2016年11月28日

Wi-Fi先進国なのにネット後進国。

先ほど、中国はWi-Fi先進国でとても便利だと書いたけれど、同時にネット後進国でもある。技術が遅れているわけではなく、規制だらけで不便極まりない環境だということだ。もちろんこれは外国人にとってであって、大多数の一般中国国民はそんなに不便だとは思っていない。

僕が中国に来たころは結構アクセス自由で、スピード以外はさほど不便に感じなかった。それが時代に逆行するように、規制は年々厳しくなり、今では鎖国状態か!と言いたくなるほどだ。このBlogもだいぶ前から中国本土内からはアクセス不可になっている。以前は写真が見られないだけだったんだけれど、普通の環境ではアクセス自体できなくなっている。それなのにアップロードだけはできる。どういうことだ!?

そんな状況だから、日本から中国へ旅行に来る人は少しだけ注意が必要だ。2016年末の現在、Google関係のものは基本的に使えない。Googleが中国を撤退してからずっと使えない。旅行中、Gmailを連絡手段にしている人は入国前に対策を取っておいたほうがいい。有料VPNや海外ローミングサービスを使うってのも手ではある。でもこれはお金がかかる。オンラインの無料Proxyサイトはかたっぱしから使えなくなっている。なので、Yahooメールなどへの転送設定をしてから入国するのがいいと思う。僕はそうしている。幸いYahooJapanはずっとほぼ正常にアクセスできている。LINE,Twitter,FaceBook,といった、海外ではメジャーなサービスもここでは相変わらずアクセス不可なので気をつけたほうがいい。Skypeは使えるので連絡手段のひとつとして確保できる。ネットではないが昔ながらの通信手段携帯電話も、かなり昔にSIMカードを買ったまま実名登録していない人は、近いうちに通話不能になるので注意が必要だ。今の中国はなんでもかんでも実名登録制で、匿名は許されないんである。

旅行情報をネットで探しながら旅する場合、FC2などアクセス不可の一般サイトも多いので、重要なあるいは貴重な情報は海外で入手してから入国したほうが無難だと思う。YahooJapanは使えるけれど海外サイトの場合はアクセス不可の検索結果も多い。そんな不都合なサイトに数回アクセスしようとするとYahooJapan自体がブロックされて、数分間使えない。しばらく待てば復活するだけまだましなんだけれど、気分はちょっと疲れる。検索結果はむやみにクリックしないほうがいい。


なんとかならないのかなぁ。このボーダーレスな時代にさ。

もしかしたら来年あたりあのトランプさんが変えてくれたりするのかなぁ。恐ろしいことだが、ハチャメチャな相手にはハチャメチャな人しか立ち向かえないのかもと思ったりもする。知り合いのアメリカ人は、トランプ政権になったらもう帰国しない、中国に永住する! と怒っていた。それもまたすごい。




yakmeatball at 18:36|PermalinkComments(0)パソコンとインターネット | 旅と観光《中国》

Wi-Fi先進国の中国で僕はいまごろやっと支付宝。

知らない間に支付宝の登録認証手続きが簡単になっていた。支付宝(Alipay)というのは中国で大普及しているモバイル決済(ネット決済)システムだ。以前はパスポートのスキャンを添付したりとか手続きが面倒くさいなあと思い、エアーチケットやネットショッピングなどのオンライン決済はすべて中国銀行のオンラインバンキングで済ませていた。でもここ数年で状況はかなり変わり、今や中国はWi-Fi先進国、日本よりすごいんじゃないかと思う。低頭族(スマホ依存症)だらけの中国ではなんでもスマホで済ませちゃうんである。スマホをうちに忘れると心が落ち着かないとみんな言う。僕はそんな低頭族には絶対なりたくないし、もともとスマホはちまちましてて面倒くさいと思っていたんだけれど、そうも言っていられなくなった。生活上のいろんなサービスがスマホ中心になってしまったんだ。そんなわけで古いスマホを4G携帯に買い替え、ついでに支付宝も使うことにした。登録も実名認証もとても簡単になっていて、拍子抜けしたほどだ。パスポートのスキャンも必要ないし、審査のための待ち時間もない。さすが低頭族の国である。

銀行カードでのオンライン決済の場合、口座のパスワードの他、決済の度に携帯に送られてくる暗証番号、さらにオンライン銀行を開設すると渡されるE-TOKENという小さな機械に表示される暗証番号、と長い暗証番号をいろいろ入力しなければならなかった。それが支付宝だと支払い用パスワードひとつだけで決済できちゃうんだ。効率的である。

そのへんの小さな店ではカード払いなんてできなんだけれど、支付宝なら近所の八百屋さんでだって使えちゃう。現金がなくてもピピっとやるだけで支払い終了だ。買い物だけじゃなく、友だちにお金を渡したり、逆に受け取ったりするのもピピっとやるだけ。なんて便利なんだろう。

そして旅行好きの僕には旅先でも手軽にオンライン決済できちゃうってのもいい。銀行を通さないから小さな機械E-TOKENが必要ないんだ。大型連休の宿確保で予約金が必要だったり全額前払いだったとしても、旅先で簡単に済ませられる。うちに帰った時に届いているよう旅先でオンラインショッピングすることだってできる(たぶんしないけど)。最近はそのへんのラーメン屋だってフリーWi-Fiのサービスがあったりして、Wi-Fi環境はかなり進んでいる。シャワーもない安宿にだってWi-Fiだけはある。Wi-Fiの有無は売上にかなり影響するようで、シャワーやエアコンよりも優先される設備なんである。



そんなわけで、支付宝は、僕の中国生活にも欠かせないものとなった。




●支付宝●https://www.alipay.com/
※支付宝を使うにはスマートフォンとインターネットバンキング開設済みの銀行口座が必要です。




yakmeatball at 16:30|PermalinkComments(0)経済・お金 | パソコンとインターネット

2016年10月24日

三度目のクンブム。

青海省海南チベット族自治州の旅9●西寧→湟中→西寧→成都

成都行きのフライトは夜の便で、時間がたっぷりある。地図を見ながら何をしようかとちょっと迷ったあと、郊外のクンブムへ行ってみることにした。地図には塔尓寺taer-si(タール寺)と書かれているけれど、“クンブム”というチベット名のほうが好きだ。音の響きが全く違う。“クンブム”という響きには魅力を感じても、“タァアールスゥ”という響にはあまり感じるものがない。どっちでもいいじゃないかと思う人もいるだろうが、雰囲気と気分で生きている僕には割と大きなことだ。

