2018年02月06日

スリー・ビルボード〜戦場はわが町に及び4

ebb公式サイト。イギリス=アメリカ。原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri。マーティン・マクドナー監督。フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ルーカス・ヘッジズ。ミズーリ州の田舎町エビング。愛娘をレイプ殺害されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は一向に動かない警察にキレて大金をはたいて三つの看板(スリー・ビルボード)に警察批判を書く。
こんなことすること自体、町が共同体としての信頼を失っている証左。広告会社も警察に遠慮しない。ミルドレッドは離婚していてある意味自由な身。まずその恰好が一貫してつなぎのジーンズで、何か忍者ぽいぐらいだ。その気になれば煙突からでも侵入して敵をやっつけそう。最初からキレている。「フローズン・リバー」のメリッサ・レオを思わず思い出した。また同監督の「セブン・サイコパス」もうらさみしい雰囲気あったし、配役も似ている。
一方の批判される警察署長ウィルビー(ウディ・ハレルソン)はやはり娘2人を抱え、末期の膵臓癌。ミルドレッドは癌を言い訳にするなと手厳しいと言うか、もうキレている。挙句ウィルビーは拳銃自殺する。かと言ってミルドレッドの言葉が自殺の引き金になったわけでもない。匿名で追加広告費を寄附するという行為をしていてある意味内部崩壊している。むしろ巡査のディクソン(サム・ロックウェル)の方がミルドレッドに厳しい。
元夫は看板を燃やしていて複数の人間同士が相互にキレ合っている関係。看板が燃やされた結果、ミルドレッドは火炎瓶で警察署そのものを燃やしてしまう。これって普通にテロだろう。ある意味、町自体がまるでイラクの戦場みたいと思うのだけれど、最後のオチにつながるような。
中にいてウィルビーの遺書を読んでいた巡査のディクソン(サム・ロックウェル)は火災に遭って火傷を負い、ほうほうの体で脱出。そのディクソンの火を消してあげたのが、しがなそうな中古車販売業者?で小人症のジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)。いやまあ多士済々だ。老若男女なんてものじゃない。
何かそのう全部燃やしてしまいたいという鬱屈感が町全体に充満していて現に燃えてしまうのだけど。ラストで真犯人らしき人間が見つかり、隣の州へミルドレッドとディクソンは出かけるのだけれど、その人、多分イラク(砂の多い場所と新署長が言っていたし。)に従軍していてイラク人女性をレイプしたとバーで言っていただけだろう。それはそれで問題なのだけれど、アメリカの片田舎ではそんなの関係ねーじゃんってものなのだろう。というわけで犯人は捕まらないというリアル?で救われない現実がそこにある、ということなのだろう。
なぜかこの曲が流れていた(↓)。

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Posted by y0780121 at 22:53│Comments(2)clip!洋画ス | ★4
この記事へのコメント
私は、暴力の連鎖、がテーマだと解釈しました
Posted by onscreen at 2018年02月17日 01:12
ABBAのChiquititaの歌詞http://einzelzelle.blogspot.jp/2013/11/chiquitita_11.htmlのように悲しみを共有するのがテーマだと思いましたけど。
Posted by 佐藤秀 at 2018年02月17日 17:40