2014年09月20日

柘榴坂の仇討〜そもそも仇討でない2

時代劇から仇討取れば何が残るか問題
zakuro公式サイト。浅田次郎原作、若松節朗監督。中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏、真飛聖、吉田栄作、堂珍嘉邦、近江陽一郎、木崎ゆりあ、藤竜也、中村吉右衛門。「桜田門外ノ変」は井伊直弼大老(中村吉右衛門)の刺客側水戸浪士の逃亡劇だったが、本作は不覚を取った大老側彦根藩士の剣豪志村金吾(中井貴一)が逃亡側の最後の浪士佐橋十兵衛(阿部寛)を追う追跡劇。
ちょうど「るろうに剣心」と時代が重なり、維新の後、御用済みになった武士の誇りがテーマ。金吾はいきなりの屈辱で父母を切腹に追いやり、自身は切腹も許されず、ついには本懐の仇討も許されなくなるという屈辱の極みへ追い詰められる。
冷静を装っていた金吾も変から13年も経ち、「桜田門外の狼藉は国士だから斬首ではなく切腹させた」と聞き及んで「何を抜かすか」とばかりに激高し、斬りつけようとした秋元和衛(藤竜也)から遂に十兵衛の居場所をつかむ。
しかし、これは本当の意味の仇討と言えるのか。2人は現場で会い見え、金吾は脇差で十兵衛に一太刀浴びせている。十兵衛は槍を奪っただけで直弼大老斬りには参加しておらず、主犯格ではない。ただ仇討の相手が一人しか残っていなかっただけという「大義」とは。
それでもなお仇討ちと執念を燃やすのは、今はなくなった藩の命令を墨守する以上のものではない。本来なら愛する主君のための仇討の筈なのに、実際には主君の家来の沙汰への盲従。とにもかくにも形だけ責任取って「切腹できる名誉回復」に固執しているだけじゃないか。ほとんど数合わせ的、残務処理的な仇討。最初の不覚も面目ないが、こんなしけた仇討も面目なさ過ぎではないか。
大体、十兵衛だって後で言い訳がましく、その場で切腹を試みるが金吾に浴びた太刀傷で間際に失神している。事件現場で失神したのになぜ逃げ果せたのかよく分からない。ちょっと脇道に入った所なので見つからなかったなんてことあるのだろうか。それに「直吉」と名乗る謂れすら言い訳がましい。
そうなると柘榴坂の決闘はいかにも空疎な仇討劇になってしまう。中井貴一が11年前のNHK大河ドラマで市川海老蔵(当時・新之助)に言った「斬れ、武蔵」をそっくりそのまま阿部寛に言われるのも何か既視感いっぱい。同じドラマで阿部は武蔵に斬られて「それでいい」と死んで逝った。全て仇討絡み。雪中に咲くツバキも何かくどい。
冴えない男性陣に比べて妻のセツ(広末涼子)が仇討禁止令を知らされた直後に吐く言葉、「おや・・・まあ」がいい。安堵感とその後の不安感を同時に表現しているようではある。
ちなみに原作者も出店の主人役でちょこっとカメオ出演していたような。
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Posted by y0780121 at 17:44│Comments(0)TrackBack(16)clip!邦画ザ行 | ★2

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