【続・PhDへの道】(12/14一部修正)

課外授業1限目がかなり反響を呼んでいるようで嬉しい限りです。今回の「2限目」は出願の際の注意点、とりわけ推薦状の話をクローズアップしました。前回にも増して主観が入りまくりなので、是非その点に十分ご注意した上でお読み下さい。

成績はそろえて当たり前
・学部(修士号取得者は大学院の成績が主に重視されるらしい)時代のGPAやTOEFL、GREのスコアはよくて当たり前!(ちなみにトップ10大学の入学者平均GPAは3.7−9、GRE(数学パート)の平均スコアは780前後だと思われる)
・上記のテストで高いスコアを取ることはほぼ必要条件(ただしTOEFLのスコアが足りなくても合格できた例はよくある)。もちろん十分条件では全くないので注意!
・高い数学能力を示すか、あるいは既にコースワークレベルの勉強をしていないとトップ校への合格は難しい!学部から直接PhDに出願する場合は、学部時代に院コースワークを履修にしておくことが必須と心得よ!

留学の決め手『推薦状』
・トップ校への経済学PhD留学は推薦状と特記事項でほぼ決まる!
・数学や経済学の能力をアピールするのも、本人からではなく推薦者に言及してもらう方が効果的!そのために客観的な成果が必要(「数学オリンピックで入賞」「期末テストで1番」「数学のコースで全て優」など)!
・出願先の教授から知られている著名教授に推薦状を頼むべし(推薦者が国際的に無名な学者だと推薦状の価値は限りなく低くなる。。。)!

コラム: 推薦状で大切なのは推薦者の質か、それとも内容の質か?
よく「推薦者の知名度よりも推薦状の内容が大切」と言う発言を耳にするが、経済学PhD留学においては完全なる誤りである。そもそも、無名教授からの推薦状はまともに読まれもしない。極端な例を出すと、有名教授、例えば東大の林先生から「この学生はクラスで上から1/3」程度、と書かれるのと、後述するリストにのっていない教授から「この学生は優秀な教え子で、自分のクラスで常にトップクラスであり、研究に関しても・・・」という親切な推薦状をもらった場合、圧倒的に前者の林推薦状に価値がある。注意して欲しいのは、後者のような推薦状をもらってくる学生は国籍を問わず世界中からそれこそゴマンといるのである。実際に、ある程度のランクの大学に受かろうと思う学生なら、ほとんど完璧な内容が書かれた推薦状をもらってきているだろう。大学側もそのことは熟知しているから、無名教授からのベタ褒め推薦状など話半分程度にしか解釈しない。というか、文字通り読まないケースも多いだろう。なんせ1校あたりわずか数十名の合格者を絞るために1000通前後のアプリケーションをさばかなければいけない世界である。また、PhDの場合はマスタープログラムとは異なり、学生の絞り込みプロセスは専門のアドミッションオフィスがやるのではなく教授達が直接行うため、こういった「効率的」手抜きはより多くみられるだろう。よって、親しい(無名)教授から良い内容の推薦状をもらって悦に入っている場合ではないのである。では逆に何故前者の林推薦状に価値があるのだろうか?それは一言で言ってしまえば、「世界のHAYASHI」の推薦状だからである。出願者のアプリケーションを見て出願校の教授達から「おっ、コイツは林教授の教え子か〜!」と思われるだけで効果抜群である。もちろん、あまりに悪い内容だといくら林先生から推薦状をもらったとしても合格は難しいだろう。しかし、林先生からその程度の推薦状しかもらえないのであれば、それは出願者の実力がそこまでだということだ。断言するが、その程度の出願者は林先生の代わりに別の(リスト外の)教授に推薦状をもらったところで合格の可能性が上がることはまずない!彼のHPを見て恐ろしくなって推薦状の依頼を躊躇したりするのは愚の骨頂である。以上を簡潔にまとめてゲーム理論の言葉で表現すれば、以下のように言えるだろう。

・推薦状を(国際的な)有名教授に頼むのは支配戦略である!

(以下、若干修正12/14)
では、実際に誰に推薦状を頼むのがよい戦略なのだろうか?東大で強い推薦状が書ける教授を並べると以下のようになる(繰り返し言いますが、あくまで僕の独断と偏見に基づいたリストなのでご注意を!)。なお、過去の教え子の留学実績や国際的な知名度から言うと、マクロ・計量の林先生、ミクロの神取先生が他の先生方を一歩リードしていると言ってよいだろう。

強い推薦状が書ける教授リスト
市村、伊藤(隆)、奥野、金本、神取、林、ブラウン、松井、松島

注)他の日本人教授だと、雨宮先生(スタンフォード)や清滝先生(プリンストン)の推薦状が極めて強力だと思われる。彼らは一時帰国の際に日本で講義や講演を行うことがあるので、そこで親しくなれば推薦者になってくれる可能性があるかもしれない。ちなみに、トップ4大学の合格者は彼らが書くような強力な推薦状をもらってきている学生ばかり。非アメリカ人の留学生でも、アメリカの学部や大学院(LSEも人気の選択肢)を経由して、国際的な有名教授の推薦状をもらってくる学生は多く見られる。
注2)05年度の東大院からの出願者の多くはマクロ系。スタンフォードに合格した学生はもとより、「課外授業1限目」で紹介したトップ校合格者の多くが林先生からの推薦状をもらっていたらしい。また、プリンストンに合格した学生もコースワークで大変優秀な成績を収め、神取先生から推薦されている。こうしてみると、05年の快進撃は例年と比べて彼ら(とりわけ林先生)がたくさん推薦状を書いた結果と言えるかもしれない。(もちろん、彼らに良い内容の推薦状を書いてもらうためには本人の実力が必要なことは言うまでもない。酷い場合には推薦を断られる危険性もあるので注意していただきたい!)

コメント
現在の東大教授のリストを見ると、海外のトップ校でPhDを取得している先生方が非常に多いですが、彼らの大半が当時(今でも)世界的な評価を受けていた宇沢先生、あるいは根岸先生のお弟子さん達です。もちろん、本人達の能力が高かったから(だからこそ現在も東大教授として活躍されているわけですが)トップ校への留学が実現できたという側面も強いですが、彼らにしても宇沢・根岸先生クラスの推薦状に頼らなければ希望大学への留学は難しかったでしょう。良い成績・高い(と期待させる)研究能力・そして国際的な有名教授からの推薦状、この3つが揃って初めてトップ校への道は開かれるのです。これから出願される方(東大の方)で、成績や論文の水準が極めて高いものの上のリストに該当する教授からの推薦状を揃えられない場合は、その分大きく割りを食う危険性が高いです。現段階であまり親しくないとしても、是非上記リストの教授から1通でも推薦状を書いてもらうように頑張って下さい(過去の出願者の実績から考慮するに1通あれば十分です)!幸いにして、神取・林・ブラウン先生はコースワークをよく担当されます。そこで良い成績を収めれば彼らも喜んで推薦状を書いてくれると思いますよ。ご健闘を祈ります!!