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私が10代の頃から影響を受けている編集者であり作家の佐山一郎さん。長年にわたって、このブログで賛辞を書き綴っていたところ、ご本人様からコメントを頂戴したのが4年前。それ以来、何度かお会いする機会にも恵まれております。

本書はドラマ『花子とアン』の文化的な側面をより深く味わうことができる一冊です。佐山一郎さんの奥様である真理子さんが馬込のご出身ということもあり、弾む息遣いで語られた「馬込文士村」の風景には写実性が存分に。博学の佐山一郎さんが繰り出すドラマには出てこなかった「知識の周辺ガイド」も相まって、界隈に足を伸ばしたことがない私でも、なぜか行った気になる不思議な力を感じました(あっ、行った気になってしまってはいけないのか・苦笑)。
ドラマの魅力が語られているのはもちろん「三島由紀夫はなぜ、馬込に居を構えたのか?」「JR大森駅から歩く馬込の現地ガイド」「大森・馬込の飲食ガイド」という具合に、飽きない切り口で小気味良く行き届いたタウンガイドとなっています。

個人的には響いたのは「あとがき(一郎)」で書き綴られる「出来る限りの雑感的要素を織り込もうとした」のフレーズ。ドラマがヒットすると二匹目のドジョウ的なムック本の乱発は、雑談が下手な先生の授業ほど面白くないのと同様にゲンナリする私。そういった周辺情報こそコンテンツ本体を浮き彫りにするのに「そんな逸話を織り込みたがる書き手は、減りこそすれ増えはしない」。徹底特集を組んでいるのにマガジンは「雑」誌という日本語が当てられる真意を突いているようにも思え、本書の収まりどころの良さを感じ取った次第です。

(それにしても、篠山紀信『三島由紀夫の家』は買うべきだな…。長年、手を出してなかったけれど、とうとう決心がついた感じです)