2013年05月20日

旅立ちの島唄〜十五の春〜3

耐え切って別れる
15noharu公式サイト。吉田康弘監督、三吉彩花、大竹しのぶ、小林薫、早織、立石涼子、山本舞子、照喜名星那、上原宗司、手島隆寛、小久保寿人、新垣則夫。沖縄本島から東へ360キロにある南大東島には高校がない。14歳の三線奏者仲里優奈(三吉彩花)は島を出て行く少女民謡グループ“ボロジノ娘”の先輩を送るために恒例の別れの唄「アバヨーイ」を歌う。
先輩が歌っている途中、優奈がハッとして緊張する。先輩が涙をこらえきれない気配を感じたからだ。1年後、自分が送られて歌う立場になって師匠新垣則夫に言われるのは、「耐えきって歌わないとこの歌を歌う意味がない」という教えだった。この教えは歌だけでなく本作の物語の通奏低音になる。
そして、優奈の最後の1年が始まる。途中、北大東島とのスポーツ大会は同じ離島を描いた「渾身 KON-SHIN」のように沖縄相撲決戦まである。父利治(小林薫)は惜敗して腰を痛めて大会引退決意をするのだけれど。北大東島の野球少年健斗(手島隆寛)はまるで素朴で神話的な悲恋になる。
離れ離れの島暮らしは、全て旅立ちの島唄「アバヨーイ」に向かう。那覇の同じ高校に通うことを希望した2人だが、漁業を体の弱った父から受け継ぐために高校進学をあきらめる健斗。定期船は時化で遅れ、漁船で会いに行く優奈とサトウキビ畑の濡れ場未満は「耐えきって歌わないとこの歌を歌う意味がない」と同じトーンで、耐えて別れるのだ。この2人の悲恋を中心に描いても良かった気がする。
15noharu2実は利治も那覇に出て行った妻の明美(大竹しのぶ)と別居状態。姉の美奈(早織)は逆に夫の克也(若葉竜也)と不和になって赤ちゃんと一緒に島に出戻って来る。基本的に全部15歳に島を離れるから落ち着く覚悟がなかなかできないのだろうか。那覇に出ても島出身者は圧倒的少数派。しかも南大東島は100年前に八丈島から渡って来た人々開拓した島で、他の沖縄とはまた異なるのだ。また沖縄は若年離婚が多いらしい。
本作で一番耐える男は利治。優奈の最後の「アバヨーイ」が迫った時、教室を訪れて優奈の練習を見ているうちに涙が出そうになって仕事用のキャップを慌ててかぶり、早々に立ち去る。本番でも母は涙を流すのに利治は最後まで涙を流さない。優奈も最初から最後まで涙を流さない。妻は元々沖縄本島の人間、利治と優奈は南大東島生まれだ。涙をこらえる耐性が15歳からついているのだろうか。
ちなみにニュースにもなったが、この南大東島はサトウキビだけが産業のような島。TPPという現在進行中の問題が挿入されている。「サトウキビ産業がつぶれれば無人島になる」と本作でも言われていた。無人島となれば、尖閣諸島と同じになってしまう。また本日も南大東島の接続水域に中国と見られる外国船籍の潜水艦が航行したというニュースが流れた。この平和な離島にいつの間にか不穏な気配が流れ始めている。
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Posted by y0780121 at 22:27│Comments(0)TrackBack(2)clip!邦画タ、チ | ★3

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沖縄本島から360km東に位置する絶海の孤島・南大東島。 この島には高校がないため、進学する子どもたちは15歳で島を旅立つ。 地元の少女民謡グループ“ボロジノ娘”の新リーダーで中学3年の優奈は、さとうきび農家の父と二人暮らし。 母は兄と姉の進学に同行し、ずっと沖
旅立ちの島唄 〜十五の春〜【象のロケット】at 2013年05月22日 17:50
南大東島で暮らす一人の少女を中心に島民たちの生活や心情を描いた作品です。 予告編で島を離れる前に少女が島民の前で披露する歌を聴いて、観てみたいなと思っていました。 じっくりと描かれた厳しい現実と、美しさに見とれるような風景に、複雑な想いを感じるような作品で
旅立ちの島唄 〜十五の春〜【とりあえず、コメントです】at 2013年05月25日 13:35