2017年05月29日

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hikari公式サイト。河瀬直美監督。永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘、大西信満、堀内正美、白川和子、藤竜也。(声)樹木希林。「あん」に続く、河瀬直美、永瀬正敏、樹木希林トリオ。カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞。
よく映画評論で見かけるラストシーンで「希望を感じる」で締めくくる定番パターンに冷や水を浴びせる映画内映画。「希望」さえ感じられれば何でもいいのか。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの最後の言葉、「もっと光を!」じゃあるまいし。
実のところ、ラストの「光」として象徴される奈良県の風景に降り注ぐ夕陽が美しい。風が林の葉裏を揺らし、光を散りばめる。そこには「希望」という安手の言葉はない。なぜ夕陽はあんなに美しいのか。
美佐子(水崎綾女)は、視覚障害者のための映画音声ガイドを担当してる。ある意味、映画レビューと似ている。言葉でいかに映像を想像してもらえるか。
しかし、カメラマンで視覚障害になって今はほとんど見えない中森雅哉(永瀬正敏)に「希望ってあなたの主観でしょ」と言われてしまう。光を失いつつある人間に「希望を見ましょう」ってどっちらけだろう。 美佐子は中森にむかついてぶん殴る格好をする。悪気はなくても弱者をからかう上から目線。
希望と反対が「絶望」であるなら絶望を見て見ないふりしている美佐子。希望>絶望がデフォルトの美佐子。美しさはその希望と絶望の狭間に生まれるというのにこれじゃ美しさが台無しである。
人はみな最後に必ず死ぬ。なのに希望だけ見る、希望がなければ意味ない、というのは逆に現実に目をそむけているに等しい。美しさは「綺麗ごと」を排除して初めて生まれる。
そして、美佐子自身が美しいということ。思えば美佐子が美しくなかったら説得力が生まれない。美しさの持ち主が美しくないことを否定していたことは中森の接吻で解消されるのか。やがて聞こえてくるのは美佐子ではなく、樹木希林の音声ガイドだった。夕陽はその美しさを輝かすにはまだ少し時間がかかるのか。

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Posted by y0780121 at 18:15│Comments(0)TrackBack(6)clip!邦画ヒ | ★4

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