2013年10月07日

ムード・インディゴ うたかたの日々5

まるでサルトル+村上春樹
indigo公式サイト。原題:L'ecume des jours、英題:Mood Indigo。ボリス・ヴィアン原作、ミシェル・ゴンドリー監督、ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、ガド・エルマレ、オマール・シー、シャルロット・ルボン、サッシャ・ブルド、ナターシャ・レニエ、フィリップ・トレトン、アラン・シャバ、アイサ・マイガ。いきなりタイプライター大会会場のようなシーンで、「タイピスト!」の続きのような錯覚。実際、主演のデボラ・フランソワが紙を配る係員でカメオ出演していた。
このタイプライター会場で打たれるストーリーが本作の物語になる仕掛け。ほとんどSFというかファンタジーなのだけれど、どうもベースになっているのはジャン=ポール・サルトルの小説「嘔吐」らしい。原作の「うたかたの日々」同様、ジャン=ソール・パルトル(フィリップ・トレトン)が登場し、吐き気の代わりに「黴臭い」という表現が出て来る。
indigo2またストーリー自体はサルトルの「人間は自由の刑に処せられている」という言葉をシュールに映像化したような仕上がり。
何しろ、ピアノの演奏でカクテルの味が決まったり、カネ持ちで働いていない独身貴族の主人公コリン(ロマン・デュリス)の気分次第で、部屋が広がったり狭まったり。街が建設中なのにクレーンが遊園地の空に浮かぶ文字通りのうたかたのような遊具になり、クレーンの操縦士がディスクジョッキーのようであったり。
コリンはジャズ好きで鼠と話もできる。専任の調理師ニコラス(オマール・シー)も想像力で好き放題の料理を作る。ジャズ、鼠、料理と、まるで村上春樹の小説の原典のような人物でもある。実際、1947年の小説の原作者のボリス・ヴィアンもアメリカ文化好きでジャズを好み、アメリカのハードボイルド小説の翻訳家でもあり、フランス版村上春樹のような作家でもある。
恋人のクロエ(オドレイ・トトゥ)の肺に睡蓮の花の蕾が根付くというのは「シャニダールの花」のよう。
それにしても、主要登場人物がコリン(Colin)、クロエ (Chloe)、ニコラス(Nicolas)とまるでアナグラムぽいほど名前の使用文字が近接している。まあ、一人の自由な人間の妄想と考えれば、3人全て一人の人間の分身になってしまうのだけれど。
やがて、コリンはクロエの衰えとともにおカネも底を突き始め、それとともにコリンの部屋も狭くみすぼらしく「黴」が生えて来る。正に嘔吐ならぬ黴臭さだ。自由を楽しんだなれの果てに窮乏化したコリンが強いられる死亡したクロエの葬送はまるで「自由の刑」だ。

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Posted by y0780121 at 22:41│Comments(0)TrackBack(11)clip!洋画ミ-モ | ★5

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