2017年05月25日

マンチェスター・バイ・ザ・シー4

MbtS公式サイト。原題:Manchester by the Sea。ケネス・ロナーガン監督。ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、グレッチェン・モル、カーラ・ヘイワード、C・J・ウィルソン、ヘザー・バーンズ。ボストン近くの風光明媚な浜辺の町マンチェスター・バイ・ザ・シーは人口約5000人。どちらかと言えば取り残されたような町。知らないとどうしても最近テロ事件のあったイギリスのマンチェスターの物語かと勘違いしてしまう。多分、区別するためにこういう町名になったのかも。主演のケイシー・アフレックはアカデミー主演男優賞を受賞。
便利屋で生計を立てるリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーを離れ、水道修理、家具の処分、雪かきとなんでも仕事するが、無口で不愛想、孤独癖があり、時々客から苦情が来る。バーで飲んでいたらビジネスマン2人組に見つめられていると思って暴力を振るう。多分、「あの人、ちょっと変わってるよ」とかと語られ、ある意味界隈では有名人だったのだろう。
対照的に故郷にとどまっている社交的で堅実で優しい兄ジョー(カイル・チャンドラー←そもそもこの俳優名、本作的にはややこしい)に住んでいたが、ある種の心臓発作で急死した。何故か若い頃から兄弟で乗っていたボートのエンジンも調子が悪くなり、とうとうエンジンに穴があいてしまう。ちなみにこのボートの名前も2001年に死んだ家族の名前にちなんでおり、家族の象徴でもある。
兄は多分、リーの精神的支えにもなっていたのだろう。同時に兄に対するコンプレックスもあったのだろうが。家族の絆だった兄が死にリーは自分にはもっとも苦手な人事的な差配をしなければならなくなる。便利屋稼業とは訳が違う。気が重くなるのも当然だろう。
実は、ジョーの妻エリス(グレッチェン・モル)も「行方不明」、恐らく夫そのものより弟(リー)が変人という噂が広まり、いたたまれなくなって失踪したのかも。後で甥のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)のガールフレンドの母親(ヘザー・バーンズ)と2人きりになると話が続かず、母親がいたたまれなくなるのも根本的に同じ理由なのかも。
例によって、フラッシュバックのオンパレードなのだが、一番のエピソードは元妻ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)と生活していたころ、大変な事故を起こしてしまったこと。かと言って、そのことが原因でリーの人格が暗くなった訳でもない。むしろ、リーの性格が事故を引き起こしてしまったとさえ思えて来る。ちょっと妻に外出してくると言い置けばいいものを、日常生活に何をおいてもものぐさな性格になったのは、ひとえに人嫌いだからだろう。見方を変えれば邦画の「お葬式」と似てなくもない。なかなかジョーの葬式に踏み切れないのもリーのものぐさが原因だろう。
その結果、いつまでも冷凍にされたままの父のジョーを思ってパニック障害の症状まで出る甥のパトリックにもその性格を見抜かれ、微妙な距離は決して縮まらない。とかくこの世は生きにくい。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Posted by y0780121 at 22:08│Comments(0)TrackBack(8)clip!洋画マ | ★4

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50860022
この記事へのトラックバック
アカデミーで、主演男優賞、脚本賞の2冠。 確かに主演のケイシー・アフレック、いつもいいが今回は更に存在感バツグン。 そして脚本も劇シブい。 ボストンと海辺の田舎町、を対比させながら、疲弊したアメリカ社会を描く。 主人公は地元の漁港マンチェスター
映画:マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the Sea  渋くアカデミー主演男優賞、脚本賞2冠、も納得の人間ドラマ。【日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜】at 2017年05月26日 03:27
ありきたりな表現が許されるなら、傑作である。ただただ、傑作である。ネタバレ含みますので未見の方はご注意下さい。マンチェスター・バイ・ザ・シーの穏やかな海の風景。ヨットで海に出て釣りをする家族の描写。父と子と、子の叔父と。冬の過酷な寒さのボストンの「今」の
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」【ここなつ映画レビュー】at 2017年05月26日 12:32
☆☆☆☆☆彡 (10段階評価で 10+) 5月16日(火) シネ・リーブル神戸 スクリーン3にて 12:50の回を鑑賞。
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』('17初鑑賞49・劇場)【みはいる・BのB】at 2017年05月26日 13:13
 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を渋谷シネパレスで見ました。 (1)アカデミー賞の主演男優賞と脚本賞を取った作品ということで、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(注2)という町の漁港から船が、外洋に向...
マンチェスター・バイ・ザ・シー【映画的・絵画的・音楽的】at 2017年05月30日 21:41
2017年の第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。ケイシー・アフレックが、『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴスリングを抑えて主演男優賞を受賞。ロナーガン監督が、これも『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督を抑えて、脚本賞を受賞。ただ、監督賞...
マンチェスター・バイ・ザ・シー / Manchester by the Sea【勝手に映画評】at 2017年05月30日 22:01
Manchester by the Sea(viewing film) 『マンチ
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 微妙な距離感【Days of Books, Films】at 2017年06月05日 14:14
映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、1970〜80年代前半の映画のような雰
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」:心に染み入る傑作【大江戸時夫の東京温度】at 2017年06月12日 22:31
叔父と甥の会話(言い合い)が、なかなか笑える。ユーモアがあっていい。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」【或る日の出来事】at 2017年07月07日 07:16