2013年11月12日

四十九日のレシピ〜カラフルな悪夢5

♪死んだはずだよオトミさん
49recipe公式サイト。伊吹有喜原作、タナダユキ監督。石橋蓮司、永作博美、二階堂ふみ、岡田将生、原田泰造、荻野友里、淡路恵子。仏教で四十九日とは人の死後49日間、次の生に生まれ変わるまで死者の魂が中有に彷徨っている期間。ということはどこかに幽霊が紛れ込んでいるのだ。岐阜県に住む熱田良平(石橋蓮司)の家に二週間前に急死した後妻の乙美(おとみ)に世話を頼まれたとカラフルなロリータ・ファッションの井本(二階堂ふみ)が闖入して来る。
乙美がボランティアをしていた依存症更正施設「リボンハウス」から来たのだという。実は「リボン」は“reborn”で、生まれ変わったという意味。井本が手にしていたのはカラフルなイラスト付き「暮らしのレシピ」。四十九日の法要が終わるまでの生活のレシピを乙美が井本に託したのだ。乙美の遺言は「四十九日の大宴会」。井本はやはりリボンハウスから日系ブラジル人ハル(岡田将生)を連れて来る。彼もカラフルな服装で、乗っているフォルクスワーゲンのビートルも黄色で超カラフル。カラフルな2人とカラフルなレシピ。勘を働かせれば、カラフルにどういう意味が暗示されているのか想像できる。
49recipe2ほぼ同時に先妻の娘で東京で結婚生活していた百合子(永作博美)が夫の浩之(原田泰造)の浮気がばれ、離婚届にサインして出戻って来る。原因は不妊をめぐる隙間風。すっかり生きる気力をなくしていた良平も、傷心の百合子も戸惑いながらも明るくてまめな井本らのペースに巻き込まれ、再生する気力が湧いてくる。
そもそも良平と知り合った頃の乙美(荻野友里)は両親を幼い時になくし、晩婚で子宝に恵まれず、母親としてどう幼い百合子に接していいのか分からず、自分でレシピを作って主婦業を独学していたのだ。
やがて井本が自らネタバレすることに。窓ガラス葺きの洗剤の泡で“IMOTO”と書くと裏から読むと“OTOMI”となってしまう。ハルもまるで最初から存在しなかったかのように呆気なくバイバイする。
四十九日の法要は型通り行われるのだが、乙美の自分史年表が部屋の壁いっぱいに貼られ、カラフルなサインペンで埋められている。「子供を産まなかった女の人生は空白ばかり」が口癖だった乙美の寂しい人生を埋め合わせするかのように。出席客は誰も注目しないのだが・・・。
サプライズの“二次会”があり、カラフルな衣装のフラダンスが。リボンハウスの面々なのだが、一人に「私たちを呼ばない方がいい」と言われていた。自分たちは消えるのだからと。
49recipe3法要が終わると、現実離れしていた井本はいつの間にかスッピンの普通の女の子に変身し、他のボランティアの女の子たちと普通に帰って行った。百合子は迎えに来た浩之と一緒にビートルに乗って帰る。
まるで“カラフル”な部分は全てが己の妄想だったかのように良平は一人川べりに取り残される。実は乙美が亡くなった時、ランチのコロッケパンの味わいをもたせようとソースをたっぷり効かせたのがあだになってソースのシミが付き、怒って持って行かずに釣りに出かけていた。思えば乙美は自分の作ったカラフルな弁当を幼い百合子が落として台無しにした時も我慢してくれていたではないか。
良平が釣ったイワナをクーラーボックスに入れ、「大切な人に持って行く」と言ったの「大切な人」は乙美のことだろう。本作では、浩之がクーラーボックスを持った良太を見かけるが、いくら何でも東京にまで来る筈がない。恐らく浩之は実在せず、良多の妄想の中の自分のドッペルゲンガーだろう。百合子は乙美のドッペルゲンガーということになる。浩之が土下座して百合子を連れ去る時、乙美は本当に成仏する。それは良多の乙美への土下座だ。百合子の離婚トラブルとコロッケパン事件、弁当台無し事件は重なっているのだ。
つまり熱田家にいるのは最初から最後まで良平ただ一人。百合子が存在していれば乙美の葬式に帰って来ているだろう。自分史年表に乙美と百合子2人だけの話は書かれない。あれほど長い継母継子関係を過ごしたのに。オープニングのまま、悔悟の悪夢にうなされている良平ただ一人なのだ。あの川は三途の川のメタファーぽい。

Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 18:28│Comments(0)TrackBack(4)clip!邦画シ | ★5

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50773473
この記事へのトラックバック
後妻・乙美(おとみ)を亡くし途方に暮れている良平の家へ、若い派手な女・井本がやって来る。 一方、良平の娘・百合子は、夫の愛人から子どもが出来たと知らされ、ショックのあまり実家へ帰ることに。 自分が死んだら手作りの“暮らしのレシピカード”をもとに「四十九日
四十九日のレシピ【象のロケット】at 2013年11月15日 10:20
2013年 日本 岐阜県東濃地方の田舎町妻・乙美の突然の死から数日後の熱田良平(石橋蓮司)散らかった台所、茶の間でスェット姿で寝転がる良平乙美の遺影を見ながら思い出すのは、最後に釣りに出かける良平の為にお弁当にと作ってくれたコロッケパンのソースが漏れ...
映画・四十九日のレシピ【読書と映画とガーデニング】at 2013年11月18日 19:52
映画「四十九日のレシピ」を鑑賞しました。
映画「四十九日のレシピ」【FREE TIME】at 2013年11月23日 22:20
 『四十九日のレシピ』を渋谷TOEIで見ました。 (1)本作を制作したタナダユキ監督の前作『ふがいない僕は空を見た』がなかなか面白く、さらには永作博美が出演するというので映画館に行ってきました。  主人公の百合子(永作博美)は、夫・浩之(原田泰造)に愛人がい...
四十九日のレシピ【映画的・絵画的・音楽的】at 2013年11月26日 05:35