クンブムは“チベット仏教ゲルク派6大寺院のひとつ”とよく紹介されていて、6大寺院ってどこのことなんだろうと調べてみた。ガンデン・ゴンパ(ラサ郊外タクツェ)、セラ・ゴンパ(ラサ)、デプン・ゴンパ(ラサ)、タシルンポ・ゴンパ(シガツェ)、クンブム・チャムパーリン・ゴンパ(西寧湟中)、ラブラン・ゴンパ(甘粛省夏河)、この6つだそうだ。どれも行ったことのあるゴンパだった。ゲルク派というのは最大主流の宗派で、ダライ・ラマやパンチェン・ラマが属している。チベットのあちこちに出かけ、たくさんのゴンパを見てきた割には、僕はこういったことはよく知らない。教えてもらったり、紹介文を読んだりしても、ほとんど記憶に残らないんだ。どうでもいいとさえ思っている。そこに立って感じたことだけが重要で、それだけが心に残っていく。



クンブムは以前にも増して観光地化されているようだった。前回、もう来ることはないだろうと思ったはずなのに、また来ている。なんなんだろうな。



 
↑入口には新しいチケット売り場と観光客専用のゲートが出来ていた。右の写真は如来八塔というチョルテン。

 
↑ここはゲルク派開祖ツォンカパ生誕の地で、クンブムは、1360年、ツォンカパの聖母が建てた1基のチョルテンから始まったそうだ。

 
↑外観は修復され真新しかったりするが、堂内は昔のまま趣を保ったものも多い。

 
↑谷間の広い敷地内には古いものから新しいものまで、10ほどのお堂がある。ダライ・ラマ14世もここで学んだそうだ。



今回は三度目なのに今まで見たことのなかった古くて巨大な時輪タントラ、立体マンダラも見ることができた。新しいほうは見たことがあったんだけれど、古いほうは門が閉まっていたんだろう。今日は扉が開いていて、誰もいない薄暗い中をゆっくりとぐるっとひとまわりした。そして、そばにいた僧侶にお辞儀をして外へ出ると、大きな扉は重く静かに閉じられ、鍵がかけられた。




観光開発で新しい道ができたせいなのか、昔より寂れた感じのする門前町を歩き、湟中の通りから西寧行きの路線バスに乗った。



 
↑観光客用ではない昔からある入口と、湟中の通り。




夕方、西寧東外れの八一路汽車站まで移動し、空港行きのチケットを買った。待合室のテレビにはリアルな猿顔の孫悟空が映っている。みんなはそれには無反応で、低頭族(携帯依存族)になっている。僕は中国の西遊記って、何度見ても顔が怖いよなぁと思いながら、それを眺めた。



青海省海南チベット族自治州はいいところだった。青蔵高原の大自然とそこに暮らす人たちに触れて、僕の心もいくらか穏やかになった。それにしても、チベット・アムド地方は、来れば来るほど行ってみたいところが増える場所だな。




<西寧→湟中huangzhong→西寧→成都 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■西寧→湟中(タール寺):中心広場から南へしばらく歩いたところにあるバス停「管理站」から出ている。僕はちょうど白タクがいたのでそれに乗った(所要約30分、客4人で一人10元)。戻りは湟中市街地から出る普通の路線バスに乗り、所要50分、3元(約50円)。他に高速利用のバスもある。

■クンブム(タール寺/塔尓寺taer-si)
開放時間:8:00〜17:00、門票:80元(約1,300円)。お堂内部を見ないのであればチケットなしでも入れる。その場合は観光客用入口ではなく昔からある車道の入口から入る。チケット売り場に荷物預かり所があり(20元もする)。クンブムの各堂内は完全に撮影禁止なので注意。

■西寧エアポートバス:八一路バスターミナル発。朝6時から夜8時まで30分おきに出ている。所要30〜40分、21元(約340円)。
■中国東方航空:西寧→成都 650元(54%OFF)+空港税50元。計700元(約11,200円)。所要1時間45分。機内食なし。





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2016年10月23日

青海湖豪華純玩1日游。

青海省海南チベット族自治州の旅8●西寧→青海湖→西寧

今日は丸一日青海湖ツアーに参加だ。担当ガイドからのショートメールには早朝6時50分集合と書かれていて、なにもそんなに早く出発しなくても…、やる気満々ツアーなのか!? と思ったりもしたが、ここから青海湖までは車で3時間ほどの距離だ。早く出ないとスケジュールをこなせないんだろう。ツアーバスは時間ぴったりにやってきた。若い女性ガイドは客を名前で呼ぶことはなく携帯電話の番号で確認する。それも下4桁だけの番号で呼ばれるんだ。やる気満々どころか、なんと味気ないことか。中国はここ数年であっという間にスマホ依存社会になってしまった。どこを見てもスマホをながめている人だらけで、彼らは「低頭族(ditouzu)」と呼ばれている。日本でもそういう人は多いようだが、その比ではない。起きている間、片時も手放せないといった感じなんだ。もちろんこのツアーバスの乗客も例外ではなく、みんなスマホを見ているか、そうじゃなければ、朝っぱらからなんだか匂いのきつい食べ物をバクバク食っている。 

こうやって青海湖ツアーは始まった。今日の青海湖の天気は、晴れ時々曇り時々みぞれ、最低気温マイナス3度、最高気温10度の予報だ。明日は雪と書かれていた。朝の西寧は曇り空なんだが、、青海湖に着く頃には晴れてくれるといいんだけどな。青海湖なんだから、やっぱい青い湖面を見たいんだよな。


バスがまず向かったのは“金銀灘大草原”。なんかすごそうな名前だ。



 
↑金銀灘大草原と、どれがどれだかさっぱりわからないが遠くに見える原子城。



ただの草原であった。僕はこの一週間ずっと、もっとすごい大草原を見てきたもんだから、寒いだけだった。それよりも遠くに見える“原子城”のほうが気になる。ここは中国初の原子爆弾が製造された場所だそうだ。ガイドが「癌症aizheng」がどうのこうのと説明していたが早口すぎてよく聞き取れなかった。1995年までの約30年間、核兵器研究基地として使用され、放射能の影響がなくなった(とされる)今は、一般公開され観光地となっている。残念ながらこのツアーでは遠くから眺めるだけである。




