2015年07月06日

コングレス未来学会議5

ひょっとして脳内会議?
congress公式サイト。イスラエル=ドイツ=ポーランド=ルクセンブルク=フランス=ベルギー。英題:The Congress。スタニスワフ・レム原作、アリ・フォルマン監督。ロビン・ライト、ポール・ジアマッティ、ハーヴェイ・カイテル、ジョン・ハム、フランシス・フィッシャー、ダニー・ヒューストン、コディ・スミット=マクフィー、サミ・ゲイル。実写とアニメ両撮り。というか、俳優の究極のデジタル化、CG化を目指す物語でロビン・ライトが製作時の実年齢でロビン・ライトの現実のプロフィールのまんま本人役で主演。
原作者は「惑星ソラリス(1972)」、監督は「戦場でワルツ」の人。これだけで脳髄がねじ曲がりそうだが、意外とシンプルと言えばシンプル。原作は1970年代だからかなりの部分、現実が追いついてきているという印象もあるし。
飛行機好きのアーロン(コディ・スミット=マクフィー)のために空港のDC9の格納庫を改造した家で暮らすロビン。アーロンは「赤いカイト(凧)と飛行機の白、黒い雲が一緒に見られる瞬間」が好きなのだという。現実から飛翔するメタファーとして飛行機が大きな役割をするのは、どこか「スカイ・クロラ The Sky Crawlersを思わせる。
カイトはPCなどのデジタル端末のメタファーでかつ空想の世界の飛翔体、飛行機は現実世界の飛翔体、黒い雲は不安、恐怖だ。一度、カイトをフェンス越しに飛ばして警備員に叱られるが、このフェンスは現実とサイバー世界との境目だろう。アニメパートでは崖だったり高層ビルの屋上の塀として現れる。
アーロンはアッシャー症候群で難聴と網膜色素変性を併発する難病。放置しておけば夜盲症になるという。この視聴覚が衰えていくというのはデジタル端末の世界に生きる人間としては致命傷。およそバーチャルだの、サイバーワールドだと言っても、所詮視聴覚が橋渡しされていて、それ以外の感覚は今のところ役に立たない。
アーロンは聴覚テストでほとんど間違えるが、空に関することは間違えない。間違えるのは恐怖、不安に関する言葉に近い発音の言葉だ。それはロビンの女優キャリアと重なっていて、「常に選択肢を間違えていた」という代理人(ハーヴェイ・カイテル)の評価と一致する。
congress2アーロンの難病はロビンが44歳で現役女優を引退し、34歳バージョンで永遠にデジタル・サイバー女優として生きる決意をすることとも関連している。アーロンがもはや「現実世界」を視聴覚で感じることができないということは、アーロンの世界の中ではロビンは年を取らず永遠に34歳ということだ。さらにアーロンが病気で薬を服用していることからCGがさらに薬によるトリップで俳優自身を疑似体験することへとつながる。
こうなると、ロビンとアーロンは親子と言うよりも、映画の世界の中でのデジタル親子としか考えようがない。監督がイスラエル人で、レムがポーランド出身ということで、20年後、ロビンが「現実世界」に帰る時のシーンはあたかもナチスの収容所に送られる列車のようだし、ロビンは子供たちから「収容所に容れられる人間も似合うし、そこを監視するナチスの人間も似合う」と言われている。その二面性と自作自演性、自己言及性はデジタル親子にも当てはまる。ラストで振り向くのはアーロンのようでもあり、ロビンのようでもある。
となると、本作は意外と「脳内ポイズンベリー」に近いのかもしれない。コングレスとは脳内会議のことなのか。
アニメの中ではロビンがオードリー・ヘップバーンのように見えたり、給仕がどうみてもマイケル・ジャクソンとしか思えないキャラも登場する。まあ、現実からコピーしたのだからそうなるだろう。ちなみにキアヌ・リーヴスが既にデジタル俳優契約しているという話が出るが、多分、「スキャナー・ダークリー(2006)」のことだろうか。
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Posted by y0780121 at 23:26│Comments(0)TrackBack(5)clip!洋画クーコ | ★5

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