2008年01月10日

キューバの兌換ペソとは 

 *2008年3月にまたキューバに行ったのですが、この記事はその直前にキューバの通貨体系についてまとめてみたものです。当時はCUCとCUPの2重通貨制についてしっかりまとまっているガイドブックがありませんでしたので、かなり力を入れて書いてます。ただし最新情報は現地キューバに行かないと分からない部分が多いので、過信はしないで下さい。

1.通貨の歴史

 そもそも1959年の革命から数十年は国内に2種類の通貨が出回るなんて変な事態は無く、現在も(基本的に)キューバ国民専用として使用されているキューバ・ペソ(Pesos Cubanos,あるいはMoneda Nacionalと呼称される)のみが流通していました。

 しかし1990年代初頭のソ連崩壊と東欧社会主義国家の相次ぐ崩壊により、同じ社会主義陣営に属するキューバは経済的にかなりの苦境に立たされます。そこで苦渋の決断としてキューバ政府が取ったのが、観光業の振興とそれに伴うアメリカ・ドルの所持の解禁です。

(推測ですが、おそらくソ連の後ろ盾を無くしたキューバ・ペソの価値は暴落し、それまでは外貨と同じ価値をもっており外国の商品を買えていたものが紙切れ同然となったのでしょう。しかし社会主義を標榜し、平等な社会を目指す政府は、国内で生産される農作物など生活必需品の値段は据え置き、それまでと同じキューバ・ペソで買えるようにし、その他シャンプー、化粧品、あるいは電化製品などといった外国からの輸入品はキューバ・ペソを貯めたのちドルに両替して購入するといった措置をとったと考えます。あとは、当時栄えていたドル払いの闇市場をコントロールし切る余裕が政府に無かったこともあるようです。間違ってたらご指摘お願いします。)

こうしてまずはキューバ・ペソとアメリカ・ドルによる通貨の2重構造が出来上がったわけですね。

 その後観光業が順調に推移し、一時期の悲惨な経済状況は脱し、キューバ・ペソとアメリカ・ドルとのレートの開きも小さくなっていきます。そこで次に政府が取ったのが2004年末のドル所持禁止と兌換ペソ(Pesos Convertibles)への一斉切り替えです。

狙いは、そもそも敵国であるはずのアメリカの通貨が出回っているのは国家の威信に関わるため禁止する、または米国政府による、ドル流通の制限といったキューバに対する経済制裁をかわすためというところがあったかと記憶してます。(あとは、外貨の量を政府が把握してコントロールするためですね。野放しにしておくと、闇市場やマフィアの発生に繋がる可能性があったと。)

そのため兌換ペソは本来ドルと同じ価値を持つのですが、ドルに対してだけ相対的に高い手数料をとっています。

政府は将来的にはCucとCupのレートの開きを限りなく小さくし、通貨を一元化したい考えだそうです。いつになるやら...

こうして現在までに至る兌換ペソ(CUC)とキューバ・ペソ(CUP)の流れをおさらいすることができたかと思います。

なお、キューバ・ペソを表す「CUP」という表記は現地キューバでは殆ど用いられません。地球の歩き方がこの表記を採用しているのでそれに倣ったまでですが、現地ではMONEDA NACIONALを略して「MN」と表記するのが普通です。また口頭では「ペソ・クバーノ」と言うのが一般的です。

またCUCは「セーウーセー」あるいは「セウセ」と発音します。
*最近は「クック」という言い方も定着してきたような。(2011年11月追記)



2.兌換ペソとキューバ・ペソの使いわけ

 長々と歴史をおさらいしましたが、結局キューバに旅行される方が知りたいのは「で、キューバ・ペソで安く買い物したいんだけどどうなの??」ってとこだと思うのでそこを解説します。

原則として旅行者は兌換ペソを使用することがルールとなっているわけですが、暗黙の了解か、ごく普通にキューバ・ペソを使用することが可能です。両替は街中のCADECA(Casa De Cambio)で行えます。レートは1Cuc≒25Cup(たまに変動します。)
 
 次に使用できる場所について。いかにも旅行者が利用しそうなレストランや土産屋では使用できません。Cupはキューバ人のために存在しているわけなので、キューバ人が利用する大衆食堂、カフェテリア、アイスクリーム屋や立ち飲み屋、農産物市場などで使用することが可能です。といっても一見さんの旅行者にはどこがキューバ人用のレストランなのか区別がつきにくいと思います。しかし目を凝らして見てみると、「VENTA EN MONEDA NACIONAL」つまり「キューバ・ペソでの販売」と書いてある場合が割りとあるのでそれを見つけたら間違いなくCupで支払いできます。そんな張り紙が無い場合は、小奇麗ならCuc、小汚なければCup、と判断するのも良いかも知れません(笑)。

