劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンTVシリーズも観てないし、内容も作品紹介文程度しか知らない。でも観なくちゃいけないと思った。なんかで予告編を観て、これがとてつもなく美しい映画であろうことを確信したからだ。そして何よりも京都アニメーションを応援したかったからだ。1月公開だった予定が、放火事件と新型コロナによって8カ月も遅れたのである。心血注いで完成させたものを世に出せないのがどんなに辛いことであるか。公開できて本当に良かった。

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観たのは休日の午前11時の回。なんばパークスシネマ内の複数のハコを同時に使って一日に計11回もやるんだぜ。それだけの観客動員を見込んでの期待作というわけか。もちろん満席。客は若い男子も多いが女子も多い。カップルもいた。入場者プレゼントでハガキ大の冊子をもらった。原作の暁佳奈氏の書き下ろしで、作品のスピンオフ小説らしい。隣の女の子が見ていたやつはどうも表紙の絵が違ったので何種類もあるのかも。

IMG00660さて実際に観た作品の出来は…期待外れだったらわざわざこんな記事書いてないよね。最初からハズレはないと確信して行ったのだ。とにかく絵が美しい。音楽が美しい。内容が美しい。世界トップの京アニが全力で美しさに振り切った作品なのではないかと思った。原則、ここではアニメのレビューはやらないことにしているが、まあ簡単に言えば、全体に静謐で品の良い作品だ。ネットでたまたま観たことのあるエピソードがタイトル前に挿入され「うわっ、いきなり泣かせにきた!」のであるが、この劇場版はTVの総集編とかじゃなく「完全新作」で、ラストもTVとは違うらしい。静かだけど心をゆさぶりまくるエモーショナルな作品。隣の女の子は途中ぐずぐずぐずぐず聞こえるぐらい泣いていた。他の場面でもほとんど泣いていたのかも。

ヒロインのヴァイオレットは軍に拾われた言葉も知らなかった孤児で、戦闘兵器として育てられ、その後は郵便社で手紙の代筆業に従事し、義手の両手でガチャガチャとタイプを叩く。この「代筆」というのは依頼主の言葉を文字にするだけじゃなく、良い言葉を選んで文面まで考えてあげたりする。時には郵便社は依頼者の遺志を守り、死後に手紙を届けたりする。表情も乏しく、人間の感情の機微を知らなかったヴァイオレットは(TV編をつまみ食いして観てみると、本音と建前も知らず無垢でストレートでいちいち理屈っぽくて軍隊的で事務的で悪気はないが容赦もない。他人との会話も成り立たない)自分を育てた上官である少佐が戦場で最期に残した「愛してる」という言葉の意味がわからず、それを知るために彼の生存を信じてずっと待ち続けているが、彼は彼女を戦争の道具にしてしまったことを悔やみ、頑なに会うことを拒んで実は遠隔地で暮らしていた。

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派手なシーンはほとんどなく、ラストもこんな切なく悲しいまま終わっちゃうのかな…何やってんだよお前ら!この大馬鹿野郎!ああもう駄目だ…とやきもきしつつも半ばあきらめかけていたところに、クライマックス、ヒロインはまさかの行動に出る。普通なら頭おかしいとしか思えないような。こっちは「えええ~っ!?」と驚くと同時にテンション爆上がり。ついに彼女は感情が爆発し涙ぐしょぐしょに表情を崩し……あとは観てくれ!ここはエモい。

とにかく泣かせに来る作品だから気をつけろ。そして結局、結論は「京アニすげえ」。ため息が出るよ。