ハーバード大学のマンキュー教授のブログで数日前にアップされた「Rising Stars」で紹介されていたNYタイムズの記事

『The Future of Economics Isn’t So Dismal』

に、経済学の未来を担う13名の若手トップ研究者達の名前が挙がっています。(20名の著名経済学者へのアンケートに基づいているとのこと)
このリストにどの程度まで信憑性があるのかはよくわかりませんが(註1)、とにかく驚いたのは応用ミクロ系の学者ばかりだということ(註2)。そして、彼らの仕事の多くは
「シンプルな理論(あるいは仮説)を膨大なデータと統計的な手法を用いることによって実証的に検証する」
というスタイルです。その守備範囲は、応用ミクロ経済学者の代表各であるレヴィットが彼の著書「ヤバい経済学」で大々的に宣伝したしたように、一見すると経済とは無縁に見えるトピックまで幅広くカバーでき、またその結果が通説と異なることがしばしば起こるため一般の人々の興味をきたてる場合が多いのが特徴的です。NYタイムズの記事ではこの点について以下のように述べられています。

But economists have been acting a lot like intellectual imperialists in the last decade or so. They have been using their tools — mainly the analysis of enormous piles of data to tease out cause and effect — to examine everything from politics to French wine vintages.

今までは注目される経済学者というのは理論系が多かっただったような気がしますが(たとえば過去のノーベル経済学賞受賞者の多くは理論系です)、これからは応用/実証系の学者が本格的に経済学を引っ張って行くようになるのかもしれません。上で名前を挙げたレヴィットが若手経済学者へのノーベル賞とも言われるジョン・ベーツ・クラークメダルを2003年に受賞したことは、まさにこの変化を象徴しているとも言えそうです。ちなみに2005年のクラークメダル受賞者のアセモグルも(レヴィットと比べると遥かに理論寄りであったり、マクロ系の研究も行っていたりしますが)応用ミクロ経済学者です。

ところで、日本人研究者の経済学界におけるプレゼンスは一部の理論系研究においては高いものの、応用/実証系では極めて低いというのが実情ではないかと思います。優秀な研究者が応用分野にもっと参入していかない限り、今後日本人研究者のプレゼンスはさらに低下して行く危険性があります。
というわけで、NYタイムズの記者が言うように経済学の未来は明るいかもしれませんが、日本人研究者の未来はdismal(=陰鬱)かもしれません・・・

【註1】
実際にマンキュー教授の記事に対して以下のコメントが寄せられていました。
I think it's remarkable that the list include only applied microeconomists. No theorists, no macro... there are plenty of them you could say they are and will do much better with their career than these 13 guys.(以下略)

【註2】
tazumaさんのブログでもこの点が指摘されていました。


オマケ
マンキュー・ブログの別の記事に載っていた「新しい掛け算の方法」。最初この動画を見たときもの凄い感動しました♪(が、すぐに当たり前なことに気がついてちょっとげんなり・・・w)
一見の価値アリです!