2015年01月13日

楽園追放 -Expelled from Paradise-4

「気付き」に目覚めるアンジェラ・バルザック
EFP公式サイト。虚淵玄脚本、水島精二監督。(声)釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃、古谷徹、三宅健太、遠藤大智、稲葉実、江川央生、上村典子。西暦2400年、ナノハザードにより廃墟化した地球と月のラグランジュ点にある電脳世界ディーヴァに異変が起き、システム保安官アンジェラ・バルザックが地球に派遣される。ハッキング元が地球と断定されたからだ。
脚本が同じ人ということもあるのだろうけれど、「PSYCHO-PASS サイコパス(劇場版)」と設定が似てなくもない。ディーヴァには8割方の人類が生存しているのだけれど、電脳上に存在しているだけ。誕生からほんの数時間肉体を持っているが、後は人格が電脳化されている。アンジェラも地球に降り立つ際は、インストールされた急造肉体を利用する。普通なら端末を降下させればいいと思うのだけれど、地上にはまだ本物の人類も2割方いるので一緒に仕事するにはそうするしかないのか。
アンジェラは肉体という厄介な荷物を嫌がるのだけれど、その割にサイバー上のアンジェラは超肉体派なのはどういうワケだろう。サイバー浜辺でその立派なムッチンプリンな肉体とハイレグ水着は羨望の的なのだけれど、これはアンジェラの割り当てバイト数が多いことが起因している。つまり魅力的な肉体もバイト数次第で、「楽園」と言っても格差社会。むしろ、割り当て数という単純化された価値観しかない。
そもそもマテリアルな世界から独立しているのになぜアンジェラはあんなに胸も尻もゴージャスなのだろうか。ディーヴァを設計したオリジナルの人の欲望が反映されていると言ったらそれまでなのだろうけれど、あくまで肉体のポジティブな側面のみコピーされたのかどうか。しかし、ネガティブな側面なく肉体の喜び、苦痛=passionは成り立つかどうか。
地上に降りたアンジェラは早速埃の混じった空気にウンザリする。待っていた相棒のディンゴが聴く「骨で感じる」ロックに何も感じない。皮肉にも肉体は豊満なのに精神は単純化された効率至上の割り当て主義。マネー至上主義と大して変わらない。楽園と言っても、リッチな人々のステロタイプな人生のエンジョイの仕方、浜辺の別荘で優雅にくつろぐ程度。
ディンゴらと発見したハッカー、フロンティアセッターという100年以上前のナノディザスター前の昔のコンピュータの方がより人間的。この違いは一体何なのか。
ここまで来ると、アンジェラが「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のスカーレット・ヨハンソンのように見えて来る。スカちゃんは肉体はゴージャスなのに感情がなかったが、アンジェラも精神はスカスカのスカちゃんだ。ディンゴはアンジェラのいるディーヴァを「社会性にがんじがらめになった世界」と言う。
ちなみにディンゴの“Dingo”はオーストラリアで野生化した犬のことらしい。一度飼いならされて社会化したが、嫌がって再び野生に戻った人間という意味付けがあるみたいだ。一方のアンジェラのセカンドネーム「バルザック」って、いかにも「人間喜劇」を暗示してはいまいか。元々アンジェラも“野生化”して泥臭い人間に戻る可能性を示唆されている感じ。
ラグランジュ点に浮かぶディーヴァは言わばサイバー化された中世の世界。安定しているが何も意外なことが起きない“天国”だ。アンジェラは破門され、文字通り楽園追放されるのだけれど、それを誘ったのは人類が昔持っていたフロンティアスピリットの化石のような存在、宇宙の彼方に第二の地球を求めることが「存在理由」で100年以上コツコツと使命を実行しようとするフロンティアセッターだ。ここら辺り、「インターステラー」に似ている。
しかし、アンジェラは宇宙の彼方に飛ぶフロンティアセッターの誘いを断り、「知らないことがいっぱいあるから」と地球にとどまる。実はアンジェラがそう言った時、砂漠化した地球が一瞬、一部緑に覆われるシーンがあった。これはアンジェラの幻視なのか、それとも実は地球はかなり回復していて、回復しても誰も気にとめない、あるいは気付かないままだったのかもしれない。ディンゴらも行動範囲が狭過ぎて気付かなかったとか。ないと思ったまま思考停止していると案外気付かないものだ。フロンティアセッターだって、そもそも気付くようにプログラミングされていないだろう。「バルザック」だけがそれに気付いたのかもしれない。
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Posted by y0780121 at 23:02│Comments(0)TrackBack(2)clip!アニメ邦画ターワ | ★4

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戦闘シーンの描写は圧巻。
楽園追放 -Expelled from Paradise-【だらだら無気力ブログ!】at 2015年01月13日 23:53
JUGEMテーマ:邦画     公開当時、上映劇場が13館なのに初日と2日目だけで   観客動員を1万7274人も集めた『楽園追放 −Expelled from Paradise−』。   映画を見たら世界観にどんどん引き込まれ
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