次に向かったのは、僕が見たかった場所のひとつ、「金沙湾」。青海湖のそばにに広がる砂丘だ。数日前、貴南で砂丘は見たけれど、見ただけなので、ここでは砂丘に登れてれしい。いつの間には空は真っ青になっている。



 
↑予想以上に大きな砂丘が広がっていた。

 
↑砂丘に登ると西のには青海湖が見え、東のほうには雪山が連ねている。




そしていよいよ、青海湖湖畔。青海湖の見える高台で昼食を済ませたあと、青海湖二郎剣景区に着いた。



 
↑結構観光地化されてはいるが、湖はきれいだった。水も澄んでいて、手を入れると冷たい。沖合に見える違和感のある建物は魚雷発射試験基地で、ボートで渡ることもできる。

 
↑うーん、いい感じだ。空が晴れてよかった。


 
↑人気のない小さな博物館には砂マンダラが飾ってある。

 
↑青い湖を眺めながら食べるヤクの自家製ヨーグルトは格別だ。



青海湖の周辺にはみどころがたくさんあるようだ。そのうち時間をつくってじっくり回ってみたい。



 
↑西寧への帰り道に立ち寄った日月山。よくわからないが、いわれのある場所らしい。建物は鉄筋コンクリート製。





バスは夕方、日が暮れる前には西寧市内に戻り、ツアー解散となった。

今回のツアーでは、全ての観光スポットで集合時間に遅れる人が続出し、回族の若い女性ガイドはイラつき気味だった。時間を守ってくれと何度もマイクで叫ぶが、漢族(中国人)相手にそれは無理な話というものだろう。このガイドさん苦労しそうだな。もっと気楽にいかないとまいってしまうよ。中国にもこんな時間に厳しい人もいるんだな。

見てみたかった場所2か所に手軽に行けて、まあまあオッケーな現地ツアーかな。観光地に着いたら自分で勝手に見て!ってのもいい。自分のことをガイドと言ってはいるが、説明は車内でのみ、観光地でのガイドは一切しない。バスの車掌とさほど変わらないように思うけれど、僕にはそのほうがいい。お土産屋に連れて行かれることも一度もなかったしな。

これは“豪華純玩1日游”。満足である。




<青海湖qinghai-hu 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■青海湖豪華純玩1日游(西寧発着 全行程360キロ) 350元(約5,600円)
<ツアーパンフレットの翻訳>---------------------------------------------------
【行程とルート】
朝7時西寧出発。途中“海蔵咽喉”と呼ばれる湟源渓谷、悠久の歴史を刻む高原商業都市“湟源県”を通り、海北蔵族自治州西海鎮へ。中国初の核兵器研究製造基地を遠くに眺めたあと、“金銀灘大草原”にて、王洛賓さんの歌“在那遥遠的地方”の心情を体験(遊覧時間30分)。その後、青海湖東岸の金沙湾にて、青海湖の水と砂漠そして草原が相連なる奇異な景観を堪能、刺激的な砂丘滑りも体験(遊覧時間40分)。昼12時半青海湖到着。昼食後、国内最大の内陸塩水湖-青海湖二郎剣景区を遊覧(2時間30分)。西寧への帰路、唐代チベットに嫁いだ文成公主の望郷の涙から生まれたという“倒淌河”、そして黄土高原と青蔵高原の境界を分ける峰々を車窓から眺め、文成公主が唐から持ってきた鏡“日月宝鏡”を落とし砕き、唐に別れを告げた名地“日月山”を遊覧(30分)。夕方6時半頃西寧へ戻り、楽しい旅行終了!
【代金に含まれるもの】
1.旅行社責任保険 2.エアコン付き観光バス 3.優秀なガイドサービス 4.全行程の観光地入場チケット 5.正餐八菜一湯(料理8品+スープ)
----------------------------------------------------------------------------
※ホテルのツアーデスクや旅行代理店で申し込める。早朝出発なので遅くとも前日に申し込み。
※ツアー代金に含まれる各景区の基本入場料。
●金銀灘大草原:無料。
●金沙湾:30元(約480円,そり滑り代含む)。別料金でラクダ乗りや乗馬、ランドクルーザーなどいくつかのアトラクションがある。
●青海湖二郎剣景区:4月15日〜10月15日 100元(約1,600円,博物館含む),10月16日〜4月14日 50元。別料金でモーターボートや遊覧船、熱気球などがある。
●日月山:40元(約640円)。
※昼食は正餐となっているが、8品の内7品が簡単な野菜料理、肉料理は1品でしかも腸か何かの内蔵だった。
※このツアーは、ちょっとだけ高い分、強制的な土産屋立ち寄りが一切ない。

 
↑乗った観光バス。全行程、車窓からの眺めはかなりいい。

※後で知ったんだが、西寧発青海湖二郎剣景区行きの直通長距離バスも1日4本ほどある(所要2時間半、37元)。砂丘を歩かなくてもいいならこのバスで行くのもあり。西寧市内の発着は八一路汽車站らしいが本当のところは不明。二郎剣景区には宿もいくつかある。
※共和の宿で聞いた話だと、車をチャーターする場合は1日400〜500元(約6,400〜8,000円)だそうだ。もちろんチケット代や食事代は含まない。

■泊まった宿(西寧):西寧大厦(2泊目)




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2016年10月22日

再び西寧。今回はモスクに入ってみた。

青海省海南チベット族自治州の旅7●共和→西寧

中国西部は開発真っ只中で、高速道路脇の山では高速鉄道の建設が進んでいた。すごい勢いで変わっていく。バスの中では隣に座った女子大生がずっと話しかけてくる。彼女は漢族だけれどチベット語も少し話せる。チベット族自治州で育ったから自然に覚えたそうだ。外国人と話をするのは二度目で、ちょっとテンションが高い。一人目の外国人はすごくきれいなパキスタン人だったらしい。

