2015年06月07日

あん〜“異物混入”の風評被害3

an公式サイト。日本=フランス=ドイツ。ドリアン助川原作、河瀬直美監督。樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、太賀、兼松若人、浅田美代子。ハンセン病を患っていた76歳の徳江(樹木希林)と元受刑者で西武沿線東村山市と思われるどら焼き屋「どら春」で雇われ店長をしている千太郎(永瀬正敏)の孤独な者同士の静かな友愛物語。
店に出入りする中三少女ワカナ(内田伽羅)ら常連の女子中学生たちは桜が満開のころ、どら焼きの中に桜の花びらが入っているのを見つけ、「異物混入だあ」と騒ぐ。別に悪気があったわけではなく、最近の異物混入騒動に悪乗りしただけなのだが、千太郎は一個ずつ無料でどら焼きを渡す。この小エピソードが本作全体のトーンになっている。
永年ハンセン病施設で餡作りをしていた徳江は求人張り紙を見て店を訪ねる。老齢にびびって間に合っていると千太郎は願い下げ代わりにどら焼きをひとつ無料であげる。ところが、徳江は再び現れ、「生地はまずまずなんだけどねえ、餡の方が」と問い質す。聞くと業務用缶詰のを使っているのだと言う。
台所で早朝から小豆から粒あんになる過程が細かに描写される。時々徳江のこぶで皸した腕が。よくあく抜きされた餡は信じられないくらい美味しかったので、徳江は餡作り専業で雇われることに。評判はたちまち広がり、行列のできるどら焼き屋さんに。思えばこれもポジティブな風評だ。
ところが、千太郎が疲労蓄積のため一日だけ休業にしたが、徳江は翌日の仕込みのために朝から餡作りをしていたら休業お断りのステッカーがなかったのか、客が並んでいた。それまで中で仕事していた徳江は表で生地も焼いて接客もしてしまった。
やがて噂が広まり、嘘のように客が途絶える。千太郎は何も言わないが徳江はそっと姿を消す。徳江が再び引きこもった施設は深い森の中にある。徳江という“異物”は桜の花びらのように散る。思えば、徳江はあずきの声を聞いていたし、森の中では自然の声を聞いていた。文字通り“風評”だ。徳江には自然の風評も人間界の風評も区別されていない、また区別できない人生を歩んできた。
結局、河瀬監督は森の好きな人なのだ。主演の樹木希林も名前からして樹木だらけ。ついでに原作者のドリアン助川さんを思わず「どら餡助川」と脳内読みしてしまった。ワカナ役の内田伽羅は樹木の孫娘。「奇跡」でも樹木と一緒に出演していた美少女。少し顔のつくりが大きくなったか。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 19:51│Comments(2)TrackBack(13)clip!邦画アタ行~ | ★3

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50819516
この記事へのトラックバック
 『あん』を新宿武蔵野館で見ました。 (1)本作が、河瀬直美監督(注1)が制作し、第68回カンヌ映画祭「ある視点」部門のオープニング作品となったというので、映画館に行ってきました。  本作(注2)の冒頭は、早朝、アパートの1室から千太郎(永瀬正敏)が出てきて、...
あん【映画的・絵画的・音楽的】at 2015年06月09日 07:08
2015年・日本=フランス=ドイツ合作 配給:エレファントハウス 監督:河瀬直美 原作:ドリアン助川 脚本:河瀬直美プロデューサー:福嶋更一郎、大山義人 撮影:穐山茂樹 詩人や作家、ミュージシャンとし
「あん」【お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法】at 2015年06月11日 00:57
☆・・・これはいい作品でした。  ・・・傷害事件を起こし服役した主人公は、どら焼き屋の雇われ店長となっていた。 そんなおり、一人の老女がやってくる。 バイトを希望してきたが、あまりにも年老いていたので店長は躊躇する。... しかし、勧められて食べた、老女..
[映画『あん』を観た(寸評)]【『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭】at 2015年06月12日 15:50
 小さなどら焼き屋 「どら春」 の雇われ店長・千太郎(永瀬正敏)のもとに、 徳江と名乗る老婦人(樹木希林)がやってくる。彼女は病気で指が不自由だ が、どら焼きの 「あん」 作りが得意で、ここで働きたいと千太郎に言うのだ った。  カンヌ映画祭の常連・
月とカナリヤ〜『あん』【真紅のthinkingdays】at 2015年06月14日 13:54
「あん」を鑑賞してきましたこちらでは少し遅れての公開。ドリアン助川の同名小説を「殯の森」「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画化した人生ドラマ。小さなどら焼き屋の雇われ店長...
劇場鑑賞「あん」【日々“是”精進!】at 2015年06月17日 15:14
映画『あん』は川瀬直美監督作品なのに、原作ものであり、また社会性は十分に持ちなが
「あん」:樹木希林のネ申演技!【大江戸時夫の東京温度】at 2015年06月18日 23:56
ほんとは予定になかった。これは完全に周りのブロガーさんの評判てことで。 ついでに言うと、これを見に行く前夜にこんなのもテレビで見てた。 36年ぶりのデュエットだったらしいね〜。年がばれる話ですがドラマ「ムー」「ムー一族」は好きだったし リアルタイムで見...
日のあたる場所、月との約束。〜「あん」〜【ペパーミントの魔術師】at 2015年07月02日 09:55
□作品オフィシャルサイト 「あん」□監督・脚本 河瀬直美□原作 ドリアン助川□キャスト 樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、浅田美代子■鑑賞日 6月20日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 
『あん』【京の昼寝〜♪】at 2015年07月10日 08:22
あえて言葉にしない。 なのにこんなに胸の奥にまで響くとは・・・・ 想いがいっぱい、その行間から次々と溢れてくる。
「あん」☆行間の美【ノルウェー暮らし・イン・原宿】at 2015年07月25日 22:41
さて、久々の更新です。 相変わらずの映画感想 地味ながらもしみじみした日本映画でした あらすじ 刑務所から出所したのち、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎の店に、徳江(樹木希林)という女性がやって来る。その店で働くことを強く希望した徳江を
あん【にきログ】at 2015年08月08日 00:37
【出演】  樹木 希林  永瀬 正敏  内田 伽羅 【ストーリー】 刑務所から出所したのち、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎の店に、徳江という女性がやって来る。その店で働くことを強く希望した徳江を千太郎は採用。徳江が作る粒あんが評判となり、店は...
あん  監督/河瀬 直美【西京極 紫の館】at 2015年10月28日 01:34
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2015年日本映画 監督・河瀬直美 ネタバレあり
映画評「あん」【プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]】at 2016年07月18日 08:54
もう、樹木希林を筆頭に、キャスティングが抜群にハマってました。抑えた演技が、むしろ際立ち、見事なヒロイン像です。雇われ店長の永瀬正敏はもちろん、ちょっと意地の悪い世間を象徴して、イラッとさせる、オーナー役の浅田美代子から、徳江(樹木希林)の友人の市原悦子
あん (2015)【のほほん便り】at 2016年08月19日 14:32
この記事へのコメント
ワカメて
Posted by ああああ at 2015年06月07日 22:12
すんません、何かと勘違いしたw
Posted by 佐藤秀 at 2015年06月07日 22:55