2015年01月20日

ジャッジ 裁かれる判事4

故郷に裁かれる金満弁護士
judge公式サイト。原題:The Judge。ロバート・ダウニー・Jr、スーザン・ダウニー製作、デヴィッド・ドブキン監督。ロバート・ダウニー・Jr、ロバート・デュヴァル、ヴェラ・ファーミガ、ヴィンセント・ドノフリオ、ジェレミー・ストロング、ダックス・シェパード、ビリー・ボブ・ソーントン、レイトン・ミースター、エマ・トレンブレイ。裁かれるのは父親の判事ジョセフ(ロバート・デュヴァル)だけではなく、弁護士ハンク(ロバート・ダウニー・Jr)も故郷に裁かれる。
オープニング、弁護士料高いのが自慢のハンクがシカゴの裁判所のトイレ、宿敵の検事に振り向きざま、小便をぶっかける。故意か過失か。この構図は後にイリノイ州の片田舎の裁判所でも繰り返される(笑)。コメディタッチから始まるのに地はシリアスな趣。
母の訃報で急遽帰郷、妻とは離婚し、愛娘ローレン(エマ・トレンブレイ)の親権を争うドタバタ。それにしても、帰郷したハンクはかなり悲惨。アジサイの花とかトウモロコシ畑とか自転車とか懐かしさを誘うアイテムはあるのだが。
ジョセフに再会しても抱擁してくれない。ジョセフに交通事故をめぐる殺人の嫌疑がかかっても(俺、弁護士なのに)当初は新米の弁護士に依頼される。懲役4年の判決直後、ジョセフは長男グレン(ヴィンセント・ドノフリオ)や知的障害の三男デール(ジェレミー・ストロング)とは抱擁するがハンクを無視。遊びに来たローレンもジョセフにしっかり抱擁される。
おまけに判決直前、ジョセフは弁護士ハンクを解任する始末。相対する検事ドワイト(ビリー・ボブ・ソーントン)もジョセフを追及しているというよりも鼻持ちならぬ弁護士ハンクを追及していのではと錯覚させられる。
街で知り合ってキスした女の子、カーラ(レイトン・ミースター)、何勉強しているのと問われて「法律よ」とロングヘアの髪を噛みながら意味ありげに言う。ローレンと空港で別れる直前、同じポーズをされて、ドキッ。「偶然か!」(笑)
カーラの母で同級生のサマンサ(ヴェラ・ファーミガ)を追及すると、実は実はカーラの父はメジャーリーガー有望だった長男グレンだった、というずっこけなオチ。そもそもサマンサはカーラとハンクが同乗していた時、驚速で視線を動かし2人の関係を見抜いてしまうのはハンクの性格を知りぬいているからだろう。グレンはハンクの運転する交通事故でメジャーを断念させられたが真面目に働いていた。「あなたにまくしたてられると、自分が消えてしまいそうだった」とサマンサ。父は町中で尊敬されていたのにハンクは町中で総スカン状態なのか。
最大の裁きは実は父親の交通事故そのもの。ひき殺した相手はかつて温情判決した男。その理由は「ハンクに似ている」だった。ハンクも少年院に入るほどの問題児だったが、ハンクが更生して敏腕弁護士になっても、そのことで却ってジョセフはハンクを許せず、間接的にハンクに裁きを与えたことになる。
この裁きに“温情判決”を与えるのはほかならぬドワイト検事。癌で余命幾許もないジョセフを仮釈放させ、最後の親子和解を試みるのだが。描かれているのは古き良きアメリカの田舎vs.非情なアメリカ的金融資本主義だろう。
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Posted by y0780121 at 19:33│Comments(0)TrackBack(9)clip!洋画ジーゾ | ★4

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