六日ぶりに西寧へ戻ってきた。昨日の晩ネットで予約しておいた西寧大厦にチェックインし、フロントで青海湖行きの日帰りツアーを申し込んだ。僕が行ってみたい場所2か所が含まれていて都合がいい。大型連休最終日の今日まではちょっと安いツアーがあったようなんだけれど、もうとっくに出発したそうだ。明日催行されるのは350元の「青海湖豪華純玩1日游」というツアーだ。「豪華純玩」というのはお土産屋に連れて行かないということのようで、朝、このホテルの前で拾ってくれる。団体ツアーは好きじゃないんだけれど、交通の便が悪いとか、手っ取り早く見て回りたい時など、場合によっては利用価値がある。


旧館の部屋に入り、今日もまた湯沸かしポットをゴシゴシ洗った。もう日課である。

何度も来た西寧はいつも旅の経由地で、今回も少しだけ観光してみた。まずは宿から歩いて遠くない東関清真大寺に出かけた。外からは何度か見たことのあるモスクで、今日はその門をくぐってみようと思う。



 
↑ちょうど昼のお祈りが終わったばかりのようで、モスクの前は白いムスリム帽をかぶった人たちでごった返していた。みんなが出終わるのを待って中へ入ると、中庭の奥には意外にも中国風の建物が立っていた。そういえば成都にあるモスクもちょっと中国風だ。

 
↑ここから先は信者しか入れない神聖な場所。イスラムの国なら信者じゃなくても見学させてもらえるんだけれど、ここはだめなようだ。右の写真は広い中庭からの眺め。

 
↑中庭では漢族観光客相手にモスクの人がイスラムや宗教についての説明をしていた。偏見を持っている人の多いこの中国では必要なことなのかもしれない。来た時とは別の門から外へ出ると、裏通りは回族の人たちで賑わう路上市場になっていた。



そのままてくてくと西の方向へ歩き、百度マップ上で見つけた「金塔寺」に入ると、そこは小さなチベット仏教寺院だった。


 
↑寺の名前になっている金塔がどこにあるのかわからなかった。小さな通りを挟んだ向かいにはビルに囲まれて隠れるように建つ宏覚寺というゴンパもある。



さらに西へ歩き、有名らしい水井巷市場を覗いた。ここはちょっと観光地化された雰囲気だ。



 
↑真新しい水井巷市場の入口。土産物屋と美食街と地元民用市場がいっしょになっている。

 
↑ここで食べた自家製青海ヨーグルトがすごくおいしかった。




今回もまた少し、知らなかった西寧を見ることができたな。西寧にはこの先も来ることがあるだろうから、少しずつ見ていこう。





<共和→西寧xining 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■共和→西寧:バスは朝から夕方まで頻繁に出ている。高速利用所要約2時間、34元(約540円)。西寧駅右横にできた新しい長距離バスターミナル(西寧汽車客運中心)に着く。

 
↑共和汽車站と西寧汽車客運中心。西寧には長距離バスターミナルがいくつかあるので注意。

■泊まった宿(西寧):西寧大厦
旧館標準間(T)前日ネット予約1泊220元(約3,500円)朝食なし。西寧に古くからある四ツ星ホテル(格調などはない)。Wi-Fi、ドライヤー、セントラルヒーティング。休館は三ツ星レベルだが、朝のビュッフェに洋食が少しある(30元)。西寧駅から約1キロ。交差点の向こう側に割と大きなスーパーがある。

 
↑去年の10月にもここに泊まった。去年同様湯沸かしポットは汚いが、休館の部屋でもWi-Fiが使えるようになっていた。




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2016年10月21日

海南チベット族自治州の州都、共和。

青海省海南チベット族自治州の旅6●興海→共和

朝9時発の共和経由西寧行きのバスに乗った。僕は共和という海南州の州都で降りる。共和(gonghe)という町名なんだけれど、地元の人たちはみんな海南(hainan)と呼んでいる。青海湖の南にあるから海南だ。



 
↑興海汽車站と満席のバス。



バスは草原の中を2時間走り、州都共和に着いた。共和県にはチベット族をはじめ、漢族、回族、サラール族、モンゴル族など22もの少数民族が暮らし、少数民族が人口の70%を占めているそうだ。以前バスターミナルがあった旧市街まで歩き、宿を探した。

いつものように今日も金だわしで湯沸かしポットを洗い、珈琲を飲みながらこれからどうするか考えた。成都へ戻る最終日を除いて休みはあと3日。もともとは町の北西20キロほどのところにあるチャムル・ゴンパへ行ってみるつもりだった。でも昨日セルゾン・ゴンパでハードなコルラをしたばかりで、もういいかなと思い、今日はのんびりすることにした。といっても部屋でずーっとだらーんとするのもなんなので、街を散歩した。



 
↑チベット族が多いエリアに僕は泊まった。チベットの日用品を売る店がたくさん並んでいる。

 
↑少し歩くと回族の多いエリアになる。

 
↑さらに歩くと漢族が多い再開発されたエリアに出る。右の写真は新しく造ったっぽい香巴拉(xiangbala)広場。シャンバラってのは“理想の仏教国”という意味だ。民族文化博物館には鍵が掛かっていた。




いろんな民族が暮らす街ってのは、散歩するだけで楽しい。


中国最大の湖、海抜3205mの青海湖はこの共和県にある。チベット語では“ツォ・ゴンポ”、モンゴル語では“ココノール”と呼ばれる。昔二度ほど、列車の車窓から見たことはあるんだけれど、水辺に立ったことはない。僕は青海湖の水を触ってみたくなった。ネットでちょっと調べてみたら、共和県内にあるのに共和からのアクセスは不便なようだ。宿の人に聞いてみても車をチャーターするしかないんじゃないかと言う。明日西寧へ戻り、日帰り観光ツアーに参加することに決めた。




<興海→共和gonghe 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■興海→共和:共和行きのバスは毎日たくさん出ている。所要約2時間、25元(約400円)。共和バスターミナルは町の北部に新しくできている。1路のバスで繁華街までいける。歩いてもそう遠くはない。

■泊まった宿(共和):三和假日賓館
標準間(T)1泊120元(約1,900円)。旧バスターミナルの向かい、チベット人の繁華街にある。Wi-Fi、セントラルヒーティング。シャワーはぬるい。5階建てだけどエレベーターなし。新バスターミナルまで1.6キロ。1路のバスも使える。

