数年で「タクシー」と「お茶」に200万円
荒木町長「罪悪感なかった」
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
【動画】記者会見で着服した差額の使い道を説明する荒木耕治町長(2019年12月26日)
屋久島町長の荒木耕治町長が公務出張をする際、普通運賃の航空券を払い戻し、シルバー割引で買い直して、その差額を着服していた問題。2019年12月26日に開かれた記者会見で、荒木町長は差額の使い道について記者から聞かれ、次のように答えました。
「電車で行くところをタクシーで行ったり、お茶を飲んだり、そういうことに使った」
さらに、記者から「少なくとも(差額は)数十万円になると思うが、他にどう使ったのか」と問われると、こう答えました。
「特別に何かそれで、大きなものを買った記憶はない。通常の自分の生活のなかで、使ったぐらいだと思っている」

記者会見で質問に答える荒木耕治町長(2019年12月26日)
ところが、です。その時はわかっていませんでしたが、結果的に荒木町長は80回以上もシルバー割引を利用して、約200万円もの差額を着服していたのです。タクシーに乗ったり、お茶を飲んだりしただけで、わずか数年の間に、それだけの大金を使えるでしょうか。
そこで、仮に全額をタクシーに使ったと想定し、どれくらい移動できるのかを調べてみると、興味深い数字が出てきました。
タクシー料金の計算サイトで東京・羽田空港から国会までの経路を入力すると、7420円の予想料金が表示される
荒木町長は鹿児島県選出の国会議員を訪ねることが多いので、東京・羽田空港から国会まで、タクシーで首都高速道路を経由して移動したとします。タクシー料金の計算サイトに経路を打ち込むと、表示された予想料金は「7420円」。そして、その料金で200万円を割ると、約270回も乗車できることになります。着服額の半分をタクシーに使ったとしても135回ですから、数年で使い切るのは難しいでしょう。
タクシー料金の計算サイトで東京駅から鹿児島中央駅までの経路を入力すると、約50万円の予想料金が表示される
ちなみに、東京駅から鹿児島中央駅までタクシーで移動した場合、高速道路を利用して約50万円。200万円なら東京と鹿児島を2往復できる計算になります。
さらに、もう一つの使い道の「お茶」ですが、仮に喫茶店で1杯500円のコーヒーを飲んだとすると、実に4000杯にもなります。着服額の半分を「お茶」に使ったとしても2000杯ですから、こちらも数年で使い切るのは難しいでしょう。
つまり、シルバー割引の利用が常習的になり、荒木町長は200万円をどうやって使ったのか、正確に説明できなかったのではないでしょうか。空港カウンターで得た差額を自分の財布に入れて、それを何に使ったのか、自分でもわからなかったのでしょう。
それがゆえに「着服」なのですが、少なくとも「タクシー」と「お茶」だけで、200万円を使い切ったと釈明するのは、無理があったように思われます。
▶今回のポイント
・シルバー割引で得た差額について、荒木町長は「タクシー」と「お茶」で使ったと説明
・結果的に着服額は200万円で、数年の間に使い切るのは難しい
・着服が常習的になり、荒木町長は差額の使い道を把握していかった可能性がある
今回は、この記者会見を検証する3本目の記事として、2019年12月26日~27日に掲載した荒木町長の記者会見の発言のなかから、シルバー割引で得た差額の使い道を説明した部分をみてみましょう。
*
【動画】記者会見で着服した差額の使い道を説明する荒木耕治町長(2019年12月26日)
記者:この差額については何に使ったのか、覚えている範囲で説明を。
町長:電車で行くところをタクシーで行ったり、お茶を飲んだり、そういうことに使った。
記者:使途について、少なくとも(差額は)数十万円になると思うが、他にどう使ったのか。
町長:特別に何かそれで、大きなものを買った記憶はない。通常の自分の生活のなかで、使ったぐらいだと思っている。
記者:払い戻しをする際に(差額)をポケットに入れて飲食代に使った。税金がもとになっている。その時に罪悪感はなかったのか。
町長:正直なところ、当時はシルバー割引の理解がなかった。返さなければいけない(理解)というのがなかったので、そういう(罪悪感の)気持ちはなかった。
記者:それは首長として、その認識がないのは非常に杜撰だと思うが、どう考えるか。
町長:正直言って、清算しなければいけないというのが、そういう理解をしていなかったのが原因だと思う。
*
▶今回の教訓:非現実的な釈明はしない
荒木町長がシルバー割引を利用して旅費を着服したのは、2016年3月~2019年11月の期間です。つまり、その3年8カ月の間に着服額を使ったことになりますが、出張中の「タクシー」や「お茶」だけで約200万円を使い切るのは現実的ではありません。何かほかに使ったのか、それとも貯金に回ったのかは不明ですが、タクシー代とお茶代だけではないと思われます。
では、なぜ荒木町長がそんな釈明をしたのかというと、記者会見をした時点では、着服した詳細な金額がわからなかったからでしょう。その時は、それで記者も納得したかもしれませんが、実は200万円だったとなれば、さらに追及する質問が飛んでいたはずです。
記者会見で質問に答える荒木耕治町長(2019年12月26日)
荒木町長は会見で「罪悪感がなかった」とも言っています。しかし、電車ではなくタクシーに乗って楽をしたり、お茶を飲んだりして、その費用の出所が税金なのですから、町民の多くは納得しないでしょう。
2年以上が過ぎた今、当時の記者会見の発言を細かく検証すると、地方自治体の首長として、荒木町長の釈明は無責任だったように思われます。
■【検証 屋久島町政】記事一覧

コメント