■まちに遊び、そして学ぶ

 絵地図をじっと眺めていると、宝探しにも似た気持ちになる。シンボリックな寺社や仏閣、まんじゅうなど名物が味わえる店…。その土地の魅力がぎゅっと詰まっているからだ。

 いわゆる「名所」だけではない。彼女が手がける絵地図には、ひと味、ふた味と、違う見どころが加わっている。

 例えば「善光寺界隈(かいわい)」の絵地図。名物の酒まんじゅう店やみその老舗に混じって、「路地マニアにはたまらない通り」といった情報や、地元の洋傘屋を「欄の間のガラス模様は必見」などと、主人の似顔とともに書き込んでみたり。東京・根岸の絵地図では、民家の軒先にある2階まで届くほどの巨大サボテンが近くの「卍(寺院)」より大きく描かれている。

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 どれもこれも独自の視点で発掘したまちの宝物。カメラとメモを手に、「すみません」と商店や民家の住民から聞き、現場を歩いて見つけた。絵地図作りのための取材は手間がかかるが、無類の人好き。玄関の呼び鈴を押し、地元の人と友達になるのが楽しい。

 「一見、目を奪われるのは華やかな『ハレ(非日常)』の観光名所。けれども、まちの本当の姿はまちを支える地場産業や人々の暮らしなど、『ケ(日常生活)』の部分も両方見て、初めて見えてくるもの」。一般的な価値観にはとらわれない。

 名刺の「絵地図師・散歩屋」という独特の肩書は平成19年、著書の出版に合わせて自ら考案した。誰とも違うオンリーワンを目指したのか。すると「なりゆきでこうなった」と返ってきた。

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 イラストレーターをしていた17年前、あるまちのPRのために絵地図を書くことになった。その仕事が評判を呼んだ。やがて絵地図を目にとめたあるカルチャーセンターの支社長から「まち歩きの先生をしませんか」と誘われ、平成17年、絵地図の作成のほかに生徒とともにまちを歩く「散歩屋」が稼業に加わった。

 生徒のほとんどは60、70代のシニア世代。寺社からまちの商店や地場産業の工場まで、何気ないまち並みをみんなで歩き、魅力を発見していく。民家の表札や、鉢植えの「鉢」など、「おっ」と琴線に触れるポイントは人それぞれ。みんな違って、みんないい。「遊びは学びの入り口。まち歩きも何でも、楽しめばいいの。道草? もちろんオッケー。好きに歩けばいいんです」

 これまで絵地図を手がけたのは、ざっと200カ所以上。今後はパリやニューヨークなど世界のまちで、墨と和紙で絵地図を作りたいという。「だって、面白そうでしょう?」。まちに遊び、そして学ぶ。その意欲は当分、尽きそうにない。(津川綾子)

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