 
↑三和假日賓館。かなり古いがまあまあ広い。




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2016年10月20日

アムド屈指の聖地、セルゾン・ゴンパ。

青海省海南チベット族自治州の旅5●興海

朝、宿の外へ出たとたん、「セルゾン?」という声がかかった。僕は「うん」と答え、あっという間に車を確保できた。4人集まればひとり15元、3人集まればひとり20元。ひとりでチャーターだと100元だそうだ。なんか計算が合わないよな。10分ほどで3人集り、ゴンパへ向けて出発した。

雄大な景色の中を車はゆっくり走る。チベット人の運ちゃんは 「どうだい? 僕の故郷はきれいだろう?」 と自慢げだ。僕は全くのお世辞抜きで 「すごい! すばらしい」 と答えた。本当にそう感じる景色が広がっている。



 
↑ゴンパへの道。




大草原を走り、谷を下り、また登って標高を上げていく。結構入り込んだ山あいにセルゾン・ゴンパはあった。背後には大きな岩山がそびえている。ここはアムド地方屈指の聖地だそうだ。朝から巡礼の人たちが大勢いる。みんな同じ方向に歩いていて、当然のように僕もその流れに入ったら、それは裏山を一周するゴンパ道へ続いていた。



 
↑ゴンパの入口に立ち並ぶチョルテン。右の向こうの方に見えるのがお堂が集まったあたり。



今回はしんどいのはよそうと思っていたのに、ついつい流れに乗ってしまったよ。こうなったら一周するしかないかな。そう決めてチョルテンの向こうの岩山を回ると、いきなり峠越えだよ。くらくらっときた。



 
↑道は整備され観光地風現代コルラ道って感じだ。五体投地の人たちは階段じゃ無理なので、横の山肌を登る。



結構きつい。体力はまだ問題ないはずなのに、ちょっとクラクラする。さっきは気持ちがくらくらしたけれど、今度は頭が体がクラクラする。標高3,260mの興海市街から1時間弱で3,600mのゴンパへやってきて、そのまま続けて徒歩でこの峠越えだなんて、きつくて当然だ。この峠越えが標高何mぐらいなのかは知らないが、空気の薄さと体の感じからして4,000mぐらいあるんじゃないだろうか。僕はすたすたと登っていく地元チベット人たちを横目に、ゆっくりとゆっくりと、深い呼吸をしながら、一歩一歩登っていった。だいぶ昔、同じような標高で走るように歩く地元民といっしょに山を登っていたら、突然体の力が抜けて、吐きそうになったことがあるんだ。あんな思いはしたくない。



見上げると真っ青な空に、白いルンタが舞っている。次から次へと何やら叫びながら空へばらまかれていく。ルンタは「風の馬」という意味で、風の馬が空を駆け抜け、願いや思いを天に届けてくれるそうだ。あちこちに飾ってあるタルチョという五色の旗にはお経が書かれ、それは風に乗ってヒマラヤを越え、世界中に祈りが届くと、昔、チベットの人が教えてくれた。



 
↑風の馬、ルンタ。そして峠のタルチョ。

 
↑うーん、いい眺めだ。




さ、今度は下り。下りは楽勝だ。ピクニック気分でいける。



 
↑峠を下り、ゴンパの背後にそびえる岩山のその裏側へやって来た。

 
↑景色もいい。右の写真は岩山から流れ出る聖水を汲む人たち。

 
↑下の穴から入って上の穴から出ると御利益があるらしい。右の写真は谷底をのぞき込むスポット。



ルート上には御利益スポットがたくさんあって、おもしろい。飽きない。寝そべって手を合わせると何か声が聞こえてくるという鳥葬台のようなのもあった。羊の群れや馬、ヤク、いろんな動物も現れる。


そしてたぶん一番重要なスポット、修行に使われたらしき洞窟。


 
↑チョルテンの奥は狭い洞窟になっていて、供えられたたくさんのバターランプで、ものすごく暑い。

 
↑上にもっと大きな洞窟があるようなんだけれど、僕は怖くてここで断念。



こんなイベント盛りだくさんのコルラ道は初めてだ。

楽しかったな、と充実感に浸っていたら、最後にもう一回峠越えがあることがわかり、ちょっと泣きそうになった。小雪も舞い始め、もうここのテントに泊まりたいとマジで思った。それでも頑張って、力を絞り出して、峠を越えた。



 
↑こんな急な坂でも五体投地で下る人たち。

 
↑着いてそのままコルラ道に入ってしまったから、まだお堂を見てなかった。もうどうでもよくなってはいたんだが、一応ちょこっと中を見ておいた。ほかにもいくつか建物がある。




一周するのに6時間もかかってしまった。もうヘトヘトだ。



戻ってきた興海の町は、なんだか普通に見えた。セルゾンとは全く別世界の普通の中国の街に見えた。それでも興海県は人口の8割近くをチベット族が占めるチベット圏。最高海抜5,305m、平均海抜3,924m、ここはチベット高原だ。



 
↑興海の通り。チベットの町で、僕は回族のホテルに泊まり、回族の食堂で手打ちの麺を食べ、そして漢族の店でりんごとバナナを買った。





<興海xinghai 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■セルゾン・ゴンパ(赛宗寺saizong-si)
門票:無料
興海県城から車で約50分。朝、興海飯店前の交差点あたりで乗合タクシーが客引きをしている。僕の場合は、行きは乗合タクシー乗車3人でひとり20元。戻りは8人乗りバン、満席でひとり15元だった。ゴンパ前の通りには食堂や宿がいくつかある。

裏山のコルラ道をまわるなら、一周4〜6時間みておいたほうがいい。標高が高いので無理は禁物だ。コルラ道上には売店や軽食堂が結構ある。真冬はどうだか知らないがテント宿(雑魚寝)もいくつもあった。トイレは基本的にないので出発前に済ませておくこと。どうしようもない場合は道から離れた草陰でするしかない。一か所だけ青いビニールで囲まれた簡易トイレを見た。

 
↑テント宿はこんな感じ。

■泊まった宿(興海):興海飯店(2泊目)
僕はセルゾン・ゴンパの状況がよくわからなかったので興海から日帰りしたが、セルゾンで一泊するのもありだと思う。




yakmeatball at 08:30|PermalinkComments(0)旅と観光《チベット文化圏》 

2016年10月19日

この景色なら移動だけでも飽きはしない。

青海省海南チベット族自治州の旅4●貴南→同徳→興海

今日は南の同徳という町まで移動するつもりなんだけれど、昨日バスターミナルで確認したら、貴南発の同徳行きはなかった。切符売り場の人と相談して、貴徳行きのバスで分岐点まで行き、そこで同行きのバスを待つ、ということにした。

