2017年09月11日

三度目の殺人〜「真実」の落し所3

3dome公式サイト。是枝裕和監督。福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功。「そして父になる」や「海よりもまだ深く」、「海街diary」など家族の肖像を描いてきた是枝監督の新作。本作も一見、家族と関係なさそうでどうも家族の肖像を描いている気配。
山中咲江(広瀬すず)が裁判所で「ここでは誰も本当のことを言わない」と言う表情は「海街」での「不倫はいけないよね」と言う表情をコピペしたみたいに似ているなあ。「海街」では、父は15年前に出奔して母も再婚して北海道にいる両親が欠けてしまった4姉妹の物語だった。4人が明るいのでさほど感じられないが欠落家庭の作品。
本作でも一見、家族の物語ではないように見えるけれど、殺人容疑者の三隅(役所広司)が30年前に犯した殺人を裁いたのはほかならぬ重盛(福山雅治)の父親彰久(橋爪功) だった。三隅が今度犯した殺人は咲江の母の美津江(斉藤由貴)の夫だった。咲江は父から性的暴行を受けていた。何かしら関係性がある。
三隅は虚言症と思われるのだけれど、そもそも咲江との関係は親と孫としか思えない。咲江は10代後半と思えるので、まさか服役中に子供を作るのはさすがに無理。
しかし、今36歳になっている北海道に住む実の娘も咲江と同じように足が不自由。だからと言って足の不自由さで遺伝的病気って相当考えにくい。ただ重盛が咲江の父と考えれば納得できる気配がある。そもそも重盛も「真実」なるものに飽き飽きしていてあまり無邪気に少年時代を遅れていなかった雰囲気がそこはかとなくする。
裁判劇と見れば、裁判官側も日程重視でいきなり“空っぽの器”と化した三隅が「殺してません」と証言を翻しても再度やり直しをさせない。検事だってそう。そもそも弁護士の重盛にしてからが真実よりもより有利な判決を勝ち取るかにしか興味がない。「司法全体の調和」を乱してもらっては困るのだ。
こういう「調和」重視は何も司法界だけにとどまらない。日本全体が「真実」よりも「調和」重視なのは何となく感じられるところ。咲江の言った言葉は敷衍すれば「日本では誰も本当のことを言わない」になってしまう。とにもかくにも人間関係の力関係で「真実」の落し所が政治的に決まってしまう。思えば、「落し所」という言い回し、日本では日常的に使われている。
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Posted by y0780121 at 23:02│Comments(0)clip!邦画サ | ★3