今日は午後3時頃に投票だん。投票所には(係の人を除いて)なんと僕一人!ということで、ちょっぴりいつもより緊張しました(笑)大雨だし人が少ないのはしょうがないのかな、とも思ったのですが、駅前のス〇バには(雨ニモ負ケズ)人が溢れてました。う〜む…
senkyo_touhyou


ところで、少し「死票」の問題が気になったので、死票の英語訳である「wasted vote」をGoogle Scholarで検索して、引っ掛かった古典的な関連文献を斜め読みしてみました。以下、その簡単なメモです。立候補者が3人以上いる選挙区で自分の支持候補が当選する可能性がほとんど無い場合に、自分の一票が「死票」になることを嫌って、残った候補の中からよりマシな候補に投票するという、「戦略的な投票」が行われるか否かが、既存研究の主な焦点のようです。

* Fisher, S. L. (1973). The wasted vote thesis: West German evidence. Comparative Politics, 5(2), 293-299. リンク 
西ドイツで行われた選挙データを元に、
・戦略的投票がある程度観察される
・弱小政党・候補ほどこの傾向が顕著
と主張しています。日本の衆院選と同じで、「小選挙区+比例」となっているのが大きな特徴です。そのため、小選挙区で投票した候補者の所属政党と比例で投票した政党名が異なっていた場合に、戦略的投票が起きたと推測できる、というロジックのようです。

* Owen, G., & Grofman, B. (1984). To vote or not to vote: The paradox of nonvoting. Public Choice, 311-325. リンク 
選挙を「各有権者が(誰に)投票する・しないかを同時に決定する」という同時手番ゲームと想定して分析した理論論文です。微小な投票コストがあるもとで(混合戦略)ナッシュ均衡を導出し、その均衡において
・各有権者の1票が選挙結果を左右する(pivotalとなる)確率は非常に小さく
・仮に戦略的投票をしたところで有権者の期待利得はほとんど増えない
ことを明らかにしています。インプリケーションとして、最後の結論パートにおいて、(死票を避けようとする「戦略的投票」の理屈はあるのだけど)
・あなたがその一票を戦略的に操作したところでどのみち選挙結果が変わる可能性はほとんどゼロ
・なのだから、素直に自分の第一希望の候補に投票するのがよろしい!
という説教めいたこと(?)が書かれていてツボでした(笑)

Owen&Grofman(1984)論文は、投票行為が選挙結果を通じてもたらす(期待)利得計算だけからでは、戦略的投票が起こる理由を説明しにくいことを明らかにした一方で、Fisher(1973)論文は、現実には戦略的投票が行われている(ことを示唆する)証拠が観察されていることを明らかにした、と整理できるかもしれません。この当たりの理論と現実(の不整合?)を、最近の研究ではどう分析しているのでしょうね。いずれにせよ勉強になりました。

さて、「死票」に関しては
・そもそも死票が起こりにくい/死票をできるだけ生じさせないような(多数決とは異なる)投票ルールを考える
という、社会選択理論の視点からも議論ができそうです。死票が少ない仕組みというのは、上で言及した「戦略的投票」を抑えるだけでなく、選挙に行くモチベーションを高めるという追加的な効果があるかもしれません。「死票」をどう適切に定義するかにもよりますが、
・自分の一票がより有意義に活用される投票ルールの方が、そうでない場合よりも投票に行きたくなる
というストーリーはそれなりに説得的な気がします。この誘因を踏まえると、死票を減らす(ような投票ルールを導入する)ことは、投票率を上げるためにも非常に重要なポイントかもしれません。

直感的には、第一希望のみ1点で第二希望以下はすべて0点、という極端なスコアリング・ルールである(とみなせる)「多数決」よりも、1点ずつなだらかな形でウェイト付けがされている「ボルダ・ルール」や、第1希望が敗れた後にまた投票することができる「決選投票付きの多数決」のようなルールの方が、死票が少ない気はします。この直感をうまく捉えることができるようにフォーマルな形で「死票」(の多少)を定義して、投票ルール間の比較をきちんと行えば、それなりに面白い論文になったりするかも…

というわけで、ちょっぴり研究に関心があるので、もしも関連研究をご存知の方がいらっしゃいましたらご教示頂けると有難いです^^


P.S.
この時期の投票ネタ投稿なのに、「現実の衆院選について全く触れないとは何ごとか!」とお叱りの声が聞こえてきそうですね(苦笑) 明日出演させて頂くミヤネ屋でたっぷり選挙結果に関する特集が組まれる予定ですので、そちらをご覧頂ければ幸いです!(さて、明日の番組のため開票速報の視聴に備えれば…)