いよいよ今日で平成も終わりですね。すっかり投稿がご無沙汰になってしまったこのブログも、最後くらいは何か足跡を残さないと…(違)というわけで、連休中にもオススメの【経済学本10冊】を紹介させて頂きます。




これは、昨年の秋に出版された『NewsPicks Magazine vol.2』(↑)に寄稿した「ビジネスに役立つ経済学をゼロから学ぶ」という特集からの(部分的な)抜粋になります。そもそもこれが出た時にお知らせしようと思っていたのですが、バタバタしていて結局告知を忘れてしまいました>< 令和時代に突入する前に投稿できて良かったです(苦笑) 以下、ご笑覧下さい^^

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私が選んだ10冊は、7冊が経済学の「メインストリーム」ともいえる標準的な分野に関するもので、残りの3冊が、狭い経済学の枠に収まらない広い視点を持った「未来志向」の書籍となっています。

1冊目は、経済学の「いろは」をマスターできる入門書をご紹介します。2001年にノーベル経済学賞を受賞し、現在はコロンビア大学で教えるジョセフ・スティグリッツ教授による『スティグリッツ入門経済学』です。

今日、経済学の入門書は、グレゴリー・マンキュー教授やポール・クルーグマン教授など、多くの大家によって書かれていますが、本書はその先駆けとなった名著です。経済学のコンセプトや考え方を初歩的なレベルから理解できる内容で、経済学の全体像をつかむのに適した入門テキストです。

この本には、個人的な思い入れがあります。私が大学1年生だった1998年に初めて購入し読破した経済学の教科書だからです。

経済学の「いろは」をマスターできる入門書
スティグリッツ入門経済学 第4版
ジョセフ E.スティグリッツ
東洋経済新報社
2012-03-23




2冊目から10冊目は、「ツール」「使い方」「未来志向」という3つの視点に分けてそれぞれ3冊ずつ選んでいます。

最初のスティグリッツ教授による経済学の入門書を読んだ後に読み進めてほしいのが「次なる教科書」ともいえる「ツール」の3冊。経済学というツールを理解することで、「世の中がどう見えるか」「現実の世界にどう役立てていくか」が身につきます。

『ミクロ経済学の力』は、需要と供給の分析に代表される、経済学のコア部分ともいえるミクロ経済学についての骨太の教科書です。著者は、私の大学時代の恩師でもある東京大学の神取道宏教授です。

この本の特徴は、東京大学経済学部の学生向けに行われるミクロ経済学の講義ノートを基にしている点です。一般的なミクロ経済学の教科書と比べると、かなり上級者向けの話題にまで踏み込みますが、講義なのでライブ感があって読みやすいです。


実践的なツールが身につく「次なる教科書」3冊
ミクロ経済学の力
神取 道宏
日本評論社
2014-09-25










次は、現実社会の役に立つ経済学の「使い方を学ぶ」ための3冊です。

1冊目は、12年にノーベル経済学賞を受賞したスタンフォード大学のアルビン・ロス教授による『フー・ゲッツ・ホワット』。ロス教授は「マーケットデザイン」と呼ばれる分野の先駆者で、今なお学会をリードする第一人者です。

マーケットデザインとは、文字通り、「マーケット(市場)」の「デザイン(設計)」を意味し、近年急速に発展している経済学の分野です。伝統的な経済学が、既存の市場や制度を与えられたものとして捉え、その機能を解明することに注力してきたのに対して、マーケットデザインでは、経済学者や専門家が一から仕組みの設計や変更を検討する、という特徴があります。この実践的な新分野の全体像がつかめる最良の1冊です。

現実社会の役に立つ経済学の「使い方が学べる」3冊



その問題、経済学で解決できます。
ウリ ニーズィー
東洋経済新報社
2014-08-29



実践 行動経済学
リチャード・セイラー
日経BP社
2009-07-09




最後の3冊は、メインストリームの枠に収まらない広い視点を持った「未来志向」の書籍になります。「細かい経済学のうんちくではなく、資本主義の将来を考えたい」「経済学者は偉そうなことを言うけれど、実体経済のこんなことも説明できないじゃないか」といった方に、ぜひ手に取っていただきたいです。

メインストリームの枠に収まらない「未来志向の」3冊
資本の世界史 (atプラス叢書12)
ウルリケ・ヘルマン
太田出版
2015-10-15



経済学の宇宙
岩井 克人
日本経済新聞出版社
2015-04-25



宇沢弘文 傑作論文全ファイル
宇沢 弘文
東洋経済新報社
2016-10-28



最後は、東京大学名誉教授で14年に亡くなった宇沢弘文先生が残した論稿をまとめた『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』です。宇沢先生は、ノーベル経済学賞に最も近い日本人と言われ続けてきた一方で、理論経済学の大家としての地位に安住することなく、常にメインストリームの経済学説やその誤用に対して警鐘を鳴らし続けていました。

74年には、都市開発・環境問題への疑問を提起した『自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47) [新書]』を出版し、ベストセラーになりました。また、宇沢先生は「社会的共通資本」という概念も提唱し、自然資源や人のコミュニティのように、市場ではうまく供給することができないけれど、我々の暮らしを根本から支えている社会的な資本があり、それらがいかに大切であるかを、繰り返し主張されてきました。

本書を通じて、宇沢先生の先見の明や、問題解決への熱い思い、そして人類社会へ向けた温かいまなざしに触れていただきたいです。きっと、将来の社会・経済デザインを考えるうえでヒントとなるはずです。

以上が10冊になります。「マクロ経済学の本が1冊もないぞ!」とツッコミが入りそうですね。リーマンショック以降、専門家の間でもかなり視点が揺れている印象のあるマクロ経済学については、今回は選出を見送りました。同業者の皆さん、すいません……。