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰吾、小林薫、加藤剛 【解説】 2012年本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説を、『川の底からこんにちは』などの石井裕也監督が実写映画化。ある出版社の寄せ集め編集部が...
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舟を編む【のほほん便り】at 2014年04月30日 08:29