2016年07月05日

二重生活〜余り物の自意識の捨て場所4

2foldlife公式サイト。小池真理子原作、岸善幸監督。門脇麦、長谷川博己、リリー・フランキー、菅田将暉、河井青葉、篠原ゆきこ、宇野祥平、岸井ゆきの、西田尚美、烏丸せつこ。フランスの作家ソフィ・カルの「本当の話」 をベースにしたそうだ。尾行物で、「フォロー・ミー」や「東京公園」と似た雰囲気ではある。
まずはゴミ置き場の監視カメラって(笑)。実のところ、都会では無数の監視カメラで事実上どこに行っても尾行されているに等しい社会。そもそもゴミ置き場にうるさいおばさん(烏丸せつこ)自身が監視カメラぽいし。
大学院で哲学を専攻する珠(門脇麦)は実存哲学が専門らしい担当教授篠原(リリー・フランキー)に統計ではなく無作為で選んだ1人を尾行して人間存在を研究してみろ、と指示される。選んだのは自分の住むマンションの向かい側に住み、かつマンションの地主でもある石坂史郎(長谷川博己)。
別に資本階級に不条理を感じているわけでもないのだけれど、美しい妻と可愛い娘さん、高級そうな自家用車と、理想的に見える家庭。本当はどんな生活してるんだろう、とは思いたくなる。それにしてもお向かいさんなら双眼鏡で覗いたりするのかと思ったら意外とあっさり外に出て来た時だけ観察するって、ちょっと拍子抜けなのだけれど。
しかも石坂は大手出版社の部長様。後で分かるが新進作家に対するアドバイスが篠原が珠の修士論文にアドバイスするのと事実上全く同じ形式で、タイトルは単純に珠の二重生活を現わしているのではではなさそう。
この新進女性作家は原作者と言うかその下敷きにしたソフィ・カルで、珠はその反映と言うかダブルということになる。珠が執筆する修士論文は、事実上小説のダブル(替え玉)みたいなものだし。小説ってそもそも他人を観察し、自分の考察を絡めたものだろう。作家は本来二重生活者だ。
後を付けられる石坂だって美しい妻を持ちながら不倫を平然とかましている二重生活者。篠原に至っては、死に逝く母のために代理妻を雇うって、小説ではないが演劇の世界と二重生活だ。そもそも大学院の哲学院生に言わせれば「大学院なんて現実社会と何の関係もないクズみたいなところ」。
思わずゴミ置き場を連想してしまった(笑)。伊達にゴミ置き場が出ている訳じゃなさそう。篠原や石坂が「余計な個所」と指摘するのは自意識という"ゴミ"が目立つ部分で、そういう余り物はゴミ置き場に捨てなさい、という意味なのかも。最終的に篠原そのものが"ゴミ"になることを選んでしまうのだけれど。
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Posted by y0780121 at 22:01│Comments(0)clip!邦画ナ、ニ | ★4
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