2017年09月09日

散歩する侵略者〜コピペ不能な愛5

sanpo公式サイト。英題:Before We Vanish。前川知大原作、黒沢清監督。長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史。古典的SFホラー「盗まれた街」の黒沢清バージョンか。思えば「インベージョン」もその派生作品だった。
「散歩する」というのはあまりにも日常的な行為。そんな日常的行為の中にトンデモない非日常が「侵略」している。思えば、ある観念に憑りつかれた人たちも日常人から見れば魂を奪われたアブナイ人に見える(具体例としてオウム真理教とか)が、本作は文字通り魂を抜かれる人たちの物語。
最初に「本当は宇宙人なんだ」と告白した加瀬真治役の松田龍平、別に告白してもらわなくても、松田そのものが最初から宇宙人ぽい(笑)。そんな宇宙人のような浮世離れした加瀬真治を、そうと知りながら「夕飯何食べる?」とか日常生活にしっかり根を張っている鳴海(長澤まさみ)が愛し続けるということ自体が本作のキーポイントになっている。
実際、鳴海は頼りない真治を怒ってばかりいて、本来なら、そんな宇宙人もどきの夫に愛想を尽かし、離婚に発展しそうなのだが、そうはならない。それは侵略者にとっては理解不能な矛盾なのだろうけれど、その「矛盾」が侵略者に対する反撃のヒントになっている。
侵略者たちは表面的な言葉の概念をボディスナッチ(原作の原題:The Body Snatchers)ならぬコンセプト・スナッチする。「所有」という概念を抜き取られた人は途端に物欲を放棄してみんなに物を分け与える(もっとも、所有欲を本当になくせば所有放棄という概念すらなくなると思えるのだけれど)が、これもある意味共産主義の暗喩にも見える。思えば原作が書かれた1950年代はアメリカでは最も共産主義が恐怖された時代だった。
だが、どうしても盗めない概念として「愛」が立ち現れる。侵略者たちは「愛」の概念を理解できず、それを無理矢理盗んだ侵略者たちは途端に滅んでしまう。奪うことと愛することそのものが相矛盾するからか。
それにしても、明日美(前田敦子)がやられた後の姿が立花あきら(恒松祐里)になってしまうのかと錯覚するほどに感じてしまうのもボディスナッチ効果なのか。
また横田基地が出て来るが、「幼な子われらに生まれ」とほぼ同じロケーションなのも不思議な気がした。
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Posted by y0780121 at 18:53│Comments(0)clip!邦画サ | ★5