2016年04月12日

ボーダーライン〜胡散臭い似非IS物語3

borderline公式サイト。原題:Sicario。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ヴィクター・ガーバー、ジョン・バーンサル、ダニエル・カルーヤ、ジェフリー・ドノヴァン。「エスコバル/楽園の掟」でコロンビアの麻薬密売組織メデジン・カルテルの首領パブロ・エスコバルを演じたベニチオ・デル・トロが今度はコロンビアの元検事役。で、どっちがどっちなのか訳分からん善悪と合法・非合法のボーダーライン。
オープニングで原題の“Sicario”(暗殺者)の語源が説明される。シカリ派
イエスキリストの時代の熱心党の一派である。組織構成など細部は不明である。熱狂的な愛国主義で主な目的はユダヤ王国の復活と民族の独立であり王国の再建に反対する者たちやそれを阻む者を組織的に刺殺していた。
主に古代ローマ帝国によるエルサレム攻囲戦 (70年)
西暦70年にエルサレムを巡って起こった攻城戦で、ユダヤ属州のユダヤ人とローマ帝国の間に起こったユダヤ戦争(第一次ユダヤ戦争)の決戦でもある。この戦いでティトゥス率いるローマ軍は、ユダヤ人の叛乱軍が66年以来立て篭もっていたエルサレムを陥落させた。エルサレム市街のみならず、有名なエルサレム神殿(ヘロデ大王が築いた第二神殿)もこのときに破壊された。なおも抵抗するユダヤ人はマサダの要塞に立て篭もり、73年まで戦い続けた。
こんな冒頭だと、実は監督は麻薬カルテルにかこつけて今現在、シリアで行われているIS(イスラム国)掃討を重ねているとしか思えない。シリアだって元々古代ローマ帝国の植民地だった。
けれどコロンビアのアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)って元検事さんなのに特殊部隊の隊長みたいに戦闘力あるって、どーゆーことよ。しかも、動機が家族惨殺されたから凶暴になるって公務にあたる人間としてはどうかしている。むしろ、その行動と動機の落差が一番大きいこの男こそ一番いかれている。それをこれみよがしに見せるのだから逆にクサく見える。同じ麻薬密売物の「ノーカントリー」のキャトルガン男の方が不気味で説得力ある。
結局、アレハンドロってメデジン・カルテルの残党なのじゃないかと思っていたらチームリーダーの国防総省のマッド(ジョシュ・ブローリン)いわく「メデジン・カルテルの頃は調和があった。バランスを取り戻すんだ」とFBIのケイト(エミリー・ブラント)に説教垂れている。そもそもコロンビアの検事だってカルテルの一味みたいなものだ。要は力の均衡。
“花火見物”の時にも「リーダーがいないとこうなる」なんて嘯くシーンがあったが、これはこれで上から目線丸出し。その目線は欧米の中東への目線でもある。
かくして「善」に成り代わって「力の均衡」が“絶対善”となり、そのためには囮OK、拷問OK、謀略OKって、結局気が付けばISの世界になってしまう。唯一ISにあって、ここにないものは自爆テロだろう。その意味ではこの世界はまだ絶望が足りてない甘っちょろい世界。所詮彼らは世界最強の後ろ盾アメリカを背に戦っているのだから。衛星映像とか偵察機使って支援しているし。
それにしても本作で弱者なのはケイトが女性、彼女の相棒のレジー(ダニエル・カルーヤ)が黒人と、被差別サイドから出しているのはどういうワケか。強者は白人の男ばっか。何かよりディープな本音が透けて見える。
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Posted by y0780121 at 15:28│Comments(0)TrackBack(11)clip!洋画ブーボ | ★3

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