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いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件 [ 大崎 善生 ]
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読了。松山ケンイチさん主演の映画『聖の青春』の原作者であるノンフィクション作家、大崎善生氏の最新刊。読み終わってから胸がふさがってしまい、数日、考え込んでしまいました。今こころに余裕がある人だけが読める本かも知れません。

2007年の名古屋。闇サイトを通じて知り合った男3人が、たままた通りがかった31歳のOLを拉致・殺害して遺棄した「闇サイト殺人事件」。この事件を追ったノンフィクションです。本書は加害者の男3人に迫ることなく、被害者のOL磯谷利恵さんとその母・富美子さんという母娘の人生に迫っています。苦労して利恵さんを育てたお母様・富美子さんの日々が心に染み入り、読む者の脳裏には「でもこの愛されてる利恵さんが死ぬんでしょ…マジかよ…」という想いがよぎります。待ち受ける不条理な暴力の最期へと幸福の日々が迫っていく様子がひたすらに辛いです。

殺害された利恵さんは、最後の最後に相思相愛の人間だけが気づくことができるメッセージを残し、そしてそのメッセージを気づくべき人物が奇跡的に掬(すく)い上げ、事態は向かうべき方角へ向かっていく…。読み終わってから、無自覚な暴力への怒りと無償の愛の尊さとを読者の心に屹立させる、名著と言えそうです。

ノンフィクションの最高賞である「大宅壮一ノンフィクション賞」。今年は本書で決まりかなぁ。