2013年12月26日

麦子さんと〜崩壊家族からの回復3

mugiko公式サイト。吉田恵輔監督。堀北真希、松田龍平、余貴美子、温水洋一、ガダルカナル・タカ、ふせえり、岡山天音、田代さやか、麻生祐未。特定されているわけではないが、山梨県都留市がメインロケ地で同じ山梨県が舞台の「もらとりあむタマ子」とちょっと共通する要素がある。ともに荒んだヒロインの物語である点でも。
1982年にヒットした松田聖子の「赤いスイートピー」。その後の30年、地方は疲弊し、心も荒みがち。そこにかつて地元にいたアイドル候補そっくりの麦子(堀北真希)が戻って来た。
麦子は30年前の母親彩子(余貴美子)と瓜二つの顔立ち。当然、堀北は一人二役。この二人の堀北はかつての地方の賑わいと今の荒みぷりがオーバーラップされる。
荒んだ家庭は、小岩家の親子ばかりじゃない。兄の憲男(松田龍平)も突然家に戻って来た彩子に対してばかりか、一見味方のように見える麦子に対してもかなり距離を置いている。麦子も憲男のことをろくに知っておらず、「おカネがないのにパチンコに行ってばかり」と憲男がパチンコで働いているのも知らなかった様子。ほとんどまともな意思疎通がないらしい。
仲の良さそうな兄妹さえそうなのだから彩子は蚊帳の外。というか嘘の意思疎通でかろうじて成り立っており、ラブホテルの清掃係なのにスナックに勤めていると言うし、ましてや末期の肝臓癌などとは言えない。麦子にはり倒され、頭を箪笥にしたたか打って、麦子を見上げる何とも悲しい目は余貴美子ならではのものだろう。そんな人にやっと愛情を注ごうと肝臓に悪い脂っこい豚カツを作ってあげる麦子。彩子は呆気なく死去してしまう。
火葬場で彩子を見とるのは兄妹のみ。ちょっと気を利かして彩子の故郷の知り合いに連絡すれば駆け付ける人多い筈。実際、そうであることが分かる。しかし、気を利かそうにも普段からディスコミュニケーションだから気を利かせられる筈もない。
そもそも納骨のため麦子一人で故郷に行くというのも、寂しい限り。普通、兄妹2人で行くだろうが。そこで出迎えた故郷の人々もほとんど家族崩壊な感じばかり。皆が皆、麦子にかつての彩子を重ね合わせて見るのは、失われた地方の幸せと希望を見ているからだ。
その中でかつて彩子の友人だったミチル(麻生祐未)の住居に世話になった麦子はミチルがかつて漫画少女だったことを知り、むしろずけずけと、まるで親子喧嘩みたいに話すのが哀しくもおかしい。母親とはそれまで親子喧嘩すらしていなかったらしいのだから。母と同じ料理を作っていたこともミチルが擬似母として麦子にきっかけを与え、かつて自分が彩子にしたのと同じように民宿の息子を平手打ちする。息子をぶったと言うより過去の自分自身をぶったのだ。これもコミュニケーション回復の一つだ。
祭りで麦子は「赤いスイートピー」を歌えない。麦子が最終的に目指す職業は、アニメの声優。母の様なアイドル一直線ではなく言わば黒子役というのが微妙に渋い。
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Posted by y0780121 at 19:41│Comments(0)TrackBack(6)clip!邦画ミ-モ | ★3

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☆☆☆★− (10段階評価で 7) 3月8日(日) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。
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