2014年07月19日

思い出のマーニー〜アンナとスケッチの女王4

Marnie0公式サイト。原作英題:When Marnie Was There。ジョーン・G・ロビンソン原作、スタジオジブリ作品、米林宏昌監督。(声)高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳、森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真。タイトル通り、杏奈が過去に出会ったマーニーの思い出の物語。“本物”のマーニーもほんのちょっと出て来る。
札幌市に住む心を閉ざした12歳の中学1年佐々木杏奈は喘息を治すため継母頼子の親戚の大岩夫婦が住む釧路と根室の間にある恐らくは厚岸か霧多布の海岸の町に夏休みの間、保養に出る。キハ283系特急「おおぞら」が出て来るので時代は1997年以降か。
海岸に立つ洋館湿っ地屋敷に杏奈は懐かしさを感じて干潮の時に渡る。そもそも杏奈は校庭でお城なのか洋館なのかをスケッチしていて最初からこの洋館に既視感があった。
気付くと満潮で帰れないが外国人ぽい無口な年配男性がボートで迎えに来る。杏奈は無口な故に男性に好感を持つ。恐らく夢の中で金髪の青い瞳の外国人マーニーと仲良くなるのだが、青い瞳と言えば、杏奈も地元の人から「青い瞳」と言われている。どうも杏奈はハーフかクオーターのようだ。すると、この外国人ぽい男性ももしや・・・。何かこのシーン、「八月の鯨」の姉妹の青春と老境を結ぶ船頭のランドールを彷彿させる。
Marnieそもそも杏奈が最初に海岸に出る時、坂で転げ落ちている。とすると映画文法的に海岸で見た風景や人物は杏奈的には輪の内側ではなく外側の世界。自分が属している外側の世界。故に唐突に「風立ちぬ(2013)」の軽井沢の菜穂子のようにキャンバスで絵を描いている久子も外側の人。
そうすると、久子が「改築が進んでいる」と言う湿っ地屋敷も信用できない。改築業者が大勢来ていたのなら、とっくに村に知れ渡っている筈。じゃあ、東京から湿っ地屋敷に転居して来たという少女さやかだって・・・。さやかは屋敷内で見つけたマーニーの日記から、いつも海岸から湿っ地屋敷を見つめていた杏奈をマーニーと思い込むのだが。←これ、半分当たっているかも。ある意味マーニー=杏奈だろうから。何気にか「アナと雪の女王」とかぶって来る。
ラストは怒涛のネタバレになるのだが、本当にネタバレなのか眉唾だ。これは「マーニーの物語」のネタバレぽく、本作そのもののネタバレではない。マーニーは札幌に引っ越し、恋人と結婚したが夫と死別、娘は口をきいてくれず、家を出て結婚し、一人娘杏奈を産んだが夫婦とも交通事故で死亡、杏奈はマーニーおばさんが育てたがやがて死亡、頼子が引き取ったって、ちょっと無理がある。頼子がマーニーおばさんのことを隠す理由が分からない。隠したいのならマーニーの故郷の町に杏奈を行かせないだろう。そもそも杏奈だってマーニーおばさんのこと、普通に覚えている筈。記憶を呼び起こしてもあんな少女にはならない。町の住民だってあんな目立つ屋敷に住んでいたあんな目立つ金髪の少女のこと、今でも伝説として知っている筈。
Marnie1そもそも、この「湿っ地屋敷」、「しけっちやしき」と発音している時もあったような。「しけっち」? 「スケッチ」の訛り? 本作でスケッチしているのは久子と杏奈。「スケッチ」を「しけっち」と発音したのは幼い杏奈だろう。いつの間にか「湿っ地」とスケッチを混同していたのかも。地元の大岩夫婦は「しめっち」と発音していたようだが。どちらもOKか。
つまり、育ての親は祖母の久子で、久子の旦那は同じく海岸にいたボートの外国人男性。2人とも海岸だけに登場しているので今は鬼籍の人。夫婦はこの屋敷に住んでいたのだろう。もちろん、舞踏会とか華々しい行事は空想の産物。50年前だってこんなド田舎であんなパーティ開かれる筈もない。改築工事はこの夫婦が住むようになった当時の話で、さやかは杏奈の実母じゃないのか。さやかは眼鏡の記号から文学少女ぽく、娘の杏奈にも童話を聞かせていただろう。「マーニーの日記」もさやかが書いたものだろう。まだ少女で眼鏡を掛けているのでハーフぽくはないけれど。彼女もかなり空想癖がありそうで思春期に問題を起こしている。
そのハーフの娘夫婦は交通事故に遭い、久子が死んだ後はたまたま同じ町出身で札幌に住む久子の知り合いの頼子に杏奈は預けられたのだろう。マーニーは葬式の時に杏奈が持っていた金髪の人形。湿っ地屋敷の写真を撮ったのは久子。実は実母と祖母がそれぞれ分担して杏奈の世界を築いたことになる。
恐らく杏奈の引き籠りの性格には祖母の国際結婚夫婦に対する周囲の奇異な目も引き摺って関係していそうだ。今でこそ国際結婚はありふれているが半世紀前はそうじゃなかった。東京から引っ越してきたのも人目を避けるためと思えなくもない。杏奈も地元の人に「青い瞳」と言われて異常に切れている。杏奈の「この世には目に見えない魔法の輪がある」という輪の内側、外側論は抽象的な思考ではなく、具体的で現実的なのだ。外国人は文字通り輪の外側の人間だろう。
平仄を整えるためか、色々な人を死なせ過ぎているのが玉に傷。
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Posted by y0780121 at 18:48│Comments(0)TrackBack(31)clip!アニメ邦画アータ | ★4

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