2018年の半分が過ぎました。今日は「上半期ブックレビュー」を書いてみます。
数えてみたら、上半期に読んだ本は33冊でした。例によって印象に残った3冊を紹介します。


第3位 ケトル [特集・北の国からが大好き!]/太田出版
季刊誌。よく編集されていて面白かったです。ドラマ『北の国から』を正面&側面から照らした特集内容で、何より「このタイミングで『北の国から』を取り上げるならば、シビアな読者から求められるクオリティをしっかりと凌駕している」のが素敵です。
なかでも、小説『しんせいかい』で芥川賞を受賞した、かつての富良野塾の門下生である山下澄人さんのインタビューは必見。「倉本聰を北の国からの登場人物で言うなら誰?」という話が目から鱗の分析で唸りました。



第2位 みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ/仲畑貴志/宣伝会議
ビジネスエッセイ。新卒新人の頃、毎月『宣伝会議』を立ち読みしていました。そのなかで糸井重里さんともども、広告ジャンルで既に「上がったひと」だった仲畑貴志さんの連載コラム「勝つ広告」は毎月の楽しみでした。先日ふと「あの連載って単行本になっていたのかな」と探して読んだのが本書。中古書店で既に100円だった2008年発行の一冊。
「食べ物の広告で美味いとか、テレビの広告でよく映るとか、そういう広告をするならば表現は不要だ」「客人に酒を飲ませるなら、なぜその酒を飲ませるのか、飲ませたくなるストーリーを用意しろ」など、今でもしっかり通じる話が面白かったです。
たしかに友人宅にお呼ばれして無言で「獺祭」を出されるよりも、「東北6県のワンカップを6本買ったから飲み比べしない?」とかのほうが、安上がり&インスタ映えの観点からも面白そうですしね。



第1位 誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち/スティーヴン・ウィット/早川書房
ノンフィクション。この上半期に読んだ本では、本書が突出して良かったです。
アナログレコードからCDへと音楽再生フォーマットが移行し、安定期を迎えていた1990年代の音楽産業。しかし、とあるドイツの研究者が1980年代に開発していたMP3という規格が思わぬ形で世界を席巻していく。MP3とデジタルプラットフォーム(インターネット)の誕生により、CDの売上は激減して窮地に立たされる巨大レーベルのCEO。そして発売前のアルバムがネット上に流出しているのは、なぜなのか。そこにはアメリカの片田舎にいた「神職人」の存在が…。技術、音楽産業、そして破られるルールの必然。知的興奮が最初から最後まで収まらない良書でした。
なお、英語の原題は"How Music Got Free”。いい書名ですよね。邦題として原題にない「誰が」を忍び込ませた翻訳センスも光ります。

というわけで、「上半期ブックレビュー」でした。参考になれば幸いです。