2016年02月27日

シェル・コレクター〜海底には屍体が沈んでる5

shellcollector0公式サイト。英題:The Shell Collector。アンソニー・ドーア原作、坪田義史監督。リリー・フランキー、寺島しのぶ、橋本愛、池松壮亮、普久原明、新垣正弘、ジム・スターク、瀬名波孝子、城間やよい、普久原一生、内田周作。沖縄県渡嘉敷村でロケされたが、架空の離島が舞台。タイトルからか、蝶々採集が趣味の孤独な男性が美しい女性を“採集”する「コレクター (1965)」と似通っているような。違いは盲目の貝類学者(リリー・フランキー)が既に初老であることぐらいか。
貝類の肉はどうしても性的イメージを連想させる。恐らく人間の肉体にも貝のDNAが残っているのかもしれない。本作でもまるで男性器を思わせるイモガイが奇病に冒された欲求不満気味のアーティストのいづみ(寺島しのぶ)を犯している。一方で学者は海岸で女性器を連想させる貝を凝視している。そもそもいづみは海岸に“落ちて”いたのを学者が見つけたのだ。リリー・フランキーの舞台挨拶の言を借りれば「別の貝」だ。
shellcollector2寺島しのぶも「キャタピラー」以来、全裸演技。イモムシ(キャタピラー)の次はイモガイって(笑)。イモガイの毒が効いたというより、学者の手練手管で欲求不満解消してスッキリしましたにしか見えない。
貝ばかりか、ウミガメも文字通り“亀頭”のメタファーぽく現れ、学者の息子光(池松壮亮)がウミガメに乗り移った感じ。ウミガメだけでは飽き足らず、海底ではサンゴたちもボッキしている。
さらにノロの家系の生娘蔦子(橋本愛)も奇病を治され、島にやってくる。通常、こうなれば若い者同士の光と蔦子が結ばれるのが相場だが、実はそうならない。慈善団体のボランティアでこれからアフリカに行く予定だったが、イモガイにやられて海岸で死体として発見される。どうもこのイモガイ毒は女性には薬、男性には毒と選別して作用するらしいスケベ根性丸出しの身勝手な毒だ。
shellcollector蔦子が最初に島に現れた時、白の衣裳、ところが海に赤い血が染まった後は、なぜか深紅の衣裳に染まっている。この初老の学者の毒牙にかかり、処女を失った、とか。しかし、そこで済めばまだよいのかもしれない。
思えば、学者が中盤あたりにボソッと言った言葉。「貝がなぜ美しいか分かるか。海底に沈んだ人間の死体を栄養にしているからだ」が引っ掛かる。梶井基次郎「桜の樹の下には
桜の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。
を思わせる。
蔦子も赤く染まる前に海に潜っている。やがて海底のサンゴたちのボッキもおさまる。一体、学者はこれまで何人殺したのだろうかと思わせる。いづみは中年だから助かったのか、あるいは・・・。
もっとも、学者自身は「抜け殻」で貝の肉を食べないことから、既に性的能力を失っている気配で、ただただ孤独の中で妄想に耽っていただけなのかもしれない。あの潜水艦のような家の中で。盲目なのも既に魂は海底に沈んでいて周りがよく見えないからだろうか。実際、潜っている人間目線のような映像が時折挿入されている。
時折挿入される米軍機は思わせぶりなだけで、ちょっと場違いの勇み足な感じだ。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 19:23│Comments(0)TrackBack(4)clip!邦画シ | ★5

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50836640
この記事へのトラックバック
手足が痺れ皮膚に病変が起こり重症化すると死に至る、原因も治療法も不明の奇病が世界中で蔓延していた。 沖縄の小さな島で暮らす盲目の貝類学者は、奇病を患い海辺で気を失っていた女を助け、自分の小屋に連れ帰る。 女はある日、貝類学者が見つけた新種のイモガイに偶然
シェル・コレクター【象のロケット】at 2016年02月28日 11:47
アンソニー・ドーア著の同名小説を原作に、沖縄へ舞台を移して映画化した作品です。 つい、舞台挨拶に釣られてチャレンジしてみました。 現代アートを見ているような良く解らない感じの作品で、不思議な時間を過ごしたなあと感じる作品でした。
シェル・コレクター【とりあえず、コメントです】at 2016年03月06日 14:24
 『シェル・コレクター』をテアトル新宿で見ました。 (1)リリー・フランキーの主演作というので映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では(注2)、海の中に服を着たままの男(貝類学者:リリー・フランキー)がゆっくりと沈んでいき、さらに魚や亀が泳いでい...
シェル・コレクター【映画的・絵画的・音楽的】at 2016年03月15日 06:24
映画『シェル・コレクター』は、ちょっと気取り過ぎじゃありませんかねえ。いかにも「
「シェル・コレクター」:気取り過ぎてませんか?【大江戸時夫の東京温度】at 2016年03月31日 23:33