2016年01月17日

白鯨との闘い2

ItHotS公式サイト。原題:In the Heart of the Sea。ナサニエル・フィルブリック原作、ロン・ハワード監督。クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィ、ベン・ウィショー、ブレンダン・グリーソン、トム・ホランド。元の元になっている“Essex (whaleship)”の実話は、エドガー・アラン・ポーの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」(1837)、さらにその物語をベースにした「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」と派生する。メルヴィル(ベン・ウィショー)が取材でものした「白鯨」(1851)もその派生にすぎない。さらに本作でも描かれるカニバリズムは「野火(2015)」にまで飛び火している。
本作の中で語り部となるトム・ニカーソン(ブレンダン・グリーソン)がメルヴィルを見て言及し、メリヴィルも憧れる作家としてナサニエル・ホーソーンが挙げられているが、時系列的におかしい。ホーソーンが有名になったのは「緋文字」を発表した1850年、メルヴィルがホーソーンと出会ったのも同じ年で、メルヴィルが「白鯨」を発表したのは1851年。その段階で一般人のトムまでが知っているような作家では当時なかった筈だ。
それはさておき、出て来るのは白鯨でなくて、大きなマッコウクジラ。マッコウクジラの群れの中のリーダーのような存在で、多少、寄生虫とか何とかで皮膚が白っぽく見える部位がある程度。原題にも「白鯨」と書かれていない。一等航海士チェイス(クリス・ヘムズワース)との対決も割と単純で、銛を一発かまし、親分クジラが反撃してエセックス号に体当たり、呆気なく沈没するという話。世襲船長ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)との確執も、特段ストーリーに影響与えず、ポラードが経験に鍛えられてチェイス化するというだけ。
むしろ、太平洋のど真ん中で救命ボートで漂流し、いよいよカニバリズムが始まるということの方が本作のキモみたい。辿り着いた孤島も「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」に出て来る食虫島とよく似ている。カニバリズムで最終的に全員餓死するか、食虫というメタファーにするかという話。やっぱりキリスト教世界の話で「しょうがねえだろう」では済まされないんだ。
後日談として、ニカーソンは再び船に乗り、ハワイまで行くが、これはメルヴィル自身が体験したことだろう。虚実入り混じった感じだ。鯨油を絞り出す場面、ラストで「ペンシルバニアで山から油が採れたそうだ」という挿話で鯨油時代の終わりを暗示している。
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Posted by y0780121 at 18:26│Comments(0)TrackBack(12)clip!洋画ハ、ヒ | ★2

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