2018年01月20日

嘘を愛する女〜3.11の中心で愛を叫ぶ4

361109_006公式サイト。 中江和仁監督、主題歌:松たか子。長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、野波麻帆、初音映莉子、嶋田久作、奥貫薫、津嘉山正種、黒木瞳、吉田鋼太郎。どういう因果か「嘘八百」に続き、頭に「嘘」が付くタイトル。現実なのか由加利(長澤まさみ)(↑)がうたた寝している間の夢なのか、はたまた「嘘」なのかよく分からない。
由加利自身が「ええ?」とか絶句する場面が目立ち、主人公自身が当惑し放し。そもそもオープニングが3.11東日本大震災の日。まさに「ええ?」の日なのだ。嘘みたいな現実が目の前にあることと由加里が震災の日に勤務する食品会社から歩いて帰宅することを余儀なくされた途中、体調というか精神の調子を崩すことと、夢のような展開とが関係していそう。何かこの辺り、「結婚しない女(1977)」をちょっと思い出したりする。思えば由加利も5年間同棲していた。長澤まさみ、要所要所での演技が凄いと思う。
するとそんな時に由加里に声をかけてくれた小出桔平(高橋一生)も夢の中の人なのかも。由加里は告げられた名が偽名であることをすぐに向こうの広告看板で見抜くのだけれど、「小出 」という会社の看板を見たのは小出なのか由加里なのか。この時点で夢うつつ感満載だ。そもそも小出がいきなりクモ膜下出血で文字通り夢の中の人になって実質フェードアウトしてしまうのだから。ひょっとすると、クモ膜下出血ではなく、東日本大震災が原因で何らかの形で死んでしまった者を受け入れられずクモ膜下出血に脳内改変したのではと勘ぐってもしまう。
しかも由加利だけでなく他の登場人物も並走する。探偵(吉田鋼太郎)だってバツイチで、それなりに二人に絡んでくる。
探偵は小出が小説を書いていて、その上、小説の中に由加里とおぼしき女性が出ている決定的証拠までつかむ。小説となると、またしても夢うつつ逆転の発想で実は小説書いているのは由加里なのでは、とも勘ぐってしまう。由加里は食品会社で新商品開発で多忙だが、ある意味新しい小説を執筆しているかのようにまたしても勘繰ってしまう。そもそも「嘘を愛する女」=女流小説家、という意味に解釈可能では。
舞台は瀬戸内で夕暮れに“ダイヤモンド灯台”となる灯台めぐりと相成る。灯台の下にある小出の“宝物”探しに行くのだけれど、大体小出自身が今際の状態で病床に伏している時にこんな呑気に宝物探しにうつつを抜かせるものだろうか。もはや実質遺品探しになっていないか。
とすると、ラストで由加里が号泣するのは集合的無意識、3.11での日本人の喪失感を象徴した号泣なのではと思える。ある意味、長澤の14年前の作品「世界の中心で、愛をさけぶ(2004)」の姉妹作のようなムードも漂う。萩原朔太郎的な故郷喪失感も通底しているし、この作品も四国・瀬戸内が舞台でもあるし。
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Posted by y0780121 at 21:19│Comments(0)clip!邦画ウ、エ | ★4