(また路上で売り子さんが売っている新聞やマニといったお菓子もCupで購入できます。キューバ・ペソ払いのカフェテリアでは、国民用の葉巻(Tabaco)を1Cupで売っている場合があります。駄菓子感覚で葉巻が吸えるのでお試しあれ。)

追記;キューバ・ペソ・グルメ紀行はりえ侍さんのブログが詳しいです。

 つまりCupは上記のようにあくまでもキューバ人の日常生活を送るために存在しているわけであり、きれいにパッケージされた製品やお土産のたぐいをCupで購入するのはまず不可能と考えてください。食費を浮かせたり(Cucの食べ物よりおいしい場合も)、キューバ人の生活をより深く知りたい場合には非常に有効な働きをしてくれるはずです。

*追記;短期旅行者の方がCUCからCUP(MN)に換金する際は、10CUC分くらいを換金すれば十二分にCUPの使い方を堪能できると思います。キューバ人の月収は、CUC換算で20CUC程度ですので、あまり多くCUPを持っていても余らせてしまうことになると思います。

質問など受け付けます。プロフィールのメールアドレスへどうぞ。

トラベルボデギータさんのブログでも少し触れられています。


以上です。

追記事項です。少しややこしいですが、知ってて損は無いです。

キューバ・ペソ(Cup,MN)払いの店において、小額のCucでの支払いが受け付けてもらえる場合があります。

つまり1Cuc≒25Cupで換算され、例えば20Cupのサンドイッチを買うときに1Cucを出して購入でき、5Cupのお釣りが来るということです。

ペソの1/100の単位、センターボ(Centavo,ドルに対するセントのような存在,CucとCupのそれぞれに対して存在する)に関しても同じで、例えばCucの20センターボ、つまり1/5Cucは5Cupの代わりに出せる、ということになります。
同様に、Cupで払ったお釣りが、等価のCucのセンターボで返ってくることもあります。
(2011.12.03 対応表を作成しました)

ちなみにCuc払いの店で、等価値のCupを出しても受け付けてもらえません。そんな事を許したら、レジがCupであふれ返ってしまいます。Cupが余ったら、CADECAでCucに再度両替してから使いましょう。

Cucのセンターボ貨幣が財布の中に余ってきたら、この買い物の方法を試してみてはいかがでしょうか。

なお、CucとCupのレートが変わる前などは、混乱を避けるため、この支払い方が受け付けてもらえなくなる場合があります。
また当然ながらレートが変動すると、上記の例とは計算が変わってきますのでご注意ください。

2008年3月に最新情報を更新しました。ご覧ください。

yakuzanadrummer at 19:35│Comments(4)TrackBack(0) 旅の知識 

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この記事へのコメント

1. Posted by ジェイp   2008年02月09日 15:39
とても!参考になりました!ありがとうございます!

cucとcupの情報少ないっすよね・・・;
あっても分かりにくかったり。
最初なんか,“兌換”の読み方や意味も全くわからなかったので,さっぱりでした。

ので,このブログはほんとに助かりました!
2. Posted by Guevara Girl   2008年02月09日 19:39
お力になれたようで、管理人冥利に尽きます!
ただ、最新情報はキューバに行かないと分かりませんので、一応お断りしておきます。(笑)大きな変動は無いと思いますが。
3. Posted by macomoco   2009年08月24日 14:23
キューバ国内でドルの使用が出来なくなった件について、引用元の「ラテンアメリカから見ると」の記事が見つからなくなってしまったのですが、以前こんなことが書かれていました。
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/21/index.html

「この決定は、最近実施されたアメリカによるキューバからの移民者に対する旅行と送金の制限と、キューバ・ペソがドルに換えられないよう国際銀行に対してアメリカが行った圧力に対する回答であると説明した。」
その圧力とは、
「これは(・・・)スイス・ユニオン銀行でキューバ通貨をドルに換えたケースで、アメリカがこの銀行に対して法的調査を行ったこと、また、同銀行に1億ドルの罰金を科したことをさす(・・・)。」

4. Posted by yakuzanadrummer   2009年08月24日 19:16
コメントありがとうございます。

1億ドルの罰金ですか。。。額が大きすぎる気がしますね。

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