2013年06月16日

インポッシブル3

永遠に逝かなかった子どもたち
impossible公式サイト。スペイン映画。原題:Lo Imposible、英題:The Impossible。「永遠のこどもたち」のフアン・アントニオ・バヨナ監督、ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー、トム・ホランド、サミュエル・ジョスリン、オークリー・ぺンダーガスト。2004年12月に起きたスマトラ沖大地震で巨大津波に襲われたタイ・プーケット島で被災したスペイン人家族5人全員生還の実話に基づく。映画ではイギリス人夫婦に変えられ、姓もベネットに変わっているが現実の内科医マリア・ベロンさん(ナオミ・ワッツ)の名前は同じマリア、夫や子供たちの名前もスペイン名に準じた名前になっている。
当時、同じプーケットに来ていた日本人女性とオーストラリア人男性の若い夫婦が被災し、日本から来た母親が娘の死亡を聞いた途端、砂浜で腰抜かして嗚咽するニュース映像を今も覚えている。他にも少年一人が生き残り、家族全員が死亡という悲劇もあった。そうした記憶があるので映画そのものにはそれほどインパクトは感じない。
運命の瞬間の前に、その予兆のようなことが描かれている。ベネット一家が乗ったジャンボ機が空港に着陸する直前、乱気流で機体が揺れる。一家は3人と2人離れた座席に座っていたがマリアはシートベルト付けようとしない長男ルーカス(トム・ホランド)の隣の席に交代し、小さな子どもたちはヘンリー(ユアン・マクレガー)と一緒に3人で座る。この最終的な座席配分、そのまま運命の瞬間と同じ配分になってしまう。お金持ちらしく、ビジネスクラス。
その前夜、一家は他のホテル宿泊者と気球型灯篭を飛ばすが、子供が「あ、一つ離れて行く」と言っている。まるで離れ離れになるのを予感するように。もちろん、ここまでは映画的演出だろう。
そして、当日、ホテルは機体の乱気流のように揺れるが、程なく水の壁がやって来る。津波のシーンは現実の映像を見ているから意外と抑え気味な感じがする。
見ていて津波が来るのがちょっと早過ぎないかと思った。夫婦がプールサイドで将来のことを話し合うシーン、揺れがいったん収まってからの方がリアルだったかも。実際にプーケットに津波が到達したのは、地震発生から2時間半後のことで、今から思えばかなり余裕あった。通信連絡が行き届かないうえ、津波が来るとは誰も予想せず、実物が来るまでみんな至ってのんびりしていたことになる。我らが日本人も6年ほどして同じ経験をするとは想像もできずにのんびりしていたのだから、人間はどこまでも脳天気にできている。
impossible2実際の夫婦と演じた俳優4人の写真(→)を見ると、夫のエンリケさんは体がデカい。マリアさんもいかにも元気元気な女性そうで、この夫婦ちょっとやそっとじゃくたばらなさそう、という印象がある。タフな夫婦にして今度の生還だろうなあ。
ところで、「奇跡」と言っても滞在していたスペイン人限定らしい。Maria Belon
She has been outspoken in regards that her story of survival is not the only one, and she is one of many who suffered and survived.
とあまりにメディアに出まくるマリアさんにやっかみ半分なのか、他にもたくさん生き残った人たちがいるのに、と文句言われたらしい。まあ、目立つのもタフな証拠なのかも。それにしても、ナオミ・ワッツ、「フェア・ゲーム」でもCIAエージェントの実在するタフな女性を演じていて、タフな実在女性を演じるのが好きなのか。
演出的には、ルーカスの背骨の突起部が連なって赤く腫れているのがリアル。津波にもまれて色々な物にぶつかった形跡。助言したマリアさん自身が内科医でそうした方面の観察眼が鋭かったのだろうなあ。マリアは自分の脚も黒ずんでいるかどうか二度尋ねている。ルーカスは二度とも「赤いよ」と言うが二度目は嘘。嘘をついた後、一目散に看護婦のところに行き、「ママを助けて」と懇願する。多分、演出ではなく、現実のルーカスも聡明で機転が利いたのだろう。
一方のヘンリー。車が出る直前、病院前で3人の子供たちと再会。ヘンリーのためにバッテリーが切れるかもしれない携帯電話を二度貸した男性が“No need to wait.”と運転手を促すのはかなり感動的だ。本当なら握手の一つもして別れたかったのに。これは多少演出が入ってぽい感じがするけれど。
ラストで応急手術を受けたマリアが「完璧な医療が受けられる」シンガポールへ保険会社が手配したプライベートジェットで華麗に飛び立つのは何となくしらけた気分もないではない。やっぱカネ持ちは強いというか。けれど、作る側だってそんな反応想定済みだろうから、むしろリアルにこだわった正直な描写なのかも。
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Posted by y0780121 at 18:29│Comments(2)TrackBack(16)clip!洋画イ | ★3

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この記事へのコメント
打撲や裂傷、その他の表現はさすが医者、と感じました。

ラスト近くは「さすが、チューリッヒ保険!」と思いました。
大勢の避難者と一緒ではなく、プラベートジェットでしたし、保険は大事だ、ってことですかね。
Posted by KGR at 2013年06月20日 14:09
被災する前にジャンボ機の中でユアンが見ていたのがチューリッヒ保険の書類だったらしいですな。私は見逃しましたけど。保険のプロダクトプレイスメントなんて初めて。映画料金CM代分100円値引きしてもらいたかった。
Posted by 佐藤秀 at 2013年06月20日 15:33