2013年08月08日

KIDS(2008)〜傷の共有2

kids乙一原作、荻島達也監督。小池徹平、玉木宏、栗山千明、斉藤由貴、泉谷しげる。タイトルは「傷」と掛けられている。「きみにしか聞こえない」に続く乙一原作、荻島監督コンビ第2弾。本作でエスパーという設定のアサト(小池徹平)も、解体工のタケオ(玉木宏)も、シンヤ(小出恵介)と同様、「修理」とか「リサイクル」をしている。そうすると、究極で癒される側はシホ(栗山千明)になる。
シンヤが廃墟のような児童公園をリサイクルのようにしてリニューアル。こちらは肉体派的リサイクル作業。一方のアサトは超能力でまるで新興宗教のような手かざしで他人の傷を自分自身にカット&ペーストして修繕する。もう一つのテレキネティックの能力を勘案すると、傷そのものをテレキネティックしているように思える。ついでに言えば、傷の最終処分地、病院で意識不明のまま寝たきりのタケオの父というのはパソコン的にはごみ箱ということになる。
それにしてもだ。シホが付けているマスク、2人とも誰も疑問に思わないのはどういうことなのか。ずっと気にしてたのにネタバレしてくれるのは保護司(泉谷しげる)。その保護司でさえ、アサトの超能力に気付いていない。刑務所にいる母親(斉藤由貴)は警察の取り調べで吐いているのだろうけれど、まあ、錯乱した女の妄想と誰も信じなかったのだろう。
けれど、タケオもシホもアサトの超能力を簡単に受け入れ過ぎていないか。このあっさり感は一体何なのだろう。「きみにしか聞こえない」では脳内携帯は妄想と済ますこともできるし、原田という中間子が介在していたのだけれど、この3人にはそのような介在者はいそうにない。どこかでアサトの超能力の合理性を担保するようなものが見つけられなかった。あえて言えばこの「どうしようもない」町に呪縛されたどこにも行けなさの共有だろうか。
シホの顔の傷をカット&ペーストしたアサトだが、なぜかいつものように“ごみ箱”に捨てに行かない。この時点から何かが変わる。母親に決定的なことを言われたからとも取れるが、傷が治ったシホが町を出て“3本の矢”のバランスが狂ったのかとも取れる。実は彼らの団結心、仲間意識はほかならぬそれぞれの“傷”ではなかったか。
自動車の玉突き衝突事故で大惨事が起き、日頃は迷惑がられている町の愚連隊たちも救助に参加する。アサトもタケオも互いに傷を交換して救助に貢献するのだが、この大惨事でもはや“傷”なしで生きていけるようになるという究極の癒しが起きる。町全体が3人と“傷”を共有するようになるのは東日本大震災直後の日本と似てなくもない。
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Posted by y0780121 at 20:24│Comments(0)TrackBack(1)clip!邦画A-M | ★2

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寂れた街のアメリカンダイナーで出会ったアサオとタケオ。  アサトはチンピラに絡まれたところをタケオに助けられ、その身体の傷を自分に移した事をきっかけに、人の傷を自分に移すことができる事に気付く。 タケオがアサトの秘密を知ったときから、友情が始まった…。 
KIDS【象のロケット】at 2013年08月09日 13:36