2017年10月11日

月と雷〜心地良い投げ遣り感4

tukikami公式サイト。角田光代原作、安藤尋監督。初音映莉子、高良健吾、草刈民代、藤井武美、黒田大輔、市川由衣、村上淳、木場勝己。茨城県の海岸近くの農村とも郊外とも言えない中途半端なところの中途半端な人間関係の中で中途半端な風が吹いてはやむ。
オープニングは小津安二郎か成瀬巳喜男を思わせる家中の描写。右側に階段があるのはそっくり。洋服箪笥という“部屋”に畳の間、縁側と続く遠近法的描写。子供たちが箪笥から出てきて、縁側には母親直子 (草刈民代)が佇んでいる。全編通じてカメラワークが絶妙でストーリーのたゆたいを補って余りある。特に時々挿入される初音映莉子の横顔がいい。
父親(村上淳)はすぐにナレ死ならぬ遺影死。成長した兄妹は母親が違っていて、母親もすぐに離れて去る。雷の気配を感じて逃げるのだそうな。自然の風景と人間関係の風景が調和しているような。
「雷」は分かるのだが、もう一方の「月」って何だろうかと考えたら、やはり女性性だろうか。泰子(初音映莉子)は智(高良健吾)に妊娠する。箪笥友達以来、しばらく智は遠ざかっていたのだけれど泰子と家の臭いに惹かれて舞い戻る。泰子は職場の同僚と挙式する予定だったのだが、まるで気にしない
様子だ。
直子は何人と同棲したか分からないが、相手は互いに近いところに住んでいる 。「知らなかった」妹の佐伯亜里砂(藤井武美)もまるで最初から知っていたように受け入れる。
全体的に登場人物達は場当たり的な、言い換えれば全てが自然の成り行きで進む。離れたと思えばまたくっついても互いに全然違和感も感じない。思えば、直子が縁側でぼんやり見ていた風景と重なる。投げ遣りと言えば投げ遣りなのだが、観ている側も案外、その投げ遣り感が心地良い。
妊娠して腹が大きくなった泰子が家に帰ると、智は風のように消えている。智も直子同様、雷が落ちる前に“避難”したのだろう。
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Posted by y0780121 at 22:47│Comments(0)clip!邦画ツ、テ | ★4