2018年06月05日

ファントム・スレッド〜身勝手な男の生涯3

phantomthread公式サイト。原題:Phantom Thread。ポール・トーマス・アンダーソン監督。ダニエル・デイ=ルイス、ヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル、ブライアン・グリーソン。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」から10年、アンダーソン監督とルイスのコンビ。ルイスは本作で俳優引退を表明したそうだがまだ61歳。これからは本作のために訓練を積んだ仕立て屋になるらしい。本気か冗談か知らないけれど。
1954年、ロンドンで王室御用達の仕立て屋をしているレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)は亡くなった母が忘れられないマザコンでいまだ独身。生地裏に母の髪の毛と母の署名を縫い込んでいる。この時点でキモさ炸裂。神経質でちょっとした音でも敏感で癇に障る、一言で言えばジコチューの嫌な男だ。
田舎からやって来たウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)に一目ぼれするのだけれど、仕事中は邪魔者扱い。アルマが仕事部屋から引き下がっても、「君がここに来て邪魔したことは残る」とあり得ないような嫌味を言う。
どう見ても常識を逸脱した、芸術家だから許されるものじゃない暴言だ。なのに本人は言われた相手が傷ついたことにも気づいてないらしい他人の気持ちを推し量れない鈍感男。
なのに何かよく分からないけれどとにかく一目ぼれして結婚してしまう。何でやねん、なんて疑問を差しはさむ余地も与えず結婚する。多分、自分の社会的地位で相手を圧倒し、有無を言わせなかったのが実態だろう。かと言ってアルマがこのまま従順で終わる訳もない。アルマはあまりしゃべらないが権威に対する反感のようなものが感じられる。
その結果、アルマが取った反撃手段は何とも田舎娘らしく毒キノコ。笑っちゃいけないけど笑ってしまう。レイノルズは最初の毒キノコ攻撃で体が動かない状態になるがアルマはとどめの一撃。今度はキノコを大量に入れたキノコスープ。一口食べたことを確認してレイノルズも気づくが、何故かもはや手遅れになって愛は成就する。多分、レイノルズは死にたかったのだろう。最後までマザコンで、母替わりらしいアルマに殺されて「まあ、いいや」という気分にしか見えない。手前勝手な男の生涯でもある。
思えば、毒キノコで男をやっつけた女性陣は「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」でもあった。体力で劣る田舎育ちの武器は毒キノコだと知るべし。
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Posted by y0780121 at 21:13│Comments(1)clip!洋画フ | ★3
この記事へのコメント
ポール・トーマス・アンダーソン自身も妻には我がままに
接してしまっていて、彼がインフルエンザになった際に
妻の献身的な看病を受け、気づきを得たことが今作の着想
の元だったそうです。

それがこうして美しく仕上がったわけで、面白いですね!
Posted by onscreen at 2018年07月08日 12:03