2014年10月05日

蜩ノ記〜それでも拙者は切腹する1

higurashi公式サイト。葉室麟原作、小泉堯史監督。役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、寺島しのぶ、三船史郎、井川比佐志、串田和美、吉田晴登。「柘榴坂の仇討」は13年後の仇討、本作は10年後の切腹。客観的に考えれば、命じた側すら仔細を忘れているような歳月だと思う。よって仇討や切腹をする側は周りに理解できる者も減ったままタイマー付き自動ロボットのような滑稽な存在に見えてしまう。
そもそもオープニングからいきなりワケ分からん。水上(青木崇高)が着物の家紋を墨で汚されたからと庄三郎(岡田准一)と刃傷沙汰になるのだが、庄三郎が意図的に侮辱したならともかく、誰が見ても突風の悪戯によるものだとは水上だって分かりそうなもの。しかも沙汰を受けるのは庄三郎なのだからワケわからなさ過ぎる。製作側は「当時はそんな時代だった」とでも言いたいのか。水戸黄門の印籠みたいな思考停止ぶり。こんなことで刃向けられたら命いくつあっても足りない。本当にそうだったのなら武士階級は自滅していたろう。
そして、同じような印籠は「武士の誇り」。こんな何がなんでも切腹する武士がいたなら、やはり武士は自然減少し、滅びていたろう。武士の通俗的ステレオタイプなイメージに胡坐をかいて観客に押し付けているとしか思えないのだ。
理不尽が延々と続くのは藩側と言うより、本作製作側なのだ。そもそも庄三郎のような秋谷(役所広司)と似たタイプの武士を監視役にするなんてまともな藩なら考えない。大体、なんで一番やばい秋谷に家譜を書かせ続けるワケ? 他にいない筈がない。製作側が都合がいいからそうしたまでだ。文字通り「その日暮らし」したいならもっと生きればいいだけじゃないか。何がどうあっても、10年後は爽やかに死なねばならない。一時代前の特攻思想の散華。大義はとうに空洞化している。こんな空洞化した「武士の誇り」を描いて何になるというのか。
大体、観る側からすると、経緯のややこしさが無駄に尋常でなく、追い切れない。そんなややこしさを超えてなぜ秋谷はぶれないのか。おまけにガキ同士にまで「武士の誇り」を引っ張って来るものだから、満腹した腹にさらに無理矢理「武士の誇り」を強制的に食わされている気分になってしまう。こんな、ゲップが出るくらい「武士の誇り」を食わされたら、柚子の香りのような爽やかさなど残る筈もない。
秋谷に同じ役所が演じた「十三人の刺客」の島田新左衛門のようなニヒリズムの狂気があったのなら「切腹のための切腹」というそれなりの爽やかさもあるのだろうが、秋谷には狂気の片鱗も感じさせず、周囲も何の疑問もなく納得しているのだから匙投げたくなる。独り善がりが過ぎれば時代劇もドツボに嵌る。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 17:15│Comments(0)TrackBack(20)clip!邦画ヒーホ | ★1

