2018年09月02日

きみの鳥はうたえる〜作家と現実3

kimitori公式サイト。佐藤泰志原作、三宅唱監督。柄本佑、石橋静河、染谷将太、足立智充、山本亜依、柴田貴哉、水間ロン、OMSB、Hi'Spec、渡辺真起子、萩原聖人。「海炭市叙景」、「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」の函館三部作より以前の不遇の作家佐藤泰志初期作品の映画化。
タイトル的には「彼女がその名を知らない鳥たち」と似てなくもない。また内容的にも結構似ている。本作のタイトルは「うたえる」=作家活動なのかとも思える。
そもそも男2人、女1人。主人公「僕」(柄本佑)と静雄(染谷将太)というアパートで二段ベッドで同居するのはまるで村上春樹の初期作品三部作の「僕」と「鼠」の関係を想起させる。実は両作家ともに1949年生まれで、作家デビューの時期もかなり近い。本作の原作も村上春樹三部作と執筆時期がほぼ重なる。「僕」が書店員なのも原作者の作家活動の暗喩かもしれない。
ストーリーは佐知子(石橋静河)という女性を巡る三角関係に見えるが、お互いに尊重しあう仲で男2人の間でいざこざが起きるわけでもない。佐知子は最初は「僕」と昵懇になり、やがて静雄にも惹かれる。
見た限り「僕」と佐知子はセックスするが、静雄とは関係は持ったことがない。実のところ、「僕」と「静雄」も同一人物で、同一人格の内面と外面を具有するヤヌス的側面のように見える。
静雄の母(渡辺真起子)が訪ねて来るのだが、不思議に幽霊感が漂う。母はその後病に倒れるのだがあまりにあっけなさ過ぎて実在感が希薄なのだ。そうなるとますます静雄自身の存在感が希薄になる。そもそも「静雄」って「静かなる男」だから。
一方で「僕」はかなり暴力的な行為もする。他の書店員をうざがるのもひょっとしたら他の作家に対する嫉妬心の反映かもしれない。やはり「僕」が実在≒佐藤泰志、「静雄」が影なのかも。それにしても母が訪ねて来るのは「僕」の作家活動の窮状を心配してのようにも見える。「静雄」は作家としてのペンネーム的存在なのだろうか。
ラストは「現実」で生きられない「僕」の運命を予感させる。そもそも佐知子の実在性すら怪しい。どう見ても「僕」とアンバランスな美しさ。対応できるのは「静雄」だろうか。
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Posted by y0780121 at 18:49│Comments(0)clip!邦画キ | ★3