向こうの山には夜の間に雪が降ったようだ。寒空の草原の道で1時間半待った。バスは来ない。高地の風が吹いて寒い。僕と同じ同徳へ行くという坊さんがやってきて、いっしょにしばらく待った。寒いし、バスはなかなか来ないしで、車をヒッチすることになった。チャーターだと普通120〜180元だと聞いたんだけれど、さすがチベット僧、待っていた3人、ひとり15元で交渉してくれた。僧侶は安く乗せないとばちが当たるのかもな。こういうことは今までにも何度かあった。話を聞くと、なんと昨日歩いて行ったルツァン・ゴンパのお坊さんだった。



 
↑大武・同徳方面と貴徳方面の分岐点。今年、砂丘観光開発計画が始動したそうだ。



チベット人の兄ちゃんが運転する車は、1時間ほどで同徳の町に着いた。バスターミナルで興海行きをチェックすると、1日1本、午後3時の便しかない。ここで1泊するつもりだったけれど、今日の切符を買った。まだ昼の12時で、3時間あれば通りをのんびり散策できる。街外れのチョルテンをコルラした。



 
↑同徳汽車站。建物の文字プレートが「同」ひとつしか残ってなくて、クール。

 
↑町外れの大きなチョルテン。大慶寺と書いてあった。

 
↑谷を渡る橋の向こうのゴンパから眺める同徳の町。同徳県は人口の90%以上をチベット族が占めるエリアだそうだ。




興海行きのバスはちょっと遅れただけで、満席で出発した。バスは黄河の源流に沿って揺れながらゆっくり走る。山を登ったと思ったら、上は真っ平らで、そこには大草原が広がっている。大地が割れたような景色が続いていた。



 
↑興海へ向かう高原の道。




そんなに遠くないはずなのに、道は舗装してたり、してなかったり、してたとしても穴ボコだらけで未舗装の方がましな有り様だ。悪路の連続で、4時間半もかかり、興海に着いた時にはもう日が暮れていた。

セルゾン・ゴンパ行きの乗合タクシーが出るだろうと思われる、その交差点に建つ宿に入った。回族経営で、「外国人も泊まったことあるよ」と、欧米系の女性のパスポートコピーを 「ほらねっ」 と言いながら見せてくれた。なんでそんなもん見せるのかよくわからないが、正規の渉外酒店でないと困る外国人がいるってことなんだろうか。まあ、そんなことはどうでもいい。泊めてくれるってだけで十分なんだ。外は暗いし、寒いし、宿を探して歩き回るなんてしたくない。


空いていた部屋は狭かったけれど、まあまあきれいに掃除されていた。セントラルヒーティングで部屋は暖かい。10月になったばかりでも、ここは標高が高くて、今日の最低気温は0度という予報だ。それでも部屋の中はTシャツ1枚でいい。温度調節ができなくて、しばらくするとちょっと暑くなった。壊れかけの窓を開けると、外の冷たい空気が気持ちいい。両方の隣室からも窓を開ける音が聞こえる。みんな暑いんだな。

トイレの電気がすぐ消えて、僻地だから電圧が不安定なのかとろうそくを買ったら、なんとセンサー式スイッチだった。節約か。換気扇を回しておきたかったんだけれど無理なようだ。そして今日もまた、湯沸かしポットを金だわしで洗った。3日連続だ。底に白くてぬるぬるしたものがこびりついているんだ。みんなよくこんなもの飲めるよな。気づいてないのかな。それとも気にならないのかな。中国旅行には金だわしが必須だ。スポンジよりも金だわしのほうがいいと最近僕は思っている。



明日は郊外のゴンパへ足を伸ばしてみようと思う。




<貴南→同徳tonde→興海xinghai 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■貴南→同徳:貴南発同徳行きのバスはないので注意。
《方法1》共和発同徳行きのバスが1日1〜2本貴南を通過するのでそれをつかまえる。1本目は11時頃なんじゃないかと思うが未確認。
《方法2》貴徳行きまたは西寧行きのバスに乗り、黄沙頭にある分岐点「卡加村」で下車(所要約30分,10元)。そこで貴徳方面からやってくる同徳行きをつかまえる。1日5〜6本通る。1本目は10時半〜11時頃らしい。空席があるかどうかは運次第だそうだ。僕はこの分岐点にやって来た僧侶と車をヒッチした(同徳まで約1時間,3人乗ってひとり15元)。
《方法3》時間のロスにはなるが一度貴徳など同徳行きのある町まで戻る。

■同徳→興海:バスは1日1本のみ15:00発。所要4時間半、25.5元(約400円)。今一部区間を道路工事中でそれが終わればいくらか速くなりそう。

■泊まった宿(興海):興海飯店
標準間(W)1泊128元(約2,000円)。Wi-Fiあり。回族経営。セントラルヒーティングで部屋は暖かい(ちょっと暑い)。シャワーのお湯も熱くてたっぷり出る。長距離バスターミナルから歩いて5分ほど。朝、セルゾン・ゴンパ行きのバンや乗合タクシーがすぐ前の交差点で客引きしている。

 
↑興海飯店。




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2016年10月18日

草原と砂漠、そして雪山が同時にある場所。

青海省海南チベット族自治州の旅3●貴徳→貴南

明け方に起きて、ホテルの中華式朝食を食べたあと、8時には貴南行きのバスに乗った。チケットは昨日この町に着いたとき買っておいたんだ。国慶節の連休だというのに空席だらけだった。僕の座席番号は1番、一番前の右の窓側だ。どうしても右の窓際に座りたかった。去年もこのルートの半分は通っているけれど、夜だったので眺めを知らない。

バスは大草原の中をひたすら走った。遠くの方に枯れ草の草原よりもさらに薄いベージュ色の一帯が見えてきた。砂漠だ。砂丘だ。うーん、いいなあ。草原の向こうに砂漠が広がり、さらにその向こうには雪山が連ねている。いい感じだ。僕はこの景色を見るために、昼間走るこのバスに乗ったんだ。



