2017年06月25日

ありがとう、トニ・エルドマン4

erdmann公式サイト。ドイツ映画、原題:Toni Erdmann。マーレン・アデ監督。ペーター・ジモニシェック、ザンドラ・ヒュラー、ミヒャエル・ヴィッテンボルン、トーマス・ロイブル、トリスタン・ピュッター、ハーデヴィッフ・ミニス、ルーシー・ラッセル、イングリッド・ビス、ヴラド・イヴァノフ、ヴィクトリア・コチアシュ。絵に描いたようなダメおやじと絵に描いたようなキャリア・ウーマンの娘の物語。
トニ(ペーター・ジモニシェック)は60歳くらい、イネス(ザンドラ・ヒュラー)は35歳くらい。妻は逃げていないらしい。そしてイネスもビジネスコンサルタントして1年間もルーマニアの首都ブカレストに在任している。ペットが死んだ。トニは完全に孤独になった。
風采からして鬘の長髪でフーテンのトニさん。そんなトニがいきなりブカレストのイネスの働いているビルに現れる。実はトニの本名はヴィンフリードでトニ・エルドマンは自称ドイツ大使の別名だ。オープニングで既に宅配便の人に双子の兄弟を装っているから「現実の自分」と「あるべき自分」の二種類を使い分ける人生を送っていた。鬘に偽入歯と変装するのは娘に対するコンプレックスの現れなんだけれど。
イネスはそんな父の性格はとうにお見通しなのだろう。適度に距離をおいて受け流そうとするが、大事な人との会見の時に待ち構えていたように横からヌーっと割り込んできてドイツ大使と言い張り、だんだん受け流せなくなり、商談もご破算に。
イネスはさぞカンカンになって父を追い出そうとするが、さにあらず。どころかイネスまで感染したのか弾みで全裸パーティーにしてしまう羽目に。ザンドラさん、乳房からヘアまで晒して熱演、一体どーなることやら。挙句はホテルでケーキの上にアレを出させ、特別味付けのケーキを頬張る。何かその、箍が外れた感がある。
その高層のホテルの窓から下をのぞくと今も貧しい民が地道な生活をしている。イネスはもうその人たちを高みから見下ろす地位にあった。この高さが父と娘の現在の差とも重なるのだが、見下ろしたのは貧民だけでなく、まだその位置にいた若い時代の自分もだろう。
肝心の父親は恐ろしいぐらい毛の多い縫いぐるみ姿で、本当に大丈夫かと思えてしまうのだが、自称ライフ・コンサルタントの仕事は結構こなしていたことになる。
果たしてどちらが「生きている」のか微妙なのだが、ラストでイネスが他人の目を気にせずに変な格好の父を抱擁するのは感動的だ。
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Posted by y0780121 at 20:28│Comments(1)clip!洋画アマ行~ | ★4
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2016年・ドイツ・オーストリア合作 配給:ビターズ・エンド 原題:Toni Erdmann 監督:マーレン・アーデ脚本:マーレン・アーデ製作:ヤニーネ・ヤツコフスキー、ヨナス・ドルンバッハ、マーレン
「ありがとう、トニ・エルドマン」【お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法】at 2017年07月23日 01:12
この記事へのコメント
まあドイツという国は、ヒトラーが現代にタイムスリップして騒動を起こすコメディ「帰ってきたヒトラー」がベストセラーになって自国で映画化しこれもヒットするというお国柄ですからね。ブラックで不謹慎と思えるような笑いもOKという土壌があるからこんな作品も生まれて来たと言えるのでは。
日本じゃ例えば○條○樹が現代にタイムスリップしてテレビに出て勇ましい持論をブチ上げる…なんて映画、まず作れないでしょうね。
TBさせていただきました。返信不可了解です。
Posted by Kei at 2017年07月23日 01:32