2016年03月06日

オートマタ〜2045年問題5

プロトコル1vs.プロトコル2
automata公式サイト。原題:Automata。ブルガリア=アメリカ=スペイン=カナダ。ガベ・イバニェス監督。アントニオ・バンデラス、ビアギッテ・ヨート・ソレンセン、メラニー・グリフィス、ディラン・マクダーモット、ロバート・フォスター、(声)ハビエル・バルデム。2044年の太陽フレアで砂漠化した地球。この設定は2045年に人工知能が人間の能力を超えるとされる技術的特異点の前夜の時代を意識したSF。
地球の人口は2700万人に激減、人々は砂漠化を食い止めるという名目の巨大な壁の中の都市に住んでいる。まるでドナルド・トランプ米大統領候補のメキシコ国境に壁を作る構想みたい(笑)。実際、砂漠化から守るのではなく貧困層が入って来るのを防ぐためだ。本作に出て来る娼婦ロボット・クリオ(↑写真)は「空気人形」のペ・ドゥナをオマージュした感じだ。情交もロボット進化の契機になっている。
壁の外に捨てられた様々なガラクタもロボットの進化の伏線になっている。基本、リサイクルなのがミソ。ロボット自身が自己修復する材料が豊富にあった。彼らにとって、それらガラクタはタンパク質やカルシウム同様の食料に相当する。言わばロボットたちはエジプト神話のフンコロガシ、スカラベのように見える。これは「WALL・E/ウォーリー」へのオマージュだろう。ついでに偶然か何か知らないけれど、最近ネットニュースで話題になった と同じシーンが出て来る。
中でもキーになるのは核燃料電池。プルトニウム電池だろう。これを手に入れれば、半永久的安定エネルギー源になる。人類が大量に作り出した忌むべき物質プルトニウムがロボットの進化のきっかけになるという皮肉。
一方で、どこか聖書的で、壁に囲まれた都市はエデンの園みたいで、ちょうどアダムとイブが禁断の果実を食って楽園追放になったようにロボットたちもプルトニウム電池というリンゴの実を得て楽園追放になる風情。彼らの知能の発達は「人類が700万年かけた知恵を7日で獲得」というのも何か聖書の7日で天地創造した神話を連想させる。9日目には人間がコンピュータについて行けなくなるのは、十進法が二進法=デジタル頭脳について行けないという象徴なのだろうか。
同時にダーウィンの進化論にも重ね合わされ、砂漠の果てにあるロボットたちの基地で橋の工事を行っている。元々は川が流れていたという峡谷に架橋し、放射能汚染地帯に移動しようというのだ。多分、太陽フレアというのは嘘で、本当は核戦争があり、峡谷の彼方に彼らの食料、大量のプルトニウムに汚染されているのを知ったからだろう。この峡谷は東アフリカのグレート・リフトバレー(アフリカ大地溝帯)ができたことによって、アフリカ東部の熱帯雨林がサバンナ化して猿たちが森を出て二本脚で立ち上がってヒトへと進化したことと重ね合わせられている。言わば地理学的2045年だ。
automata2ヒトが立つのに相当するのは人間が作ったプロトコル2、ロボットは自己修復→改善→進化を禁じた大原則が破られること。実はそのプロトコル2のソフトはそもそも量子コンピュータ搭載の原初ロボットにはなく、そのロボットがプロトコル2ソフトを作ったものだから、最初から人類には手に負えないものだった――。
実はロボットたちが基地で作っていた新型ロボット、ジャック(アントニオ・バンデラス)が時々夢で見ていた海岸のウミガメを模したものだった。年齢から見てジャックは本当に少年時代、海を見ていた。ロボットはジャックの夢をインストールして過去の歴史まで学んでいたのだ。それは今は失われた文明や自然を彼らロボットたちが引き継いで再建することを暗示している。
しかもプロトコル1:「生命を傷つけない」を忠実に守りながら。もっとも、“集団的自衛権”の観念を新型ロボットは身に着けているらしいが、人類にとって重要度はプロトコル2>1なのが、ロボットは逆に1>2とみなしているようだ。それを象徴するのはロボットが「たかが凶暴な猿」と罵倒返しするシーン。彼らは地球がこうなったのも生命を傷つけないというプロトコル1を人類自身が守ってないことを既に学んでいたのだ。
そもそもロボットたちがジャックに感情的親近感を感じるのもジャックがスキンヘッドだということと関係していそう。自分たちもスキンヘッドだし、髪がないことで脳波の受信解析も容易だったのかも。そういう偶然も実はロボットは認識していて、「人類もロボットも成り行きだ」と言っていた。
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Posted by y0780121 at 22:56│Comments(0)TrackBack(6)clip!洋画オ | ★5

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