 
↑バスはこんな道を進む。途中の過馬営鎮はたぶん大草原の中に造られた遊牧民定住政策用の町。

 
↑右側にいきなり砂漠が現れる。右の写真はちょっとわかりにくいが、草原と砂漠と雪山が同時にある景色。肉眼ではもっとよく見える。




2時間半ほど走って、バスは貴南という小さな町に着いた。バスターミナルの向かいにある3階建てのホテルに入った。外国人だとは言わずに2階の部屋を見せてもらい、「OK、泊まります」と告げた。「身分証(シェンフェンジェン)」と言われて、「これが僕の身分証です」とパスポートを渡すと、お姉さんはちょっと困った様子だった。「何しにこんな町に来たの?」なんて僕に聞く。これといった観光スポットなどないこの町に旅行者が来ることはめったにないそうだ。僕は思いっきり笑顔をつくって、「海南州をのんびり見てまわってるんだぁ」と答えた。お姉さんはどうしようかちょっと考えているようだった。そして、「まぁいいか」と、ぼそっと言うのが聞こえた。OKだ。泊めてくれる。控えをとることもなく戻してくれたパスポートを、僕はすぐバッグにしまった。


部屋に入り、まず湯沸かしポットの中を覗いてみた。やっぱり金だわしが必要だ。昨日4つ入り2元のを買っておいてよかった。まだ3つある。きれいになったポットでお湯を沸かし、インスタント珈琲を入れた。そしてiPadの百度地図でルツァン・ゴンパまでの道を確認した。ここから約3キロ北西。百度地図では「魯倉寺旧跡」と“旧跡”表示になっている。もうなくなっているんだろうか…。開けた窓の外からチベットのポップスが流れてくる。ここはチベットの街。12の民族が暮らすというこの貴南県では、チベット族が人口の75%を占める。


リュックに珈琲とチョコレート、そして はじき豆を入れて、宿の前の通りを西の方へ向かって歩いた。



 
↑貴南のメインストリート。ちょっと歩くと街はすぐ終わる。

 
↑僕はこんなところがたまらなく好き。



地図どおりにどんどん歩いた。分かれ道を右へ曲がり、数軒だけの集落を通り、林を抜けた。

すると一気に視界が開け、目の前に大きなゴンパが現れた。歩いてきた道からは全く見えなかった上に、てっきり小さなゴンパだと思っていたから、予想外の大きさに驚いた。旧跡なんかじゃないよ。大勢の僧侶が暮らす大きな生きたゴンパだよ。なんで百度地図には旧跡だなんて書いてあるんだろうな。もしかして旅行者にはあまり来て欲しくないエリアなんだろうか。今は違うと思うんだけれど、成都の家にある2006年発行のガイドブック“旅行人ノート・チベット”では、貴南は対外非開放地区となっていた。



 
↑ルツァン・ゴンパ。

 
↑ダライ・ラマの写真を堂々と飾ってあったから、ゲルク派のゴンパということなんだろうな。



お堂で、遅い昼食のお祈りをしていた。お参りに来た人たちといっしょに座り、低くて安らぎのあるその響きをずっと聞いた。そろそろ終わるかなというころ、座っていた人たちがいきなり入口を塞ぐように寝そべりだした。ええ!? いったい何をしているんだ? すると、大勢の僧侶が次々と寝そべった人たちを、踏まないようにまたいで外へ出てくる。なるほど。またいでもらえると御利益があるということなんだな。



 
↑以前、あるラマ僧に「あなたはすでに持っている」と言われたことがある。



僧侶にことわって堂内を見学させてもらい、中庭での読経と弁論修行を横に座って聞いた。何を言っているのかは全くわからないけれど、響きが好きなんだ。自分のどうしようもない嫌な感情や思考が、浄化されていくような気がするんだ。



そしてまた、来た道を町まで歩いた。昨日市場で買ったはじき豆を食べながら、てくてく歩いた。空は深い青。はじき豆は素朴な味だ。僕はこのはじき豆のような心を持ちたい。





<貴徳→貴南guinan 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■貴徳→貴南:8:00,9:30,12:30,14:30の1日4本。所要約2時間半、30元(約480円)、休憩なし。


↑小さな貴南バスターミナル。

■泊まった宿(貴南):黄河源賓館
大床間(W)1泊100元(約1,600円)。Wi-Fiあり。一応部屋にトイレとシャワーがある。

 
↑掃除は全く行き届いていないが、バスターミナルの向かい、市場のそばで便利。




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2016年10月17日

黄河河畔のオアシス、貴徳。

青海省海南チベット族自治州の旅2●西寧→貴徳

6時に目が覚めた。外の気温は3度しかないようだ。このホテルは外国人もよく泊まるだけあって、朝食のビュッフェにサラダやコーヒー、トーストなんかもあった。僕はサラダがあるというだけで、かなり嬉しい。レストランやロビーでは久しぶりに日本人団体客を見かけた。本当に久しぶりで、なんだか懐かしい感じがする。よく旅行に出かけているのに、日本人団体旅行客に出くわすことがないのは、普段泊まるホテルのタイプが違うからなんだろうな。規制の厳しいこの西寧は別として、四ツ星レベルの宿に泊まることはめったにない。ましてや五つ星ランクなんて中国に暮らすようになってから一度も泊まっていないように思う。かといってバックパッカーが集まるドミやユースを選ぶこともない。ごくごく一般的な安めの地元ホテルがほとんどだ。古くてもそこそこ広くて、珈琲を飲みながらリラックスできる椅子とテーブル、欲を言えば丸いテーブルがあれば、それでいい。旅行者だらけの宿じゃなく、観光旅行とは関係ないような、普通の宿が僕は一番居心地がいい。


西寧市内を抜けたバスは、南下しながらゆっくりと標高を上げていく。木の生えない乾燥した山々を上り、グランドキャニオンのような谷間を抜けていく。景色を眺めながら、昔行った西チベットのグゲのことを思い出した。かつてグゲ王国が存在した場所で、僕には特別な思いがある。そんな景色を眺めていると、なんだか心が落ち着く。荒涼とした景色や、廃墟のような場所が好きなのは、小学校へ上がる前、親に内緒でこっそりと、よく廃墟の建物で遊んでいたからだろうか。



