2016年10月13日

淵に立つ〜絶壁と潔癖の間3

harmonium公式サイト。日本=フランス、英題:Harmonium。カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞作。深田晃司監督。浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子、太賀、三浦貴大、篠川桃音、真広佳奈。純白の布で潔癖が表現され、さらにそれが病的な潔癖症にまで純化されれば・・・。
ヒゲぼうぼうの利雄(古舘寛治)が営む油や金屑にまみれた小さな金属加工工場に現れた元ヤクザの草太郎(浅野忠信)はいかにも清潔そうな白いシャツ。作業衣まで真っ白だ。2人はいかにも対照的。
途中で草太郎がキリスト教の懺悔のように自らの“潔癖症”を利雄の妻でプロテスタントの章江(筒井真理子)に告白するのだけれど、この告白、ネタバレ過ぎて拙いじゃないのかと。彼の言う「約束」優先の生き方って、平たく言えば、純粋な義侠心だろ。
この白さは章江にも伝染する。章江は「白」を拒むように娘に赤い衣服を作ってあげる。どころか、余った赤い毛糸で草太郎にまで中途半端な赤シャツを作ってあげる。その中途半端な赤シャツが草太郎に伝染し、別の赤が染まり、悲劇が生まれる。
harmonium28年後、相変わらずくすんだまんまの利雄は行方不明の草太郎の息子と称する孝司(太賀)を雇ってしまう。孝司は父親には会ったこともないという。
ここまで来ると、そもそも草太郎というのは実在したのかとさえ疑いたくなる。章江はすっかり潔癖症になっていて石鹸で何度も手を洗い、他人が自分の石鹸を使うのも拒否する。やがて日干ししている白いシーツの奥から草太郎が現れる。もう潔癖症の具現化としか思えない。あるいは会社のためなら殺しだって厭わないという忠誠心の化身のような。
ラストはまだ幸せと思えた時期に川遊びで川べりに寝そべった4人と重なる。元々、フランスと合同制作であるようにヨーロッパの観客を意識されていて明らかにピエル・パオロ・パゾリーニ監督の「テオレマ」と重なる。キリスト教にヤクザの義侠心を混ぜ合わせたような作りだ。
メトロームの動きとキリスト教の「右の頬をぶたれたら、左の頬を差しだしなさい」が重なるが、何もかもが重ねられすぎてかえって調和的(harmony)過ぎるのがちょっと。
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Posted by y0780121 at 19:54│Comments(0)TrackBack(4)clip!邦画フーホ | ★3

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映画『淵に立つ』、こわいですねー。観念的ホラーとでも言えそうです。なんか静かに嫌
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