2014年11月16日

紙の月〜自転車で鍛えた脚力2

kaminotuki公式サイト。角田光代原作、吉田大八監督。宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、中原ひとみ、平祐奈。元ネタになったと思われる女性銀行員による巨額横領事件は何度も起きているが、夫がエリートサラリーマンなのは2005年の東京三菱銀行、ラストなどを見ると、1980年代の三和銀行の事件を参考にしているような。時代はバブル崩壊直後の1994年に設定されている。
そもそも銀行員の横領事件って、同じことを男性行員が愛人に貢いでいたとしても、大して話題にならず、なったとしても「25 NIJYU-GO」みたく、アホみたいな扱いになる。ところが、女性行員がやったら、しかも「美人女性行員」(こういう場合、無理矢理でも「美人」扱いされることが多いような)がやったら、週刊誌やワイドショーが当分そのネタで食っていけるスキャンダルになる。なぜか“魔性の女”にさせられてしまう。これって露骨な女性差別じゃないだろうか。
けれど、本作はむしろ家庭でも職場でも軽んじられている女性をまず描く。一戸建て住宅が広がる街並み。自転車で営業に回る梨花(宮沢りえ)。自由に回りながらなぜかこの無愛想な住宅街に閉じ込められている趣がある。梨花はもう女性としては盛りを過ぎていて子宝に恵まれていない。夫の出世コースから外れていない商社マン(田辺誠一)は既に妻に対して距離を置いている。
銀行では同僚のお局様よね子(小林聡美)と窓口係の相川(大島優子)の色々な意味で中間的立場。本作では二度女性行員の異動話のエピソードが挿入される。一つは大口顧客孝三(石橋蓮司)から契約を取った梨花の孝三担当前任者が肩を叩かれ、退職に追い込まれる。もう一つは相川が次長(近藤芳正)の愛人でかつ女性行員の“スパイ”で、より子も閑職に飛ばされかかること。相川は女性行員の最終的運命を知っているからさっさと公務員と結婚する。これって、これと被らせているのか?
それにしてもよね子が勤続25年と聞いて超今風の言葉遣いで驚く相川、まさか時代設定を無視したアドリブ? 時代設定と言えば、最初のネコババ、梨花はクレジットカード持っていたのになぜ? 解せない。
要は主婦兼社員は家庭でもどん詰まり、職場でもどん詰まり、年齢的にもどん詰まり。結果、転落譚は割と予定調和と言うかあまり意外性がない。少女時代の寄付のエピソードもいかにも仕掛け風で、ましてや顔に痣がある少年と逃亡先の海外で偶然再会したかのような思わせぶりもいかにも余計だ。そもそも海外の不幸な少年に貢ぐこととどら息子(池松壮亮)に貢ぐこととに何の一貫性も感じられない。「紙の月」のシーンも本当に切って貼った感じ。
唯一説得力あるのは梨花が走って逃走する場面。普段、真面目に自転車で営業して脚力を鍛えていた成果だろう。最後は体力だ。
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Posted by y0780121 at 19:18│Comments(2)TrackBack(17)clip!邦画カハ行〜 | ★2

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この記事へのコメント
カード作ったのは横領した後でしょ
Posted by 名無しさん@ダイエット中 at 2014年11月22日 18:17
1994年なら伊藤素子さんの時代と違い、普通に持っていたと思います。
Posted by 佐藤秀 at 2014年11月22日 18:34