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50797958
この記事へのトラックバック
 超残念!!、結局2位も確保できないとは…。はい、広島カープのことです。確かにベテランは頼りになりませんが、若手は12球団でもトップレベルの戦力だと思います。まあ、首
蜩ノ記 : 武士道の奥深さを感じられる作品【こんな映画観たよ!-あらすじと感想-】at 2014年10月06日 21:03
 土曜日昼間の試写会。客年齢層は幅広く、客入り9割位。
映画「蜩ノ記」@ニッショーホール【新・辛口映画館】at 2014年10月06日 22:44
映画『蜩の記』は、小泉堯史監督らしい背筋のピンと張った真面目な映画。まさに「良く
「蜩の記」:言葉に頼り過ぎて残念【大江戸時夫の東京温度】at 2014年10月06日 22:56
公開前なので、念押しして、ネタバレ注意!です。単に感想だけ連ねてますが。今回は役所さんが主役で、岡田くんは官兵衛とはまた違う とても若いというか青いという感じの侍、の役でした。初々しかった!堀北真希ちゃんも、とっても可憐で、着物姿が良く似合う普段の演技...
<蜩ノ記 試写会>【夢色】at 2014年10月07日 15:04
鉄板を堪能できる時代劇。  
蜩ノ記【Akira's VOICE】at 2014年10月08日 12:01
2014年 日本原作 葉室麟「蜩ノ記」 ある罪で十年後の夏に切腹を命じられ、不条理な運命にある戸田秋谷(役所広司)彼は、いよいよ三年後に迫った切腹までに藩史の編纂を仕上げるよう命じられ、その作業の過程で藩の重大な秘密を握っていたそして、彼の監視役とし...
映画・蜩ノ記【読書と映画とガーデニング】at 2014年10月08日 15:56
藩主の側室と不義密通した罪で、10年後の夏に切腹すること、それまでに藩の歴史である「家譜」を完成させることを命じられた、羽根藩の元郡奉行・戸田秋谷。 切腹の日は3年後に迫っていた。 元右筆(文書係)の檀野庄三郎は、秋谷を監視せよとの藩命を受け、秋谷とその妻・
蜩ノ記【象のロケット】at 2014年10月08日 22:02
☆・・・観るつもりなく、特別上映の『フレンチコネクション』を目当てに映画館に行ったら、時刻を間違えていて、やむなくこちらを観た。 が、淡々とした話ながらも、何故に、役所広司演じる男が「十年後の切腹を申しつけられるに至ったか?」という謎の提示とともに目が...
[映画『蜩の記』を観た(寸評)]【『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭】at 2014年10月10日 13:29
原作は、葉室 麟著の第146回直木賞の受賞作のベストセラー時代小説です。前々回見た 「 るろうに剣心 」 は、コミックが、そして前回は 「 柘榴坂の仇討 」 は、直木賞選考委員の浅田次郎の時代劇小説が、 そして、今回の 「 蜩の記 」 は、浅田次郎氏をして、「これ...
映画 「 蜩(ひぐらし)の記 」【徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”】at 2014年10月10日 20:41
「蜩ノ記」は10年後に切腹を命じられた武士が藩の歴史である家譜を記録として残すために全うし、切腹までの間の3年間に監視役を命じられた武士からみた事件の真実を追ったスト ...
「蜩ノ記」事情を知った先にみた時として自ら犠牲にならなければ守れない事と真実の記録を残す重要な役割【オールマイティにコメンテート】at 2014年10月12日 08:55
葉室麟著の直木賞受賞作を小泉堯史監督が映画化した時代劇です。 予告編を観て、スクリーンに映し出される静かで美しい佇まいに惹かれました。 四季折々の風景と共に、主人公や家族たちの生き様に胸を打たれるような作品でした。
蜩ノ記【とりあえず、コメントです】at 2014年10月13日 11:08
【出演】  役所 広司  岡田 准一  堀北 真希  原田 美枝子 【ストーリー】 7年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷は、藩の歴史をまとめる家譜の編さんを命じられていた。3年後に決められた切腹までの監視役の命を受けた檀野庄三郎は、秋谷一家と共に生活するう...
蜩ノ記  監督/小泉 堯史【西京極 紫の館】at 2014年10月15日 21:29
予告編の影響で普通の家族愛の物語だと思ったら、藩の存亡に関わる重大事にまで発展するのでびっくりした。美しい映像と無駄のない脚本で観るものを圧倒させる力があった。
蜩ノ記【とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver】at 2014年10月15日 22:21
□作品オフィシャルサイト 「蜩ノ記」□監督 小泉堯史□脚本 小泉堯史、古田求製、作市川南、田村明彦□原作 葉室 麟□キャスト 役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、       寺島しのぶ、三船史郎、井川比佐志、串田和美■鑑賞日10月5日
『蜩ノ記』【京の昼寝〜♪】at 2014年10月17日 08:53
映画「蜩ノ記」を鑑賞しました。
映画「蜩ノ記」【FREE TIME】at 2014年10月29日 00:08
映画「蜩ノ記」★★★☆ 役所広司、岡田准一、 堀北真希、原田美枝子出演 小泉堯史 監督、 121分 2014年10月4日公開 2014,日本,東宝 (原題/原作:葉室麟/ 蜩ノ記 ) <リンク:<a href="http://blog.with2.net/link.php?38257">人気ブログランキングへ">>→  ★映画の
映画「蜩ノ記」本当の事は胸に秘めたまま【soramove】at 2014年11月21日 16:33
蜩ノ記(ひぐらしのき) 側室と不義の罪で切腹を命ぜられ、 家譜の編纂の為、10年間の幽閉の身となった男と 最後を監視する役目を仰せ使った男の交流を描く 【個人評価:★★★ (3.0P)】 (自宅鑑賞) 原作:葉室麟
『蜩ノ記』【cinema-days 映画な日々】at 2015年08月07日 06:25
☆☆☆★★(7点/10点満点中) 2014年日本映画 監督・小泉堯史 ネタバレあり
映画評「蜩ノ記」【プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]】at 2015年08月09日 08:36
JUGEMテーマ:邦画&nbsp; &nbsp;  映画館で見ようと思っていて、見逃した作品に &nbsp; また出会うとは、ちょっと得をした気分になりました。 &nbsp; &nbsp; &nbsp;  あの世まで持って行かなくてはならない真実とは &nbsp; 商人が権力を
映画 『蜩ノ記』【こみち】at 2016年01月01日 16:22
いろいろな意味で、美しい映画でした。それぞれの、生きる姿勢というか、心根の持ちようといい、映像といい、キャスティングといい… 第146回直木賞を受賞した葉室麟の小説を、「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史監督のメガホンで映画化した時代劇。 「派手な
蜩ノ記(ひぐらしのき)【のほほん便り】at 2016年05月27日 08:39