先日のエントリ『やさしい経済学』の中身に関連した参考文献のリクエストを、メールおよびコメント欄にて数件頂きました。他にもご関心のある方がいらっしゃるかもしれませんので、以下で簡単に関連文献をご紹介させて頂きたいと思います。


全般に関連する文献としては、Palagraveの経済学辞典に掲載された以下の展望論文が、書かれた時期も新しく、readableかつreliableな文献として非常にオススメできます。本稿執筆においても、もっとも参考とさせて頂いた1本です。
Brunnermeier (2008) "Bubbles" in The New Palgrave Dictionary of Economics.
(草稿がコチラからダウンロードできます)

「合理的バブル」の理論については、大学院レベルのマクロ経済学のテキストに解説が載っている場合が多いです。例えば、以下などを参照してみて下さい。
Blanchard and Fischer (1989) "Multiple Equilibria, Bubbles, and the Stability" Chapter 5 in Lectures on Macroeconomics.

一般均衡モデル、世代重複モデルにおけるバブルの存在・非存在条件についてはTiroleによる以下の2本の論文を参照して下さい。
Tirole (1982) "On the Possibility of Speculation under Rational Expectations"” Econometrica, 50:1163–-1182.
Tirole (1985) "Asset Bubbles and Overlapping Generations" Econometrica, 53:1499-–1528.

一定の条件下で、合理的な投資家の間では投機取引が起こり得ないことを主張した投機の「不可能性定理」(No Trade Theorem)は、以下の論文によって明らかにされました。
Milgrom and Stokey (1982) "Information, Trade, and Common Knowledge" Journal of Economic Theory, 26: 17-27.

「不可能性定理」で重要な役割を担う「Common Knowledge」を定式化した以下の論文は、意思決定理論をゲーム理論のフレームワークに取り込む/接続することを可能にした革新的な研究です(僅か4ページの簡潔な論文です!)。
Aumann (1976) "Agreeing to Disagree" Annals of Statistics, 4:1236-1239.

「群集行動」(Herding)や「情報カスケード」(Information Cascade)、そのファイナンスへの応用については以下のテキストが詳しいです。
Chamley (2003) "Rational Herds - Economic Models of Social Learning" Cambridge University Press.

「バブルに乗る」(Riding Bubbles)現象をうまく表している研究としては以下が知られています。
Abreu and Brunnermeier (2003) "“Bubbles and Crashes" ”Econometrica, 71:173-–204.
Matsushima (2009) "Behavioral Aspects of Arbitrageurs in
Timing Games of Bubbles and Crashes" Discussion Paper, University of Tokyo.
WPがコチラからダウンロードできます)

「自信過剰」(Overconfidence)のモデルは以下が代表的な文献です。
Scheinkman and Xiong (2003) "“Overcon…dence and Speculative Bubbles" Journal of Political Economy, 111:1183–-1219.