2020年01月31日

第七の封印(1957)4

seventhseal原題:Det sjunde inseglet、英題:The Seventh Seal。スウェーデン映画。イングマール・ベルイマン監督、マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド、ベント・エケロート、ニルス・ポッペ、ビビ・アンデショーン、グンネル・リンドブロム、ベティル・アンデルベルイ。悲惨な十字軍遠征から中世の北欧に帰還した騎士アントニウス(マックス・フォン・シドー)を追うように黒死病という死神(ベント・エケロート)が追って来る。コロナウィルス死者が増えているが、中世の黒死病を描いた作品。(初出:2014年1月17日)
タイトルはヨハネ黙示録から。人々に最後の審判が予感されている。
アントニウスは死神と海岸でチェスをして勝てば死の延期を約束させるのだけれど、どう見ても勝ち目ないでしょ。死神に勝った人間はこの世に存在しなかったのは分かっている。アントニウスは死神と対話することで、神や悪魔が本当にいるのか確かめたかっただけ。大体、死神とチェスなんて酷い時代にユーモア感覚が溢れているのだが。
従者ヨンス(グンナール・ビョルンストランド)は、黒死病が蔓延する疲弊した町で今や盗賊に成り下がった神学者ラヴァル(ベティル・アンデルベルイ)にレイプされかかる若い女性(グンネル・リンドブロム) を守ってやる。その後もラヴァルを懲らしめるから余程神を信用しなくなったようで無神論者になったらしい。無神論者は死神も見えないらしい。「神は恐怖と絶望が形になったもの」に過ぎないと。
もう一つ、旅芸人の家族がいる。旅芸人(ニルス・ポッペ)は空想癖なのか、たびたび幻想に耽り、聖母マリアを見たと言い張る。こちらはこちらで、死が間近に迫る中、神を幻視している。アントニウスは死神を見た経験から海岸線を辿らず、森の中を行こうと勧める。しかし、森の中で寝ている時、旅芸人はアントニウスが死神とチェスをしていることに気付く。妻(ビビ・アンデショーン)が死神を見えないのは恐らく神に無関心(彼女は夫が聖母マリアを見たと言うのを夫の空想癖だと呆れている)だからだろう。旅芸人一家はアントニウスらと離れて再び海岸線を辿る。
その旅芸人の幻視の世界と旅芸人が演じる芝居とが通じていて、その中にアントニウスらもいるとすれば、アントニウスが見た死神は旅芸人の幻視の中で見たという、言わば神に疑問を持つ者=アントニウス、無神論者=ヨンスも、信心深い?旅芸人とが入れ子構造になっていることが読み取れる。
つまるところ、神への疑問、無神論、あるいは宗教性の中にある。結局、人間は不信心であろうがなかろうが、神という観念から免れないことになる。
ラストで旅芸人は死神に数珠つなぎに引っ張られるアントニウスらを幻視する。妻には見えないのだが。

イングマール・ベルイマン監督の他作品:「野いちご(1957)
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Posted by y0780121 at 17:41│Comments(0)clip!洋画ダ | ★4
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遠征に失敗した十字軍の騎士が故国で目にしたのはペストが蔓延し、廃退しすさんだ心でうつろう人々。 そんな騎士のもとに死神が迎えにやってくるが、騎士は死神に生死を賭けてチェスを挑戦する…。 生と死の問題を信仰の中に問い詰めた作品。
第七の封印【象のロケット】at 2014年01月19日 21:19