 
↑貴徳行きのバス。満席。



バスの終点、貴徳客運站は地図とは全く違う場所にあった。客引きをしていた白タクのオヤジに聞くと、4日前に運用を始めたばかりの新しいバスターミナルだそうだ。観光開発真っ最中のようで、付近の建物は真新しい。まずは宿探しだ。「賓館」とか「酒店」と書かれた建物を探した。この町のホテルも外国人規制が厳しいようで、夜、公安がやってきて外国人が泊まっていないかチェックされるんだいう。数軒断られたあと、ちょっと歩き疲れて、最後の宿の人が教えてくれた四ツ星ホテルに泊まることにした。外国人可のホテルには「渉外酒店」などという表示がフロントに掲げられている。これは外国人を泊めてもいいという政府の許可で、成都も含め都市部では結構厳しいので旅行者は注意が必要だ。ネット予約の際、「内賓」と書かれていたら、それは国内客(中国の身分証保持者)のみ受け入れ可という意味だ。三ツ星以上ならほぼ問題ないが、僕好みの星なし100〜200元レベルのホテルは微妙で、「内賓」の場合が多い。ただしこれは都市部の一般ホテルの話で、田舎や有名観光地付近の観光宿、民宿などは予約なしの飛び込みでだいたい泊まることができるように思う。規制がゆるいところもあるし、この規制自体知らない場合もある。規制を無視してくれることもよくある。結局行ってみないとわからないということだ。それはそれで楽しい。


そんなわけで、泊まることになった「渉外酒店」黄河源賓館では、同時に四組のカップルが結婚披露宴を行っていた。ウェディングドレスを着てホテルの入り口で来賓を出迎えるのが中国の習慣で、入り口に四組も並んでいるものだから、僕は、合同結婚式か?などと思った。もちろん違うけれどそんなふうに見える光景だ。国慶節に挙式するのは縁起がいいと聞いたことがある。と同時に、せっかくの連休に式を挙げられると旅行に出かけられなくて本当は困るんだよね…という愚痴も何度か聞いたことがある。




宿に荷物を置いて、ミニャク・タツァンという小さなゴンパに出かけてみることにした。


 
↑ミニャク・タツァン。白いストゥーパが有名のようだが鉄筋コンクリート製だ。右の古いお堂のほうがずっと味がある。堂内の雰囲気もいい。

 
↑ストゥーパからの眺め。林の向こうに黄河が流れている。この町は“青い黄河”で知られているそうだ。でも昼間、橋から見た黄河の水は茶色かった。




そして繁華街を散歩した。ここの観光開発の目玉は町の中心にある「玉皇閣」だ。ももともチベットの地だったけれど、西域に物資を運ぶための拠点、そして漢民族による統治を強化するために造られた城のようだ。観光開発しすぎでテーマパークっぽい雰囲気だったので、入るのはよした。通りを歩くと回族が多いような印象を受ける。きっと白いムスリムの帽子が目立つからだろう。ここ貴徳県には漢族(49%)、チベット族(36%)、回族(13%)など15の民族が暮らしているという。



 
↑玉皇閣の入り口。修復も度を超すともう偽物だよな。

 
↑貴徳の繁華街。作りたての弾き豆がおいしい。




玉皇閣に入らなかったから、まだ陽が高い。バス停の路線図を見ると、貢巴村というのが目に入った。僕はその村まで行ってみることにした。町の郊外にはチベット族の村が点在しているんだ。バスを降りて、通りがかったおばあさんに「ゴンパはどこ?」と聞いてみた。すると、畑のあぜ道をしばらく一緒に歩いたあと、この方向にまっすぐ行くんだよと、道路ではない近道を教えてくれた。村には林がたくさんあってゴンパは見えない。おばあさんに教えられた通り、穀物を刈り取ったあとの畑を歩き、ほとんど水の流れない小川を越えていくと、それらしき朽ちかけた門があった。ゴンパはその先にあった。ゴンバ・タツァン(貢巴寺)だ。

閉まったお堂の前の日当たりで、小坊主が二人 読経の練習をし、傍らで一人の年配の僧侶がそれを聞いていた。僧侶にあいさつをして、中を見せてもらえないか尋ねてみた。彼は僕が何族かを確認したあと、鍵を開けて中に入れてくれた。暗い堂内に裸電球が灯り、奥へ進むと仏像の前でバターランプの炎がゆれていた。



 
↑貢巴村の入り口とゴンバ・タツァン。鍵を開けてくれた僧侶は1年ほど前にこのゴンパに移ってきたそうだが、この1年間、旅行者なんて一人も来たことがないという。



昔は300人ほどの僧侶がいたそうだ。今は28人の僧侶が静かに暮らしている。こんな静かなゴンパは心が落ち着く。




夕方、ホテルに戻り、昼間買っておいた金だわしで湯沸かしポットをきれいに洗った。四つ星ホテルのはずなんだけどな。




<西寧→貴徳guide 国慶節連休旅行情報 2016.10>1元=16円計算
■西寧→貴徳:バスは南川西路客運站から出ている。朝から夕方までだいたい1時間に1本。所要約1時間半、26元(約420円)。以前は3820mの峠を越えていたようだが今は3000mほどのところに約5キロの長いトンネルが出来ている。街の東外れ、貴徳新バスターミナルに着く。中心の繁華街へは歩いてもそう遠くはないし、荷物が重いようなら路線バスも走っている。

 
↑南川西路客運站と貴徳客運站。

■ミニャク・タツァン(乜那寺niena-si)
門票:無料。町の中心から少し歩いたところにある。
■玉皇閣 門票:60元。
■ゴンバ・タツァン(貢巴寺gonba-si)
町の郊外、貢巴村にある。町の中心から6キロほど。2路の路線バスに乗っていける。僕は貢巴村の入口で降ろしてもらったが、手前の楊家村で降りたほうが近い。

■泊まった宿(貴徳):景悦閣酒店
標準間(T)中華式朝食付き1泊220元(約3,500円)。四ツ星となっているが実際には二〜三ツ星レベルだと思う。Wi-Fi、ドライヤー。新バスターミナルの近くにあるのは便利。朝食は7:00〜9:00。新バスターミナルの向かいにスーパーや食堂がある。

 
↑まだ新しい景悦閣酒店。




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